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内容理論

組織行動論

内容理論は「人は何(WHAT)によって動機づけられるのか」を探求する理論群である。マズローからマクレランドまで、6つの代表的理論を体系的に整理する。

1

マズローの欲求段階説

簡単にいうと

人間の欲求を5つの段階に分けて、低い欲求が満たされると次の高い欲求を目指すようになるという考え方だよ。ピラミッド型で整理されているのが特徴。

マズローは人間の欲求を低次から高次へ5段階に整理した。(1)生理的欲求:食物や水など生存に直結する本能的なもの、(2)安全の欲求:危険の回避や安定を求めるもの、(3)所属と愛の欲求(社会的欲求):集団への帰属や他者との愛情・友情を求めるもの、(4)尊重の欲求(自尊欲求):他者からの敬意や自分が優れているという認識を求めるもの、(5)自己実現の欲求:自らの潜在能力を最大限に発揮したいというもの。(1)~(4)は外部の充足に依存する欠乏動機、(5)は内面的な成長動機であり質的に異なる。また欲求の移行は不可逆的とされ、高次の欲求が満たされなくても低次に戻ることはないとした。

具体例

生理的欲求が満たされた従業員は、次に職場の安全や雇用の安定(安全の欲求)を求めるようになる。

生理的欲求から自己実現まで5段階のピラミッド図

マズローの欲求段階説

理論
提唱者
キーポイント
欲求段階説
マズロー
5段階の欲求ピラミッド。欠乏動機と成長動機。不可逆的移行。
ERG理論
アルダファー
3分類(E/R/G)。欲求の並行存在と退行(可逆性)を認める。
X理論・Y理論
マクレガー
人間観に基づく2つの管理アプローチ。Y理論ではMBOや権限委譲を推奨。
二要因論
ハーズバーグ
動機づけ要因と衛生要因は別次元。職務充実(ジョブエンリッチメント)を提唱。
未成熟=成熟理論
アージリス
人格の7次元の成長。職務拡大(ジョブエンラージメント)を提唱。
達成動機説(三欲求理論)
マクレランド
達成・権力・親和の3つの欲求。成功確率50%で最高の成果。

試験のポイント

  • 5段階の順序と名称、欠乏動機(下位4つ)と成長動機(自己実現)の区別、欲求移行の不可逆性がよく問われる
  • ERG理論との相違点としてもセットで出題される
2

アルダファーのERG理論

簡単にいうと

マズローの5段階を3つにまとめ直して、欲求は同時に存在できるし、高い欲求が満たされないと低い欲求に戻ることもあるよ、と修正した理論だよ。

アルダファーはマズローの欲求段階説を修正し、欲求を3つの次元に再分類した。(1)存在欲求(Existence):物質的・生理的な基本ニーズ、(2)関係性欲求(Relatedness):対人関係における欲求、(3)成長欲求(Growth):自分らしく生きたいという自己成長への欲求である。マズローとの相違点は2つある。第一に、3つの欲求は同時に並行して存在しうるという点(マズローは段階的移行を前提)。第二に、上位欲求(例えば成長欲求)が満たされない場合、下位欲求(関係性欲求)への関心が逆に強まるという退行(可逆性)を認めた点である。この退行の概念はマズローの不可逆的移行とは対照的である。

具体例

昇進が叶わず成長欲求が満たされない社員が、同僚との人間関係(関係性欲求)をより強く求めるようになるケース。

試験のポイント

  • E・R・Gの3分類の内容、マズローとの2つの違い(並行存在と退行・可逆性)が頻出
  • 特に退行の概念は選択肢の正誤判定で問われやすい
3

マクレガーのX理論・Y理論

簡単にいうと

人間は本来怠け者だと考えるか、自ら進んで働くものだと考えるかで、管理の仕方が全く変わるよね、という理論だよ。

マクレガーは管理者が持つ人間観を2つのタイプに分類した。X理論の人間観では、人は生まれつき仕事を嫌い、できれば働きたくないと考える。そのため命令や統制による管理が必要で、人は指示されることを好み責任を回避するとされる。一方Y理論の人間観では、人は自ら進んで目標に向かい献身的に取り組む存在であり、条件次第で自ら責任を引き受けるとする。Y理論に基づく具体的な管理手法として、(1)目標管理制度(MBO: Management By Objectives):個人が主体的に目標を設定し自己統制で実現を図る制度、(2)権限委譲、(3)職務拡大が挙げられる。

