人的資源管理
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プレミアムで見るここから3つの節を使って雇用管理を見ていきます。雇用管理が扱うのは、採用・配置・異動・退職。つまり、人が会社に入ってきて、社内を動き、やがて出ていくまでの流れそのものです。人事制度の4つのサブシステムのなかでも、従業員の一生に最も長く付き合う部分だといえます。
その入口にあたるのが、この節の採用管理です。「良い人がいたら採る」では制度になりません。何人必要なのかを先に見積もり、どういう採り方をするかを決めてから動く。その手順と、日本企業の採り方がいまどう変わりつつあるのかを押さえます。
簡単にいうと
採用は「人が足りないから募集しよう」から始まるんじゃないんだ。先に「何人要るか」を数えるところから始まるんだよ!
① 要員計画とは何か
要員計画とは、これからの事業活動を進めるうえで何人の従業員が必要になるのかをあらかじめ見積もり、その人数を確保するための道筋を立てることをいいます。
ここで大事なのは順番です。採用は要員計画を実行するための手段であって、出発点ではありません。必要数の見積もりを飛ばして募集をかければ、採りすぎて人件費を圧迫するか、採り足りずに現場が回らないか、どちらかになります。
② 必要人数はどう出すのか
要員計画の骨は、必要な人数と現在の人数の差を測ることです。ただし、現在の人数がそのまま将来まで残るわけではありません。定年退職や自己都合退職で、毎年いくらかは必ず抜けていきます。
そこで、埋めるべき差は次のかたちで捉えます。
採用数 = 将来の必要数 −(現在の人数 − 退職見込数)
この式は暗記するものではなく、「差を埋める」という発想を数式にしただけのものです。選択肢のなかで要員計画が出てきたら、この引き算の形を思い出せば判断がつきます。
③ 差の埋め方は採用だけではない
人手が足りないと分かったとき、外から採る以外にも手はあります。
要員計画は、こうした選択肢を並べたうえで「どれをどれだけ使うか」を決める場でもあります。社内で回す道については、次の第5節で詳しく扱います。
具体例
従業員200名の食品メーカーを考えてみましょう。3年後に新工場を立ち上げる計画があり、製造部門には今より30名多い人手が要ると見込まれました。
一方で、この3年のあいだに定年を迎える人が12名、自己都合で辞める人が例年5名前後います。3年分なら15名ほど抜ける計算です。
必要数 230名 −(現在 200名 − 退職見込 27名)= 57名
「30名増やす」という話だったはずが、実際に採らなければならないのは57名。倍近くあります。
ここで管理部門から製造部門へ10名を配置転換できるなら、外から採る人数は47名まで下がります。要員計画を立てるとは、こういう差し引きを先にやっておくことです。

雇用管理(採用・配置異動・退職)
試験のポイント
簡単にいうと
日本の「4月に新卒をまとめて」と欧米の「空きが出たら随時」。どうしてこんなに違うのか、理由まで分かると忘れなくなるよ!
① 日本の採用活動の型
日本企業、とくに大企業で長く一般的だったのが新規学卒春期一括採用です。学校を出たばかりの人を、毎年決まった時期にまとめて採る方式をいいます。
② なぜ一括で採れるのか
入社の時点では、その人が将来どの職務に就くかは決まっていません。だから採用の場で見るのは、特定の仕事ができるかどうかではなく、企業人としての基礎的な資質です。
仕事の能力は、入社後の教育訓練と人事異動で育てる。いくつもの職務を経験させて、幅広い職務遂行能力を備えた人材をつくる。この考え方をゼネラリストの養成といいます。
第1節で見た終身雇用、第2節で見た職能資格制度と、ここはひと続きです。長く勤めてもらう前提があるから、時間をかけて育てられる。人に等級が付く仕組みだから、職務が変わっても処遇が崩れない。採用の型だけが独立して存在しているわけではありません。
③ 欧米の採用活動の型
簡単にいうと
一括採用一本だった時代は終わりつつあるんだ。どう変わってきたのか、3つの動きで押さえよう!
