企業戦略(成長戦略)
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プレミアムで見る製品には寿命があります。市場に投入され、売れ始め、やがて売上が頭打ちになり、そして姿を消していく。この移り変わりを4つの段階に分けて整理したのが製品ライフサイクルです。次節で学ぶPPMの縦軸(市場成長率)はこの考え方に立っていますし、第14章のマーケティング戦略でも各段階に応じた施策を学びます。ここでは段階ごとに、売上と利益、コストと価格、顧客、競合の4つの面から状況を押さえていきましょう。
簡単にいうと
導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つ。売上のカーブと利益のカーブがズレているのがポイント。利益が最大になるのは成熟期(成長期後期とする説もあり)だよ!
① 製品ライフサイクルとは
製品ライフサイクル(PLC)とは、製品が市場に投入され、衰退するまでの生命周期といえます。製品によって製品ライフサイクルの長さには差がありますが、その間における売上および利益の変化には共通した動きが見られます。
グラフで見ると、横軸が期間、縦軸が金額です。開発期には売上がなく費用だけがかかるため、利益はマイナスの領域を動きます。導入期から売上が立ち始め、成長期に入ると売上高が急上昇します。利益はやや遅れてプラスに転じ、成熟期で最大となり、衰退期にかけて売上とともに下がっていきます。
② 導入期
新製品が開発され、初めて市場に投入された時期です。
| 見る面 | 状況 |
|---|---|
| 売上・費用・利益 | 売上高は低い。新製品紹介の広告宣伝費や営業活動費が多く必要なため、利益はマイナス |
| コストと価格 | 生産量が少なく大量生産のメリットを活かせないためコストが高い。そのため販売価格も高い状態が続く |
具体例
家庭用ゲーム機のソフトを例に、4段階を追ってみましょう。
導入期(発売直後の1か月) テレビCMと店頭のポスターに多額の費用がかかります。初回生産分は少量なので、1本あたりの製造コストは高めです。買うのは発売日に並ぶような熱心なファンだけ。宣伝費が重く、この時点では赤字です。
成長期(2か月目〜1年目) 口コミが広がり、売上が急上昇します。生産数量が増えたのでディスク1枚あたりの製造コストが下がりました。他社も似たジャンルのソフトを出してきます。宣伝費はかかり続けますが、売上の伸びがそれを上回り、利益が黒字に転じます。
成熟期(2年目〜3年目) 売上の伸びは止まりましたが、高い水準で安定しています。もう大々的な宣伝は不要で、口コミと店頭のロングセラー棚で売れていきます。宣伝費が減り、コストも下がっているので、この時期に利益が最大になります。似たジャンルで勝てなかった他社のソフトは、すでに姿を消しました。
衰退期(4年目以降) 次世代機が登場し、売上が落ちていきます。価格は廉価版として下げられ、買うのは「安くなったから買う」層が中心です。売上は減りますが、サーバーの維持費などの固定費はかかり続けるため、利益も減ります。
ここでレベルの違いを意識してみてください。このソフト1本(ブランド)のライフサイクルは4年ほどですが、「家庭用ゲームソフト」という製品そのもののライフサイクルは40年以上続いています。

製品ライフサイクルの売上・利益曲線
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| 新製品に関心の高い革新的な顧客であり、その数はまだ少数 |
| 競合と市場の大きさ | 同業他社はまだ開発段階のことが多く、参入企業は少ない。市場の大きさも小さい |
③ 成長期
製品が消費者に認知され、市場に浸透してくる時期です。
| 見る面 | 状況 |
|---|---|
| 売上・費用・利益 | 初期はまだ低いが、時間の経過とともに需要が急激に増し売上高が急上昇。競争に勝つため多くの広告宣伝費や営業費が必要になるが、利益は売上高の上昇につれてプラスに転じ、徐々に高くなる |
| コストと価格 | 生産量の拡大と作業の熟練などによりコストが低下。競合との価格競争も発生するため、製品価格もコストの低下とともに低くなる |
| 顧客 | 比較的早期に新製品を購入したい層が顧客となり、その数も増加 |
| 競合と市場の大きさ | 競合企業により同種の製品が開発され、多くの競合企業が参入。市場規模も急成長し大きなものとなる |
④ 成熟期
製品がある程度市場に浸透し、需要が一段落する時期です。
| 見る面 | 状況 |
|---|---|
| 売上・費用・利益 | 売上高の伸びが止まり高い状態のまま推移。広告宣伝費や営業費もそれほど多くは必要でなくなる。したがって利益が最大となる局面を迎える(なお、利益が最大化するのは「成長期後期」とする場合もある) |
| コストと価格 | 大量生産と作業の熟練などによりコストは低いレベルで推移。価格は下げ止まりの状態 |
| 顧客 | 新製品の購入に保守的な層が顧客となり、その数は安定的に推移 |
| 競合と市場の大きさ | 競争に敗れた企業が撤退するため競合企業の数は減少。市場規模は大きい状態で横ばい |
⑤ 衰退期
製品の魅力が薄れ、需要が減少していく時期です。
| 見る面 | 状況 |
|---|---|
| 売上・費用・利益 | 売上高は減少するが、固定費は必要であるため利益も減少していく |
| コストと価格 | コスト、製品価格ともに低い状態 |
| 顧客 | 低価格志向の顧客が中心となり、全体としては減少 |
| 競合と市場の大きさ | 撤退する企業はさらに増加。市場規模も小さくなっていく |
⑥ すべての製品がこの形をとるわけではない
ここは見落とされがちですが、大事な留保です。
ただし、どの製品もこの4段階をたどるとは限りません。成長期にたどり着く前に消えていく製品のほうが、実際には多いくらいです。逆に、何十年も売れ続けて衰退期に入らないものもあります。
もうひとつ問題があります。いま自社の製品がどの段階にいるのかは、その時点では分からないのです。振り返ってみて初めて「あのときが成熟期だった」と言える。事後的にしか判断できないという指摘です。
「いま自社の製品は成熟期だから、こういう手を打とう」と考えたくなりますが、そもそも現在地が分からない、というのがこの枠組みの弱点です。
⑦ どのレベルで見るかで変わる
製品ライフサイクルは、「製品そのもの」や「ブランド」といった具合に、とらえるレベルごとで異なります。
たとえば、ガソリン自動車(製品そのもの)のライフサイクルと、ある特定の車種(ブランド)のライフサイクルといった具合です。通常は、製品そのもののライフサイクルのほうが期間は長くなります。
個別の車種は10年ほどでモデルチェンジや廃止を迎えますが、ガソリン自動車という製品そのものは100年以上続いています。どのレベルの話をしているのかを意識しないと、議論がかみ合わなくなります。
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