人的資源管理
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「PPM」の動画を再生します。
この節の解説動画はプレミアム限定です。プレミアムなら全科目・全節が見放題!(この節は全2パート)
プレミアムで見る労働基準法のなかで、最も条文が細かく、最も出題が多いのがこの節です。
扱う範囲は広く、労働時間、変形労働時間制、休憩、休日、時間外労働と36協定、みなし労働時間制、年次有給休暇、そして適用除外まで含みます。
数字が次々に出てきますが、原則をひとつ決めて、そこからの例外として覚えるという読み方をすれば整理できます。
原則は単純です。1日8時間、1週40時間を超えて働かせてはならない。残りはすべて、この線をどう動かすか、どういう手続きを踏めば超えられるか、誰にはこの線があてはまらないか、という話にすぎません。
簡単にいうと
まず「1日8時間、1週40時間」という線を覚えよう。会社が決める時間とは別物だから、そこの区別が大事だよ!
① 労働時間とは
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令の下に置かれている時間をいいます。
ここで注意したいのは、労働時間にあたるかどうかは客観的に判断されるという点です。就業規則などで労働時間とされた時間が、そのまま法律上も労働時間として扱われるわけではありません。
会社が「これは自主的な活動だから労働時間ではない」と定めても、実態として使用者の指揮命令下にあれば労働時間になります。実態で決まるということです。
② 法定労働時間
労働基準法は、労働者の保護という観点から1日および1週間の労働時間を制限しています。使用者は、定められた労働時間を超えて労働者を働かせてはなりません。
③ 1週44時間の特例
ただし、常時使用する労働者の数が10人未満の次の事業については、特例として1週間の法定労働時間は44時間とされています。
具体例
始業9時、終業17時、休憩12時から13時という会社を考えます。
所定労働時間 … 9時から17時までの8時間から休憩1時間を引いて7時間
法定労働時間 … 1日8時間
Sさんが19時まで働きました。実際の労働時間は9時間です。
この会社が割増賃金を払う義務があるのは、後者の1時間分です。前者の1時間については、通常の賃金を払えば法律上は足ります(就業規則で割増を定めていれば、それに従います)。
もうひとつの例従業員8名の理髪店では、常時使用する労働者が10人未満で商業にあたるため、1週間の法定労働時間は44時間です。
1日8時間の上限は変わらないので、1日8時間×週5.5日といった組み方になります。週の枠だけが緩む特例だ、という点に注意してください。

労働時間・休憩・休日のルール
試験のポイント
簡単にいうと
忙しい時期と暇な時期がある仕事のための仕組みだよ。4種類あるから、変形期間と手続きを表で押さえよう!
① 変形労働時間制とは
仕事の性質上、特定の日または特定の週について労働時間が1日8時間・1週40時間の制限内に収まらない場合には、一定の条件のもとで変形労働時間制をとることが認められています。
この制度は、労働時間を弾力化し、仕事の繁閑に応じた労働時間の配分を行うことによって、実質的な労働時間を短縮することを目的としています。
② 発想は平均化
仕組みの考え方は共通しています。一定の期間を通して平均すれば週40時間に収まるなら、個々の日や週が8時間・40時間を超えてもよい、というものです。
繁忙期に10時間働き、閑散期に6時間で帰る。平均すれば8時間。枠を日ごとに固定するより、この形のほうが総労働時間はかえって短くなる、という理屈です。
③ 4つの種類
ⅰ 1年単位の変形労働時間制
簡単にいうと
休憩は「6時間超で45分、8時間超で1時間」。与え方にも3つの原則があるよ。数字と原則をセットで覚えてね!
① 休憩時間
休憩時間は、原則として次のとおり与えなければなりません。
労働時間が6時間ちょうどなら、休憩を与える義務はありません。超えるかどうかが分かれ目です。
8時間ちょうどの場合は45分以上。8時間を1分でも超えれば1時間以上になります。
② 休憩の与え方の3原則
簡単にいうと
残業させるには手続きが要るんだ。その中心が36協定。上限の数字もセットで問われるよ!
