組織構造論
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プレミアムで見る官僚制の逆機能で硬直した組織を、どうやって解きほぐすか。そのための工夫をまとめて組織構造の動態化といいます。階層を減らす、横串を通す、情報の流れを変える。いずれも「縦に固まった組織を、もっと柔らかくする」という方向を向いています。前節までの流れの締めくくりにあたる節です。
簡単にいうと
硬くなった組織を柔らかくする工夫。フラット化・プロジェクトチーム・情報活用の3つが柱だよ。エンパワーメントとリエンジニアリングは用語として要チェック!
① なぜ動態化が必要なのか
階層構造、非人間性、縦割りの部門構造。こうしたものが組織を硬くしていきます。それを解きほぐすために、組織の動態化や柔構造化を狙った管理技法が、いくつも工夫されてきました。
前節で見た官僚制の逆機能への対処が、この節の内容です。ライフサイクルモデルでいえば、公式化段階の危機を乗り越えて精巧化段階へ進むための手立てにあたります。
② 組織構造のフラット化
中間管理者の階層を少なくし、ピラミッド型の組織構造をフラット化しようというものです。
組織構造をフラットにすることで、柔軟かつ迅速な意思決定がしやすくなります。
ただし、これは統制範囲を広げることが前提です。だから同時に、権限委譲、現場管理者の例外処理能力の向上、そしてそれを支える手立て(専門スタッフや支援情報システムの充実など)が要ります。
ここは前節の統制範囲の原則と直結しています。階層を減らすということは、1人の上司が見る部下の数が増えるということです。だから、あのとき学んだ管理の幅を広げるための4つの工夫がそのまま必要になるわけです。
③ エンパワーメント
なお、権限委譲と類似したものにエンパワーメントがあります。
エンパワーメントとは、与えられた業績目標を達成するために組織構成員の裁量を拡大し、自律的に行動する力を与えることです。
権限委譲が「決める権利を渡す」ことであるのに対し、エンパワーメントは裁量を拡大し、自律的に行動する力を与えるという、より広い意味を持ちます。
④ プロジェクトチームやマトリックス組織の導入
| プロジェクトチーム | マトリックス組織 | |
|---|---|---|
| 期間 | 臨時的 | 恒常的 |
| メンバーの所属 | 所属部門をいったん離れる | 機能部門と事業部門の両方に属する |
| 終わったら | 本来の所属部門に戻る | 組織構造として定着している |
⑤ 情報活用の高度化による組織の動態化
現在、多くの企業が組織内にLAN(Local Area Network)を張り巡らせるなど、情報活用の高度化によって、組織の動態化を図っています。
これには、下位層からの考えや意見を取り入れやすくしたり、会議を減らしたり、連絡調整のための移動時間を少なくしたりするなどの効果が期待できます。
情報が階層を飛び越えて流れるようになると、そもそも中間の階層を経由する必要が薄れます。フラット化を支える土台でもあるわけです。
⑥ リエンジニアリング
リエンジニアリングは、戦略に合わせて業務プロセスを根本から見直し、組み立て直す取り組みです。それによって企業の体質や構造を変え、CS(Customer Satisfaction)を生み出すことで新しい競争力を築きますです。
リエンジニアリングでは、業務プロセスを機能横断的な視点からとらえていきます。
ここでIT(Information Technology)が使われますが、使い方に特徴があります。いまのやり方をそのまま自動化するという受け身の使い方ではありません。新しいやり方を成り立たせるために欠かせない道具として、積極的に使うです。
ここが試験で問われるところです。ITは既存のやり方を自動化する道具ではなく、新しいやり方を実現するための道具だ、という位置づけです。
⑦ ベンチマーキング
リエンジニアリングでは、分析的手法であるベンチマーキングを重視します。
ベンチマーキングとは、他社の優良事例を分析し、自社に取り入れる手法をいいます。他企業との比較分析から自社の問題点を明確にし、経営革新を実現します。
具体例
前節までに出てきた物流会社が、官僚制の逆機能をどう克服したかを見てみましょう。
❶ 組織構造のフラット化
変更前 配送員 → 班長 → センター長 → エリア長 → 本部長 → 役員(6階層)
変更後 配送員 → センター長 → 本部長 → 役員(4階層)
班長職とエリア長職を廃止しました。稟議の押印は7つから2つに減り、決裁までの期間が平均3週間から3日になりました。
ただし前提が要った センター長の部下が12人から38人に増えたため、そのままでは回りません。そこで、
・補償の判断基準を整理し、一定額以下は配送員が即決できるようにした(権限委譲)
・センター長向けに例外対応の研修を行った(例外処理能力の向上)
・配送データを自動集計するシステムを入れた(支援情報システムの充実)
統制範囲の拡大が前提となるというのは、こういうことです。
❷ エンパワーメント
「顧客満足度を前年比5ポイント上げる」という業績目標を与えたうえで、その達成のために現場が自分で工夫してよい範囲を大幅に広げました。
ある配送員は、高齢の顧客宅では玄関まで運ぶようにしました。規程には書かれていませんが、目標達成のための裁量として認められています。

カンパニー制の構造
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縦割り型の組織形態にヨコ串を入れることで、部門の垣根を越えた意思の疎通を図ります。
製品開発やシステム開発のように、複数の部門にまたがる課題があります。それを解くために、各部門から専門知識を持つ人を集めて臨時に編成する組織です。
プロジェクトメンバーは、本来所属する部門をいったん離れ、課題の解決に専念し、プロジェクトの目的を達成した時点で、本来の所属部門に戻ります。
このプロジェクトチームをいわば恒常的に組織内に埋め込んだものがマトリックス組織です。
第8節で学んだマトリックス組織が、プロジェクトチームを恒常化する必要が生じたときに採用されるとされていたのは、この関係によるものです。
自社の中だけを見ていると、いまのやり方が当たり前に見えてしまいます。他社の優れたやり方と比べてはじめて、どこがおかしいのかが見えるわけです。
⑧ ほかにも手段はある
組織の硬直化の克服手段としては、ほかにもさまざまなものが考えられます。第8章で学ぶモチベーション理論や戦略的組織変革も、同じ問題に対する別の角度からの答えです。
この節は組織構造(器)の側から、第8章は組織行動(人)の側から、同じ硬直化の問題に取り組んでいる、と整理しておきましょう。
❸ プロジェクトチームの導入
配送、倉庫、システム、営業の4部門から1名ずつを集め、配送ルート最適化プロジェクトを編成しました。メンバーは半年間、元の部門を離れてこれに専念します。
かつて若手の提案が立ち消えになったのは、縦割りの部門を越えられなかったからでした。ヨコ串を入れることで、それが動き出したわけです。
半年後にプロジェクトは目的を達成し、メンバーは本来の所属部門に戻りました。
❹ ベンチマーキング
同業の優良企業3社を訪問し、1台あたりの1日配送件数、積載率、再配達率を比較しました。自社の再配達率が業界平均の1.6倍であることが分かり、ここが改善の焦点に定まりました。
他社との比較から自社の問題点を明確にするという、ベンチマーキングそのものの使い方です。
結果 3年で再配達率は業界平均を下回り、顧客満足度も目標を超えました。規則をさらに詳細にするのではなく、構造そのものを柔らかくすることで解決した例です。
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