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テキスト/企業経営理論/組織構造の一般形態

組織構造の一般形態

組織構造論

企業が採用する代表的な組織形態を整理し、機能別組織・事業部制組織・カンパニー制/持株会社・マトリックス組織の特徴やメリット・デメリットを比較しながら理解するセクションです。

1

機能別組織

簡単にいうと

会社の仕事を「営業」「製造」「人事」など機能ごとに分けて部門をつくる、もっとも基本的な組織の形です。社長がすべてをまとめる集権型の構造になります。

機能(職能)別組織とは、企業活動における個々の機能を基準として部門化した組織形態である。人事・営業・製造・購買・研究開発・経理・財務などの機能名がそのまま部門名称となり、人事部・営業部・製造部・経理部などが設置される。権限は上位の階層に集中しており、集権管理型の組織形態に該当する。トップが広範囲の情報を集約して大局的な意思決定を行える反面、部門間の調整負担がトップに集中しやすい。単一製品・少品種大量生産に適した組織であり、専門化の原則に基づいて各機能の熟練度を高められる点が最大の特徴である。命令統一性の原則に沿った単純な階層構造のため、組織の統制を図りやすい。

具体例

製造業で「製造部・営業部・人事部・経理部」のように機能ごとに分かれた組織が典型例。

機能別組織の構造図。社長を頂点に、スタッフ部門として社長室、ライン部門として製造部・営業部・管理部が配置されている。

機能別組織の構造

項目
メリット
デメリット
専門性
分業により各機能の専門性が向上し熟練度が高まる(専門化の原則)
担当領域の専門化が進みすぎ、全社的なマネジメント能力をもつ人材が育ちにくい
規模の経済
業務を集中させることで規模の経済が発揮できる
機能部門ごとの利益貢献度が不明確になりやすい
意思決定
トップが広範囲の情報を集めて大局的な判断が可能(ただし限界あり)
部門間調整やトップへの負担が大きく、意思決定に遅れが生じうる
環境対応
安定的な環境・少品種大量生産に強い
環境変化や顧客ニーズへの対応が遅れる恐れがある
組織統制
命令統一性の原則に基づく単純な階層で統制しやすい
部門間で人事交流が停滞し、セクショナリズムや情報共有の困難が生じやすい

試験のポイント

  • 機能別組織は「集権管理型」であることが頻出
  • メリットの専門化の原則・規模の経済、デメリットのセクショナリズム・利益責任の不明確さは選択肢の定番
  • トップ負担増大による環境変化への対応遅れも要注意
2

事業部制組織

簡単にいうと

製品や地域、顧客ごとに「ミニ会社」のような事業部をつくり、各事業部に大きな権限を与えて独立的に運営させる組織形態です。各事業部が利益に責任をもちます。

事業部制組織とは、事業部と呼ばれる管理単位を本社トップマネジメントのもとに編成した分権管理型の組織形態である。事業部の分割基準には(1)製品・サービス別、(2)地域別、(3)顧客別の3つがある。各事業部には大幅な権限が委譲され、事業部単位で計画策定・業務統制を行い、企業全体の利益向上に貢献する。このように自らの損益に責任を負う事業部をプロフィットセンター(利益責任単位)と呼ぶ。事業部間の取引には内部振替価格が適用されるのが一般的である。各事業部は資本利益率(ROI)などで業績管理される。ただし、長期経営計画・利益計画の決定、予算の最終決定、一定金額を超える設備投資の承認、事業部の業績評価、幹部の人事権の5項目は本部に留保される。

具体例

家電メーカーがA製品事業部・B製品事業部のように製品別に事業部を設置し、各事業部内に研究開発・購買・製造・営業機能を持たせる形態。

事業部制組織の構造図。経営者の下に経営企画室(スタッフ)があり、A事業部・B事業部・C事業部が並び、各事業部の下に製造・営業・管理の機能がある。

事業部制組織の構造

項目
メリット
デメリット
トップの負担
トップが業務的管理から解放され、戦略的意思決定に注力できる
本部と事業部間の権限調整が必要になる
意思決定スピード
現場の状況に即した弾力的で迅速な意思決定が可能
各事業部が自部門の利益を優先し、短期的・近視眼的な判断に陥りやすい
人材育成
下位管理者のモチベーションが向上し、次世代の経営者を養成できる
事業部間の競争が激化し、セクショナリズムを招きやすい
経営資源
事業部ごとに市場対応がしやすい
研究開発・購買などの機能が各事業部で重複し、コストがかさむ
戦略展開
事業の再編成や新規事業の創造がしやすい
事業部間のシナジー追求や事業再編が困難になりうる

試験のポイント

  • 本部留保権限5項目(長期経営計画、予算最終決定、設備投資承認、業績評価、人事権)は頻出
  • プロフィットセンターの意味、内部振替価格の概念、「分権管理型」であること(集権管理型ではない)を正確に区別すること
3