具体例

Y理論を採用する企業では、社員に自ら目標を立てさせ、達成プロセスも本人に任せるMBOを導入している。

試験のポイント

  • X理論とY理論それぞれの人間観の内容を正確に区別すること
  • Y理論に基づく管理手法としてMBO(目標管理制度)が出題頻度が高い
4

ハーズバーグの二要因論(動機づけ=衛生理論)

簡単にいうと

仕事のやる気を高める要因と、不満を防ぐ要因は全く別物だよ、という発見をした理論。不満をなくしてもやる気は出ないんだ。

ハーズバーグはマクレガーのY理論を発展させ、職務に関連した実証研究から二要因論を提唱した。職務に対する満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は、同じ尺度の両端ではなく別々の次元であることを発見した。満足を生み出す動機づけ要因には、達成感・仕事への責任・承認・昇進・仕事そのものなどがあり、積極的態度を引き出す。一方、不満を防止する衛生要因には、会社の方針・上司の監督・給与・人間関係・労働条件・作業環境などがあり、これらを改善しても不満の解消にとどまり積極性は生まれない。この理論に基づき、動機づけ要因を強化する具体策として職務充実(ジョブエンリッチメント)を提唱した。職務充実とは仕事に計画・準備・統制などを加え、責任や権限の範囲を拡大して仕事の質を高める垂直的拡大の方法である。

具体例

給与(衛生要因)を上げても不満は減るがやる気は出ない。仕事の裁量権(動機づけ要因)を広げることで初めて積極性が生まれる。

試験のポイント

  • 動機づけ要因と衛生要因の具体例の分類が頻出
  • 両者が別次元であること(衛生要因の改善では動機づけにならない点)が重要
  • 職務充実と職務拡大の違いも問われる
5

アージリスの未成熟=成熟理論

簡単にいうと

人は未成熟な状態から成熟へと成長していくのに、組織の管理方法がそれを邪魔しているよ、という問題を指摘した理論だよ。

アージリスはマズローの自己実現欲求に着目し、人格の成長に関する理論を展開した。個人の人格は未成熟な状態から成熟に向かって7つの次元で変化するとした。(1)受動的行動→能動的行動、(2)依存的→自立的、(3)単純な行動→多様な行動、(4)浅い関心→深い関心、(5)短期的展望→長期的展望、(6)従属的地位→優越的地位、(7)自覚の欠如→自覚と自己統制。しかし従来の管理原則に基づく組織運営は、成員に未成熟な特質を要求するため、モチベーションを低下させると指摘した。組織の健全化と成員の自己実現を両立させるため、職務拡大(ジョブエンラージメント)を提唱した。これは職務の構成要素となる課業の数を増やし仕事の範囲を水平的に広げる方法である。

具体例

単純作業だけだった従業員に関連する別の作業も担当させ、仕事の幅を広げる(職務拡大)ことで成長を促す。

試験のポイント

  • 未成熟から成熟への7つの変化の方向性を把握すること
  • 職務拡大(水平的拡大)とハーズバーグの職務充実(垂直的拡大)の違いが頻出の比較論点
6

マクレランドの達成動機説(三欲求理論)

簡単にいうと

人を動かす主な欲求は「何かを成し遂げたい」「人に影響を与えたい」「仲良くしたい」の3つだよ、という理論だよ。

マクレランドは人間を動機づける主要な欲求として3つを提唱した。(1)達成欲求:一定の基準を目指して成功しようと努力する欲求。この欲求が強い人は他者より良い成績を上げたいと願い、成功の報酬よりも自力で成し遂げることを重視する。偶然や他者任せを嫌い、自己責任で取り組むことを好む。成功確率が五分五分のときに最も高い成果を発揮するとされる。(2)権力欲求:他者に影響力を行使しコントロールしたいという欲求。責任を与えられることを好み、競争的な環境や地位・身分を重視する傾向がある。(3)親和欲求:友好的で親密な対人関係を築きたいという欲求。競争よりも協力を促し、相互理解に基づく関係を重視する。

具体例

達成欲求の高い起業家は、簡単すぎず難しすぎない適度な挑戦(成功確率50%程度)の課題で最も力を発揮する。

試験のポイント

  • 3つの欲求(達成・権力・親和)の特徴を正確に区別すること
  • 達成欲求が高い人の特徴(成功確率50%で最高パフォーマンス、自己責任志向)が特に問われやすい

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