① 原則は禁止
労働基準法は原則として、週または1日の法定労働時間を超えて労働させることや、少なくとも毎週1回(または4週に4日以上)の休日に労働させることを禁止しています。
残業が当たり前に行われているので忘れがちですが、法律上は禁止が原則です。ここを出発点に置くと、36協定の意味が分かります。
② 例外が認められる3つの場合
災害の発生や業務の都合上、労働時間を延長したり休日に働かせたりしなければならない場合もあるため、次の場合には時間外または休日に労働させることが認められています。
簡単にいうと
働いた時間が測りにくい仕事のための仕組みだよ。3種類あって、手続きの重さが違うんだ!
① みなし労働時間制とは
実際に働いた時間を測る代わりに、一定の時間働いたものとみなす仕組みです。
3つの種類があります。
② 事業場外労働のみなし労働時間制
労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされます。
簡単にいうと
6か月続けて働いて、8割以上出勤すれば10日もらえるよ。そこから1年ごとに増えていく仕組みなんだ!
① 年次有給休暇とは
労働基準法は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持を図るため、法定の休日のほかに毎年一定の日数の休暇を有給(休暇中の賃金を支払う)で与える権利を定めています。これを年次有給休暇といいます。
② 発生要件
発生要件は2つです。
③ 全労働日と出勤とみなされる期間
全労働日とは、労働契約により労働する義務のある日をいいます。一般的には、6か月(または1年)の総暦日数から所定の休日を引いたものが全労働日となります。
簡単にいうと
労働時間の規定があてはまらない人がいるんだ。でも「全部が除外」ではないところが引っかけどころだよ!
① 法41条該当者
労働基準法では、次の者(法41条該当者)については、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用しないこととしています。
② 除外されないもの
ここが最大の引っかけどころです。
法41条該当者であっても、年次有給休暇および深夜業の規定は適用されます
動画・テキスト・過去問・AI添削まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
いずれも、客がいる時間に人を置かなければならないという性質の仕事です。小規模でこれをやろうとすると、週40時間の枠では人手が回らなくなる。特例はそこへの配慮です。
映画の製作が除かれているのは、こちらが撮影所での製造業に近い働き方だからです。
④ 所定労働時間との違い
所定労働時間とは、労働協約、就業規則等に定められた始業時刻から終業時刻までの時間から、所定の休憩時間を差し引いた労働時間をいいます。
法定は法律が決める上限、所定は会社が決める長さです。所定労働時間は、法定労働時間以下でなければなりません。
⑤ 時間外労働も2種類ある
この区別があるので、時間外労働も2つに分かれます。
始業9時、終業17時、休憩1時間の会社なら、所定労働時間は7時間です。19時まで働いた場合、17時から19時までの2時間が所定時間外労働、そのうち18時から19時までの1時間が法定時間外労働になります。
割増賃金の対象になるのは法定時間外労働のほうです。この区別は、次の節の賃金の規定につながります。
なお、始業時刻から終業時刻までの全体を拘束時間といい、そこから休憩を除いたものが実際の労働時間になります。
1か月を超え1年以内の一定期間を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えない限り、ある日または週の労働時間が8時間・40時間を超えてもよい制度です。
ⅱ 1週間単位の非定型的変形労働時間制
1週間の労働時間が40時間を超えない限り、ある日の労働時間を8時間を超えて延長できる制度です。
対象は、常時使用している労働者が30人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店に限られます。日ごとの客の入りが読めない業種、という括りです。
ⅲ フレックスタイム制
清算期間(労働者が労働すべき時間が定められた期間)を平均して、1週間の労働時間が法定労働時間を超えないという制約のもとで、始業および終業の時刻を労働者が自主的に決定できる制度です。
ここが他の3つと決定的に違います。他が会社側で時間を配分するのに対し、フレックスタイム制は労働者が決めます。
2つ、間違えやすい点があります。
ひとつ。始業と終業の両方を労働者の決定に委ねなければなりません。どちらか一方だけを委ねる形は、フレックスタイム制にあたりません。