カンパニー制と持株会社

簡単にいうと

カンパニー制は事業部制をさらに進めて各部門を独立した会社のように運営する仕組みです。持株会社は他の会社の株式を保有してグループ全体を統括する組織形態で、1997年に日本で解禁されました。

カンパニー制は、事業部制組織がもつ独立採算主義をさらに徹底させた組織形態である。事業部制と比較した特徴として、(1)バランスシート経営を導入し投資収益性を重視する点、(2)各カンパニーの事業規模が大きく独立した企業体に近い運営をしている点、(3)従来の日本企業では機能分化が不徹底だった事業部に対し、各カンパニーは研究開発から販売までの機能を包含している点、(4)分権化されたカンパニーの発言力が強まり本社のコントロールが弱くなるため、事業間シナジーの追求や事業再編が困難になりうる点がある。多角化戦略で不確実性の高い新事業を切り離して別会社として制度的に独立させることでリスクを軽減する。一方、持株会社とは他社の株式を保有して経営権を握ることを目的とする会社であり、自ら事業も行う事業持株会社と、グループ戦略や企画立案に特化する純粋持株会社に分類される。純粋持株会社は1997年の独占禁止法改正により解禁された。子会社の配当が売上となり、機動的な経営戦略の策定や迅速な事業構造の構築・リストラクチャリングが可能になる。

具体例

ソニーがかつて採用したカンパニー制や、現在の持株会社体制(ソニーグループ株式会社)が代表例。

項目
カンパニー制
持株会社(純粋持株会社)
法人格
法人格を持たない(社内組織)
独立した法人格を持つ
独立性
事業部制より高い独立性で運営
子会社が完全に独立した法人として運営
経営管理
バランスシート経営で投資収益性を重視
グループ全体の戦略策定・企画立案に特化
機能範囲
研究開発から販売まで一貫した機能を保有
事業活動を行わず子会社の株式所有・統括が中心
リスク管理
多角化時に新事業を切り離しリスク軽減
事業リスクが子会社に分散され、機動的なリストラクチャリングが可能
制度的背景
特段の法的規制なし
1997年独占禁止法改正により純粋持株会社が解禁

試験のポイント

  • カンパニー制は法人格を持たない点が重要(別会社にするわけではない)
  • 純粋持株会社の1997年独禁法改正による解禁は頻出
  • 事業持株会社と純粋持株会社の違い、バランスシート経営の意味も確認すること
4

マトリックス組織

簡単にいうと

「機能別」と「事業別」など2つの基準を同時に組み合わせた格子型の組織です。柔軟性がある反面、2人の上司から指示を受けるため混乱が生じやすいのが特徴です。

マトリックス組織とは、機能別組織(職能別構造)と事業部制組織(製品別構造)の2つの切り口を同時に併用した格子型(マトリクス型)の組織形態である。環境の不確実性の増大や新課題の頻発に伴い、プロジェクトチームや組織構造の動態化では対応しきれない場合に採用される。マトリックス組織を導入するための条件は次の3つである。(1)資源共有の圧力:少ない資源を複数の製品ラインで共有する必要があり、専任配置するほどの規模がなく、技術者が複数の製品やプロジェクトを兼任しているような状況。(2)二重の環境圧力:深い技術的知識(機能別構造)と頻繁な新製品開発(事業別構造)という2つ以上の重要なアウトプットを求める圧力が同時に存在し、機能別と製品別の両面でパワーバランスを維持する必要がある場合。(3)環境不確実性:頻繁な外的変化と部門間の高い相互依存性があり、縦・横方向の大量の調整や情報処理を必要とする場合。

具体例

家電メーカーがパソコン事業部・AV事業部・白物家電事業部の製品軸と、研究開発・生産・販売の機能軸を格子状に組み合わせた組織。

マトリックス組織の構造図。CEOの下に横軸として事業部A・B・C、縦軸として機能部門の製造・営業・R&Dが配置され、交差点にグリッドセルが示されている。

マトリックス組織の構造

項目
メリット
デメリット
統合力
職能と製品など2つの次元に基づいた組織的統合が実現できる
2人の上司から指示を受けるワンマンツーボスシステムのため、コンフリクトが発生しやすい
資源活用
人的資源を共有でき、限られた経営資源を有効活用できる
命令系統が錯綜し、責任の所在が不明確になる
環境対応
課題に対して柔軟に対応でき、変化の速い環境に適している
複数の管理者間で意見の対立が増大する
情報処理
情報の共有により情報処理が迅速化する
組織メンバーに心理的ストレスがかかりやすい

試験のポイント

  • マトリックス組織の3つの採用条件(資源共有の圧力・二重の環境圧力・環境不確実性)は頻出
  • ワンマンツーボスシステムによるコンフリクト発生、命令系統の錯綜による責任の不明確化がデメリットとして問われやすい
  • 関連多角化ではなく非関連多角化企業で採用されることにも注意

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