① 中途採用・通年採用の定着化
新卒だけでは必要な人材がそろわない場面が増えました。とくに、育てるのに時間がかかる分野では、すでに経験を積んだ人を外から迎えるほうが早い。
そこで、中途採用と通年採用が特別な手段ではなく常設の窓口になってきています。
② 職種別採用
職種別採用とは、新規学卒者を採るときに、採用の枠をいくつかの職種に分けて募集し、入社後に就く職種をあらかじめ決めておく方式をいいます。
従来の一括採用では、配属は入社後に会社が決めていました。職種別採用では、その一部が入口の時点で確定します。日本型と欧米型の中間にあたる形だと考えると位置づけやすくなります。
③ インターンシップ制度
インターンシップ制度は、学生などが在学中に、自分の専攻や将来の進路に関わる職場で就業を体験する仕組みです。
簡単にいうと
人を確保する場所は、社内と社外の2つあるんだ。日本企業がどちらに頼ってきたかを知ると、採用の型がつながるよ!
① 2つの労働市場
必要な人材をどこから得るかという観点で、労働市場は2つに分けて考えられます。
内部労働市場とは、企業の内部で、配置転換や昇進によって人材を配分する仕組みのことです。求人と求職が組織のなかで完結します。
外部労働市場とは、企業の外にある、求人と求職が出会う場のことです。中途採用や新卒採用は、ここから人を得る行為にあたります。
② 日本企業は内部労働市場に頼ってきた
第1節で見た終身雇用と、第5節で見る配置・異動を思い出してください。
入口は新卒でまとめて採り、その後の欠員は社内の異動で埋める。これは内部労働市場を厚くするやり方です。
欧米型の通年採用は、欠員が出るたびに外から採るので、
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欧米で一般的なのは、欠員が出たときにその都度募集をかける通年採用です。
こちらは職務が先にあり、そこに人を当てはめます。「経理課の売掛金担当が1名抜けた」なら、その仕事ができる人を探してくる。採用の場で見るのは基礎的な資質ではなく、その職務をいまこなせるかです。
第2節の職務等級制度が、この採り方の土台にあたります。
具体例
同じ「経理担当が1名足りない」という状況で、2つの型がどう動くかを並べてみます。
日本型の会社では、まず社内を見ます。営業部にいる入社5年目の人が簿記2級を持っていると分かれば、その人を経理へ異動させる。空いた営業のポストには、翌春に入ってくる新卒を充てる。つまり、欠員は社内の玉突きで埋め、入口は新卒で補うわけです。
欧米型の会社では、経理の求人を出します。職務内容と求める経験年数を明示し、その条件に合う人を社外から採る。営業の人を経理へ動かすという発想は、通常は出てきません。職務が違えば、そもそも別の仕事だからです。
試験のポイント
企業の側から見れば、短い面接では分からない働きぶりを確かめる機会になります。学生の側から見れば、入ってみて初めて違うと気づく事態を減らせます。
④ 何がこの変化を押しているのか
3つとも、根は同じところにあります。
第1節で見た三種の神器が揺らいでいることの、採用側への表れだと捉えると、章全体がつながって見えます。
具体例
あるIT企業は、長く一括採用で年に40名を採り、配属は入社後の研修を見て決めていました。ところがデータ分析の部署だけは、配属してから戦力になるまでに2年以上かかり、その間に辞めてしまう人も出ていました。
そこでこの会社は、採り方を3つに分けました。
さらに、データ分析職の志望者には夏に2週間のインターンシップを用意しました。実際の分析業務に触れてもらうことで、入社後に「思っていた仕事と違った」となる人が減ったといいます。
試験のポイント
③ どちらにも利点と弱点がある
内部労働市場が厚いと、自社のやり方を知った人が育ち、定着率も上がります。ただし、社内にない能力は手に入りません。
外部労働市場に頼ると、必要な能力をすぐ調達できます。ただし、自社のやり方に慣れるまで時間がかかり、定着するとも限りません。
本節で見た中途採用・通年採用の定着化は、日本企業が内部労働市場だけでは足りなくなり、外部労働市場の比重を上げてきたことの表れです。
具体例
経理担当が1人欠けた会社の埋め方を、2つの市場で比べます。
内部労働市場から埋める
営業部にいる簿記2級保持者を経理へ異動させました。社内の人なので、稟議の流れも取引先も知っています。採用費用はゼロです。
ただし、空いた営業のポストを次に埋める必要があります。玉突きが起きるわけです。
外部労働市場から埋める
経理経験5年の人を中途で採りました。簿記の実務はすぐに回ります。
ただし、紹介手数料が年収の3割かかり、社内の手続きに慣れるまで3か月ほどかかりました。
どちらを選ぶか
その仕事が自社特有の知識を多く必要とするなら内部、汎用的な専門性を必要とするなら外部が向きます。
試験のポイント
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