もうひとつ。清算期間は3か月以内まで認められます。1か月を超えることはできない、という説明は誤りです。ただし、清算期間が1か月を超え3か月以内の場合は、届出が必要になります。
ⅳ 1か月単位の変形労働時間制
1か月以内の一定期間を平均して、1週間の労働時間が法定労働時間を超えない限り、ある日または週の労働時間が8時間・法定労働時間を超えてもよい制度です。
④ 手続きの違い
4つは、必要な手続きが違います。
1年単位と1週間単位は、労使協定と届出の両方が必要です。
1か月単位は、労使協定と届出、または就業規則等のいずれかで足ります。
フレックスタイム制は、就業規則等と労使協定が必要です。
変形する期間が長いほど、手続きが重いという傾向があります。長い期間で平均をとる制度ほど、特定の時期に労働が偏る危険が大きくなるからです。
具体例
3つの会社が、それぞれ別の制度を選んだ例を見てみます。
スキー用品メーカーT社 … 1年単位
10月から1月が繁忙期、5月から8月が閑散期です。繁忙期は1日9時間、閑散期は1日7時間と決め、1年を平均して週40時間に収まるよう組みました。
1年単位では1日10時間・1週52時間が上限ですから、9時間なら枠内です。労使協定を結び、労働基準監督署長へ届け出ました。
居酒屋U店(従業員12名)… 1週間単位
金曜と土曜は満席、月曜と火曜はがらがら。しかも週によって予約の入り方が読めません。
常時使用している労働者が30人未満の飲食店にあたるため、1週間単位の非定型的変形労働時間制が使えます。金曜は10時間、月曜は6時間、といった組み方を週ごとに決められます。
ソフトウェア会社V社 … フレックスタイム制
清算期間を3か月とし、コアタイムを11時から15時に設定しました。それ以外の時間帯は、いつ出社しいつ退社するかを本人が決めます。
リリース前の月は総労働時間が長くなり、その後の月に短く働いて調整する。清算期間を3か月にとったのは、この山と谷が2か月周期で来るからです。
就業規則にフレックスタイム制の定めを置き、労使協定を結んだうえで、清算期間が1か月を超えるため届出も行いました。
試験のポイント
3つとも、休憩が休憩として機能するための条件です。
始業前や終業後にまとめて与えるのでは、疲労を回復させるという目的を果たせません。だから途中に与える。
電話番を残す形で交代に休ませると、残された人は休めません。だから一斉に与える(労使協定があれば交替で与えることも認められます)。
そして、休憩中に職場で待機を命じられていれば、それは実質的に労働時間です。だから自由に利用させる。
③ 休日
使用者は、労働者に毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。
例外として、4週間を通じて4日以上の休日を与える変形休日制も認められています。
毎週1回という形が守れない業種のための例外です。4週で4日ですから、3週間連続で働いて4週目に4日休む、という組み方も可能になります。
④ 法定休日と所定休日
労働時間と同じく、休日にも2種類あります。
労働基準法が求めているのは週1回です。週休2日制の会社では、そのうち1日が法定休日、もう1日は会社が決めた所定休日になります。
この区別は割増賃金の率に関わってきます。次の節で扱います。
具体例
3つの勤務パターンで、必要な休憩を確かめてみます。
パターン1 9時から16時まで勤務(休憩を除く労働時間6時間)
6時間を超えていないので、休憩を与える義務はありません。短時間勤務のパート従業員でよく見る形です。
パターン2 9時から18時まで、休憩45分(労働時間8時間15分)
これは違反です。8時間を超えているので、休憩は1時間以上必要になります。
この会社が「所定は8時間だから45分でよい」と考えたのなら、見方が誤っています。基準になるのは実際の労働時間です。
パターン3 コールセンターで、12時から13時の休憩中も1名が電話番として席に残る
残った人については、一斉付与の原則と自由利用の原則の両方に触れます。
この会社は労使協定を結び、11時30分からと12時30分からの2交替で休憩を与える形に改めました。労使協定があれば一斉付与の例外が認められるためです。ただし、休憩中に業務から解放されていることは変わりません。
試験のポイント
③ 36協定
労使の間で書面の協定を結んで所轄労働基準監督署長に届け出れば、法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりすることが可能になります。
この協定は労働基準法第36条に定められているため、36協定といわれています。
協定の当事者は、事業場の状況によって変わります。
