組織行動論
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プレミアムで見るここから組織行動論に入ります。第7章が組織という器のかたちを扱ったのに対して、この章では中にいる人の行動を扱います。最初のテーマはモチベーションです。人は何によって、どのように動機づけられるのか。理論の数が多くて覚えづらいところですが、実は互いに関連し合って発展してきました。まず全体の地図を持ってから、個々の理論に入りましょう。
簡単にいうと
理論がたくさんあって覚えづらいけど、実はつながっている。マズローが土台で、それを修正したのがERG理論。そこから内容理論と過程理論が広がっていくよ!
① 組織行動論とは
組織行動論(ミクロ組織論)とは、組織のメンバーの行動に直接的に焦点をあて、個人行動や小集団に固有の現象に関心を寄せる研究です。
第7章の組織構造論が器を扱ったのに対し、この章は中にいる人を扱います。
② モチベーション理論とは
人を行動へ駆り立てるものは何か。そして、どういう道筋で駆り立てられるのか。これを扱うのがモチベーション理論です。言い換えれば、組織の目的と個人の目的をどう結びつけるかを探ってきた研究でもあります。
組織目的と個人目的を結び付けるという点が大事です。第7章で学んだバーナードの貢献意欲や、誘因と貢献の議論がここに引き継がれています。
③ 3つの分類
モチベーション理論は、大きく3つに分けて整理されます。
| 分類 | 何を明らかにするか | 問いの形 |
|---|---|---|
| 内容理論 | 個人の行動を動機づけるのは何か |
具体例
同じ職場の3人が、それぞれ違う理由で働いている例です。どの理論で説明できるかを見てみましょう。
Aさん(入社2年目) 「給料が上がれば頑張れます。ボーナスの査定が気になります」
・マズローでいえば生理的欲求・安全の欲求の段階
・ハーズバーグでいえば衛生要因に反応している
・外発的動機づけ要因で動いている
・過程理論(報酬と努力の関係)で説明しやすい
Bさん(入社8年目) 「チームで成果を出したときの一体感が好きです。上司に認めてもらえると嬉しい」
・マズローでいえば所属と愛の欲求・尊重の欲求(対人的)
・ERG理論でいえば人間関係の欲求
・まだ外発的な側面が強い段階です
Cさん(入社15年目) 「いまの仕事が面白いんです。去年できなかったことが今年できるようになるのが楽しい。給料はもう気にしていません」
・マズローでいえば自己実現の欲求
・ERG理論でいえば成長の欲求

モチベーション理論の体系
試験のポイント
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| 過程理論 | どのようなプロセスで動機づけられるのか | HOWやWHY |
| 内発的動機づけ理論 | 動機づけ要因が人間の内部に存在するという理論 | 動機の在りか |
④ 理論どうしのつながり
モチベーション理論が大きく動き出したのは1950年代ごろからです。以来いくつもの理論が現れましたが、ばらばらに生まれたわけではありません。ある理論の足りないところを次の理論が埋める、という形で互いにつながっています。
発展の流れは次のようになります。
❶ マズローの欲求段階説が土台になった
後続の理論の土台になったのが、マズローの欲求段階説でした。筋道が直感に合うため広く受け入れられましたが、現実に当てはめようとするといくつか具合の悪いところも抱えていました。
❷ それを修正したのがERG理論
そのマズローの理論を修正したのが、アルダファーのERG理論です。
❸ 成長欲求の充足に注目した理論群
次に出てきたのは、本当に人を動かすには高いほうの欲求を満たすしかないという見方です。ERG理論でいう成長欲求、欲求段階説でいう自己実現欲求にあたります。この考えから生まれたのが、アージリスの未成熟=成熟理論、マグレガーのX理論・Y理論、ハーズバーグの二要因論といった理論群でしたです。
3つとも「高次の欲求を満たすことが大事だ」という共通の問題意識から出ています。
❹ 報酬に着目した過程理論
さらに、主に金銭に代表される報酬による動機づけに着目した過程理論が提唱されました。
❺ 報酬がなくても動機づけられる
しかし人間は、そのような目に見える見返りがなくても仕事そのものを楽しいと感じたり、有能感を感じたりすることによって動機づけられることがあります。
これらは内発的動機づけ要因といわれ、これは上述の成長欲求(ERG理論)とほぼ一致するものです。
⑤ モチベーション理論対応表
ここまでの流れを1枚にまとめておきましょう。縦にマズローの5段階を並べ、他の理論がそれぞれどこに対応するかを示すと、全体の見通しが立ちます。
| マズローの欲求段階 | ERG理論 | 内容理論と過程理論 | 二要因論 | 内発/外発 |
|---|---|---|---|---|
| 5 自己実現の欲求 | 成長の欲求 | 内容理論(未成熟=成熟理論、X理論・Y理論、三欲求理論)/目標設定理論 | 動機づけ要因 | 内発的動機づけ要因 |
| 4 尊重の欲求(自己確認的) | 成長の欲求 | 同上 | 動機づけ要因 | 内発的動機づけ要因 |
| 4 尊重の欲求(対人的) | 人間関係の欲求 | 過程理論(期待理論、強化説、公平説) | 衛生要因 | 外発的動機づけ要因 |
| 3 所属と愛の欲求 | 人間関係の欲求 | 同上 | 衛生要因 | 外発的動機づけ要因 |
| 2 安全の欲求(対人的) | 人間関係の欲求 | 同上 | 衛生要因 | 外発的動機づけ要因 |
| 2 安全の欲求(物的) | 生存の欲求 | 同上 | 衛生要因 | 外発的動機づけ要因 |
| 1 生理的欲求 | 生存の欲求 | 同上 | 衛生要因 | 外発的動機づけ要因 |
⑥ 表を見るときの注意
ひとつ断っておくと、各理論は議論の入り口がそれぞれ違います。ひとつの表に押し込めて比べること自体、厳密にはできません。上の表は、あくまで全体の見取り図をつかむための目安です。
この留保は大事です。表は覚えるためのものであって、厳密に一対一で対応しているわけではないことを頭に入れておきましょう。
それでも、高次の欲求 = 内容理論 = 動機づけ要因 = 内発的、低次の欲求 = 過程理論 = 衛生要因 = 外発的という大きな対応をつかんでおくと、個々の理論が位置づけやすくなります。
・内発的動機づけ要因で動いている
上司がやるべきこと
3人に同じ手を打っても効きません。
・Aさんには、成果と報酬の関係を明確にする(過程理論の発想)
・Bさんには、チームでの役割と承認の機会をつくる
・Cさんには、もっと難しい仕事を任せる(職務充実)
Cさんに「賞与を増やす」と言っても、本人はもう反応しません。衛生要因をいくら改善しても、動機づけ要因にはならないからです。
理論が3系統に分かれているのは、人によって効くものが違うからだ、と理解しておくと、個々の理論の意味が見えてきます。
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