消費者購買行動と組織購買行動
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プレミアムで見るここまでは、個人の消費者が買う場面を見てきました。しかし、世の中の取引の多くは企業が企業から買うものです。
組織購買行動は、消費者購買行動と比較していくつかの点で異なっています。
なお、組織購買の対象となる財を産業財(生産財)といいます。
この節で押さえるのは、組織購買行動の5つの特徴です。
5つとも、買うのが個人ではなく組織だからという一点から説明がつきます。丸暗記するより、そこから導けるようにしておくと確実です。
簡単にいうと
会社が会社から買うときは、個人の買い物とはずいぶん違うんだ。5つの違いを押さえよう!
① 集団による意思決定プロセス
消費者行動は個人の意思決定をその分析の基礎におきますが、組織行動はその行動単位を一定の集団としてとらえることができ、その集団としての組織的な意思決定が行われます。
多くの人物がかかわるため、意思決定が複雑になります。
使う人、選ぶ人、決める人、払う人が別々です。誰に何を訴えるかも、それだけ分かれることになります。
② 長期的な取引関係
一般に組織間の取引は、少数の取引先を対象に長期的な取引が行われることが多くなります。
よって、販売者は購買者と密接なリレーションシップを築くことが重要です。
消費者向けなら、一度の取引で終わっても構いません。しかし組織間では、一度取引が始まれば何年も続きます。だから関係そのものが資産になります。
③ 取引の専門性
組織間の取引では、その取引内容が技術的に複雑なものとなる場合が多く、取引担当者にも専門性が要求されます。
売る側も、製品知識だけでなく買い手の業務そのものへの理解が要ります。
④ 低い価格弾力性
(需要の)価格弾力性とは、価格変化による需要の反応度
具体例
同じ「コーヒー豆を買う」という行為を、個人とカフェチェーンで比べてみます。
個人のOさんが買う場合
スーパーで、パッケージの雰囲気が気に入った豆を選びました。500円。決めたのはOさん一人で、所要時間は1分。
翌月は別の銘柄を試すかもしれません。
カフェチェーンP社が買う場合
集団による意思決定商品開発部が候補を3社に絞り、品質管理部が成分と残留農薬を検査し、調達部が価格と供給の安定性を評価し、最後に役員会が決めました。3か月かかっています。
長期的な取引関係決まった相手とは5年の供給契約を結びました。毎年の作柄の情報交換も行い、P社の担当者は年に2回、産地を訪れています。
取引の専門性P社の調達担当は、生豆の等級、水分値、焙煎度合いによる味の変化まで分かる人が就いています。売る側の商社の担当者も同様です。
低い価格弾力性ある年、豆の相場が2割下がりました。
しかしP社の購入量は変わりませんでした。店舗数も1日の販売杯数も変わらないので、必要な量が増えるわけではないからです。
安くなったぶんは利益になっただけで、需要は動きませんでした。
合理的な意思決定「パッケージが素敵だから」という理由で選ぶ人はこの過程のどこにもいません。
同じ豆でも、誰が、どう決め、どれだけ買うかがまったく違う。これが組織購買行動の特徴です。

組織購買行動の6つの特徴
試験のポイント
簡単にいうと
組織が買うときは、決める人が1人じゃないんだ。誰に働きかけるかを見極めるのが、法人営業の勘所だよ!
① 購買センター
購買センターとは、組織の購買意思決定にかかわる人々の集まりのことです。部署の名前ではなく、その購買に関与する人たちを指す考え方です。
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これが低いということは、価格を下げても需要があまり増えないということになります。
産業財の総需要の多くは、特に短期的には価格変化の影響をさほど受けない傾向があります。
⑤ なぜ価格弾力性が低いのか
理由を考えると腑に落ちます。
産業財の需要は、その先にある最終製品の需要から生まれるものです。
自動車用の鋼板が半額になっても、自動車が売れなければ必要な鋼板の量は増えません。作る台数が決まっているからです。
個人なら「安いからもう1つ買っておこう」となりますが、組織はそうしません。必要な量は、事業の側で決まっているからです。
⑥ 合理的な意思決定
組織における購買は、消費者の購買と比較して感情的な要因が少なく、合理的な要因によって意思決定がなされます。
これも、集団で決めることから導けます。担当者個人の好みで選べば、社内で説明がつきません。数字と仕様で説明できる理由が要ります。
⑦ 5つは1つの原因から出ている
改めて並べると、5つとも買うのが個人ではなく組織だからという一点から説明がつきます。
この筋道を持っておけば、5つを別々に覚える必要はありません。
② なぜこの考え方が要るのか
前のテーマで見た集団による意思決定を、一段細かくしたものがこの購買センターです。
消費者向けなら、買う人に訴えれば済みます。しかし組織では、訴える相手を間違えると話が進みません。
使う人がどれだけ気に入っても、決定者が費用対効果に納得しなければ決まりません。逆に決定者を説得しても、門番のところで面会を断られれば届きません。
誰がどの役割を担っているかを見極めること。それが組織を相手にする営業の出発点になります。
③ 購買状況の3類型
組織の購買は、これまでの経験によって次の3つに分かれます。
単純再購買(ストレート・リバイ)
これまでと同じものを、同じ相手から、そのまま買い続けるものです。検討はほとんど行われず、購買担当者だけで完結します。
修正再購買(モディファイド・リバイ)
仕様、価格、取引条件などを見直したうえで買うものです。ある程度の検討が入り、関与する人も増えます。
新規購買(ニュータスク)
初めて買うものです。関与する人が最も多く、検討に時間もかかります。
④ 3類型は消費者購買行動と同じ構造
この3つは、第13章2節で見た定型的・限定的・拡大的問題解決と同じ並びです。
知らないことが増えるほど、検討の手間が増える。買い手が個人でも組織でも、この構造は変わりません。
⑤ 売り手から見た意味
3類型は、売り手の立場によって狙いが変わります。
すでに取引のある売り手(インサイダー)は、単純再購買のまま続けてもらうのが有利です。検討が起きなければ、他社が入り込む隙がありません。
取引のない売り手(アウトサイダー)は、修正再購買や新規購買の場面を狙うしかありません。検討が起きて初めて、候補に入れてもらえるからです。
具体例
工場の検査装置を入れ替える場面を追ってみます。
購買センターの顔ぶれ
売り手がどう動いたか
A社の営業は工場長にだけ提案し、断られました。現場が「いまのやり方を変えたくない」と反対したためです。
B社の営業は、まず現場に試作機を1週間置かせてもらい、作業者から「これなら楽だ」という声を集めました。そのうえで品質保証部と仕様を詰め、工場長には費用対効果の試算を出しました。
受注したのはB社でした。
購買状況で見ると
この工場にとって検査装置の入れ替えは15年ぶりの新規購買でした。だから関与者が多く、半年かかりました。
一方、この工場が毎月買っている検査用の消耗品は単純再購買です。資材部が同じ相手に同じ数量を発注するだけで、工場長も品質保証部も関与しません。
B社がこの消耗品にも食い込みたいなら、単純再購買を修正再購買に変える必要があります。たとえば、いまの品より不良率が低いというデータを持ち込んで、検討を起こさせることです。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
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