就業規則の作成手続と同じ組み合わせです。労働基準法では、この「過半数組合または過半数代表者」という形が繰り返し出てきます。
④ 36協定の効果は免罰
ここが第12節で触れた論点です。
36協定は、労働条件を定める文書ではありません。本来は禁止されている時間外労働について、罰せられなくなる効果を持つものです。
だから、法令・労働協約・就業規則・労働契約の優先順位のどこにも入りません。性格が違うのです。
⑤ 時間外労働の上限
36協定を結べば無制限に働かせてよい、というわけではありません。
時間外労働の上限は、新たな技術、商品または役務の研究開発に係る業務など一部の業務・事業を除き、原則として月45時間、年360時間です(いずれも休日労働時間を除く)。
ただし、通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い、臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合には、次の枠まで認められます。
⑥ 休日労働を含むか含まないか
ここが最も間違えやすいところです。
月45時間・年360時間・年720時間は休日労働時間を除いた枠。
単月100時間未満・複数月平均80時間は休日労働時間を含んだ枠です。
後者の2つは、健康を損なう危険の大きさから引かれた線です。身体にとっては、平日の残業も休日出勤も同じ負担ですから、合算して測るわけです。
なお、対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制を適用した場合は、原則の枠が月42時間、年320時間に下がります。
具体例
製造業W社の36協定と、実際の残業時間を照らし合わせてみます。
W社の36協定労働組合がないため、全従業員の投票で過半数代表者を選び、書面で協定を結びました。労働基準監督署長への届出も済ませています。
協定では、原則の限度時間である月45時間・年360時間を定め、加えて臨時的な特別の事情がある場合の特別条項も置きました。
Xさんの1年間
確かめるべき点
ⅰ 単月100時間未満か10月は時間外80+休日15=95時間。11月は70+20=90時間。どちらも100時間未満なので、この点は満たします。
ⅱ 複数月平均80時間以内か10月と11月の平均は(95+90)÷2=92.5時間。80時間を超えています。
この2か月だけを取り出すと基準に触れます。W社は11月の途中で応援を投入し、12月以降の残業を抑えることで平均を戻さなければなりません。
ⅲ 年720時間以内か時間外労働だけを合計すると30×6+80+70+25×4=430時間。休日労働は含めない枠なので、720時間の範囲に収まっています。
同じ残業時間でも、見る枠によって判定が変わる。だからこそ「休日労働を含むか」の区別が重要になります。
試験のポイント
ただし、その業務を行うにあたり通常所定労働時間を超えて労働することが必要である場合は、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。
要件は「事業場外にいること」ではなく、労働時間を算定し難いことである点に注意してください。上司が同行している場合や、随時連絡を取って指示を受けている場合は、算定できるのでこの制度は使えません。
③ 専門業務型裁量労働制
新商品の研究開発など、その業務を行う方法や時間配分などを労働者の裁量に委ねる必要があるため、使用者が具体的な指示をすることが困難な業務を裁量労働といいます。
専門業務型裁量労働制の場合、裁量労働にたずさわる労働者の労働時間については、労使協定で定められた時間労働したものとみなされます。
採用するためには、労使協定を結び、対象労働者の同意を得なければなりません。また、当該協定は所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。
対象となる業務には、次のようなものがあります。
④ 企画業務型裁量労働制
企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査および分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するためにはその遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段および時間配分の決定などに関し、使用者が具体的な指示をしないこととする業務が対象となります。
また、対象となる労働者は、当該業務を適切に遂行するための知識、経験などを有する労働者に限られます。
採用するためには、事業場に労使委員会を設置し、その委員の5分の4以上の多数による決議および対象労働者の同意を得ること等をし、その決議を所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
労使委員会とは、賃金、労働時間その他の当該事業における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会をいいます(使用者および当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限ります)。
⑤ 手続きの重さが違う
3つを並べると、手続きの重さに差があります。
専門業務型は労使協定、企画業務型は労使委員会の5分の4以上の決議。企画業務型のほうが重い。
対象業務の範囲が広く、曖昧になりやすいぶん、歯止めを厚くしてあるということです。どちらも対象労働者本人の同意が要る点は共通しています。
具体例
3つの制度が実際にどう使われるかを見てみます。
事業場外労働のみなし労働時間制 … 訪問営業のYさん
朝から直行で顧客を回り、そのまま直帰します。上司が同行することはなく、訪問先も時間配分もYさんが決めています。労働時間を算定し難いので、所定労働時間の8時間働いたものとみなされます。
ただし、この会社が途中でGPS付きの業務端末を導入し、訪問開始と終了を随時報告させるようにしたら、労働時間は算定できるようになります。その時点で、この制度は使えなくなります。
専門業務型裁量労働制 … システム設計のZさん
情報処理システムの分析・設計にあたっています。会社は労使協定で「1日9時間とみなす」と定め、Zさん本人の同意を得たうえで、労働基準監督署長に届け出ました。
Zさんが6時間で帰った日も、12時間かかった日も、9時間として扱われます。
企画業務型裁量労働制 … 経営企画室のAさん
中期経営計画の立案を担当しています。事業の運営に関する企画・立案・調査・分析の業務にあたり、Aさんには10年の経験があります。
会社は労使委員会を設置し、委員10名のうち9名の賛成(5分の4以上)で決議を行い、Aさんの同意を得て、労働基準監督署長へ届け出ました。
同じ経営企画室でも、上司の指示どおりに資料を作るだけの担当者は対象になりません。遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務であることが要件だからです。
試験のポイント
使用者の責任で休業した日やストライキによる休業の日などは、全労働日から除かれます。
また、次の場合は出勤したものとみなされます。
いずれも、本人の落ち度で休んだわけではない期間です。これらを欠勤として数えれば、けがや出産をした人が年休を失うことになってしまいます。
④ 付与日数
原則として、6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、10日の有給休暇を与えなければなりません。
以後、勤続1年を経過するごとに、一定の日数を加算した有給休暇を与えなければなりません。
前年度(当初は6か月)の出勤率が8割に満たないときは、その年度は有給休暇を新たに付与する必要はありません。
⑤ 時季指定権と時季変更権
年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければなりません。
ただし、請求された時季に休暇を与えると事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者はその時季を変更することが認められています。
ここで大事なのは、使用者にあるのは時季を変更する権利であって、拒否する権利ではないという点です。「忙しいから今年は年休を認めない」ということはできません。
⑥ 3つの取得パターン
取得のさせ方には3つの形があります。
ⅰ 労働者が取得する時季を指定する方法
最も基本的な形です。
ⅱ 労使協定による計画的付与
労使協定により取得の時季を指定する方法です。ただし、労働者が保有する年次有給休暇のうち5日を超える部分に限られます(最低5日はⅰのために残しておく必要があります)。
ⅲ 使用者が取得の時季を指定する方法
年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者が対象です。この対象労働者に対して、使用者は年5日について、年次有給休暇の取得の時季を指定しなければなりません。
ただし、ⅰやⅱによって取得時季が指定された場合は、その日数の合計を5日から差し引きます。
つまり、使用者は年に最低5日間は、労働者に年次有給休暇を取得させなければならないということです。
⑦ なぜ5日という線があるのか
ⅲは、権利があっても使われない現実への対応です。周囲に遠慮して申し出られないなら、使用者の側から日を指定させる。取得を義務にしたわけです。
具体例
4月1日に入社したBさんの年休を追いかけてみます。
10月1日(勤続6か月)
この6か月の所定労働日は125日。そのうち出勤したのが108日で、出勤率は86.4%。8割以上なので、10日の年休が付与されます。
なお、Bさんは7月に業務中のけがで5日休んでいますが、業務上の負傷による療養のための休業期間は出勤したものとみなされるため、出勤率を下げる要因にはなりません。
翌年10月1日(勤続1年6か月) … 11日
その後の推移2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月以上で20日。ここが上限です。
3年6か月を境に、増え方が1日刻みから2日刻みに変わります。
時季をめぐるやり取りBさんが12月28日から1月4日までの年休を申し出ました。この時期は年末の出荷が集中し、Bさんの担当工程が止まると出荷全体が止まります。
会社はこれを時季変更権により1月中旬へ変更しました。「事業の正常な運営を妨げる」と認められる場合だからです。
ただし、会社が「年末年始は毎年忙しいので年休は認めない」という運用をしていたなら、それは通りません。使用者にあるのは変更する権利であって、拒否する権利ではないからです。
年5日の取得義務Bさんの付与日数は10日以上なので、会社は年5日について取得時季を指定する義務を負います。
Bさんが自分で3日取得していれば、会社が指定するのは残り2日。自分で5日以上取得していれば、会社の指定は不要になります。
試験のポイント
除外されるのは労働時間・休憩・休日の3つだけ。「管理職には年休がない」「管理職には深夜割増が付かない」という説明は誤りです。
管理監督者に深夜割増が付くのは、深夜業の規制が労働時間の長さの問題ではなく、夜に働くこと自体の健康への影響を扱っているからです。立場が管理監督者であっても、身体への負担は変わりません。
③ 管理監督者の判断は実態で行う
管理監督者については、職制上の役職者がすべて該当するわけではありません。
経営者と一体的な立場であるなどの実態的な基準により該当するかを判断します。
課長という肩書きを付けただけで残業代の支払いを免れようとする運用が認められないのは、この考え方によります。肩書きではなく、
こうした実態から判断されます。
④ 高度プロフェッショナル制度
職務の範囲が明確で一定の年収を有する労働者が、高度の専門的知識等を必要とする業務(金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリスト業務、コンサルタント業務、新技術・商品・役務の研究開発業務)に従事する場合に、年間104日の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講じることを条件として設けられている制度です。
この制度では、労働時間、休憩、休日、深夜の割増賃金の規定が適用除外となります。
⑤ 法41条該当者との違い
2つの違いは2点あります。
ひとつ。高度プロフェッショナル制度では深夜の割増賃金も適用除外になります。法41条該当者では深夜業の規定が適用されたのと対照的です。
もうひとつ。高度プロフェッショナル制度でも、年次有給休暇の規定は適用されます。年休が除外されないのは両者に共通しています。
⑥ 導入の要件
導入には、次のものが必要です。
企画業務型裁量労働制と同じ手続きです。適用除外の範囲が広い制度ほど、導入の手続きが重くなっています。
具体例
小売業C社の4人について、適用関係を確かめてみます。
店長のDさん肩書きは店長ですが、出退勤はタイムカードで管理され、アルバイトの採用も本部が決めています。給与も一般社員と大差ありません。
この場合、実態として経営者と一体的な立場とはいえず、管理監督者にはあたりません。時間外労働の割増賃金を支払う必要があります。
取締役営業本部長のEさん出店の判断に参画し、人事についても決定権を持ち、出退勤は自由裁量です。報酬も一般社員とは大きく差があります。
管理監督者にあたります。労働時間・休憩・休日の規定は適用されません。
ただし、Eさんが深夜0時まで働けば深夜割増賃金は支払われます。年次有給休暇の権利も、当然あります。
社長秘書のFさん機密の事務を取り扱う者にあたるため、労働時間・休憩・休日の規定は適用されません。深夜業と年休の規定は適用されます。
アナリストのGさん(年収1,500万円)高度プロフェッショナル制度の対象として、労使委員会の決議とGさん本人の同意を得たうえで導入しました。
会社は年間104日の休日を確実に取得させる措置を講じています。
Gさんには深夜割増賃金も支払われません。ここが管理監督者との違いです。ただし年次有給休暇の規定は適用されます。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。