組織行動論
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プレミアムで見る組織は学びます。個人が学んだことが組織の行動を変え、その結果がまた個人の信念に返ってくる。このサイクルが回るとき、組織のなかに情報的経営資源が蓄積されていきます。ところが現実には、このサイクルはあちこちで途切れます。この節では、学習の2つの水準、サイクルが途切れる4つのパターン、そして知識が生まれる過程を示したSECIモデルを押さえます。
簡単にいうと
低次学習は既存の枠の中での修正(シングルループ)、高次学習は枠そのものを超える(ダブルループ)。でも低次学習が悪いわけじゃないのがポイント!
① 組織学習とは
組織文化は組織学習の成果として認知されるため、組織文化の次に組織学習を考察します。
組織学習とは、組織あるいはその構成員が新しい知識を獲得する活動、あるいはプロセスを指し、組織学習を通じて、組織のなかに情報的経営資源が蓄積されていきます。
第1章で学んだ情報的経営資源を思い出してください。ヒト・モノ・カネと違って買ってくることができず、蓄積するしかない資源でした。その蓄積の過程が、組織学習だということになります。
② 学習の成果はどこに残るか
組織学習の結果は、組織メンバーの個人の経験や知識、組織のなかの規則や慣行、経営理念、教育訓練プログラム、組織文化として組織内に蓄積され、伝承されていきます。
蓄積される場所が5つ挙げられています。
・組織メンバーの個人の経験や知識
・組織のなかの規則や慣行
・経営理念
・教育訓練プログラム
・組織文化
個人の頭の中だけでなく、仕組みや文化としても残るという点が「組織」学習たるゆえんです。
また、組織学習は、組織の発展プロセスに応じてその必要とされる内容が異なってきます。
| 中身 | |
|---|---|
| 漸次的進化過程 | おのおのの安定した段階において進行する継続的な改善の積み重ね |
| 革新的変革過程 | 組織ライフサイクル上のある段階にある組織が危機に直面し、別の段階へと移行していく不連続な変化 |
一方、危機にぶつかったときは事情が変わります。戦略も組織構造も組織プロセスも、組み立て直さなければならないことがあるからです。求められるのは、いまの組織の延長線上にある改善ではなく、そこから切り離された新しい組織への作り替えです。
第7章第9節で学んだ組織のライフサイクルモデルを思い出してください。各段階のあいだに危機があり、それを乗り越えて次の段階へ進むという形でした。段階の中が漸次的進化過程、段階の移り変わりが革新的変革過程にあたります。
④ 低次学習と高次学習
組織学習には、低次学習と高次学習があります。
| 中身 | |
|---|---|
| 低次学習 | 漸進的な学習であり、主にシングルループ学習(既存の制約条件・枠組みのなかで行う修正・学習活動)を指す |
| 高次学習 | 断続的な学習であり、組織全体に影響を与えるような学習やダブルループ学習(既存の価値や目標、政策などの枠組みを超えて行う学習活動)を指す |
⑤ 発展プロセスとの対応
つまり、漸次的進化過程に対応するのが低次学習であり、革新的変革過程に対応するのが高次学習です。
| 発展プロセス | 対応する学習 | 学習の種類 |
|---|---|---|
| 漸次的進化過程(継続的な改善の積み重ね) | 低次学習 | シングルループ学習 |
| 革新的変革過程(不連続な変化) | 高次学習 | ダブルループ学習 |
⑥ 低次学習も必要な学習である
ここが最も問われる論点です。
過去問では、次の記述が誤りとして出題されています。
『低次学習とは組織の成果にとって悪い影響を与える学習であり、高次学習とはより高い成果をあげるために不可欠であるため、組織メンバーに高次学習を意識させることが重要である』
組織の発展プロセスによって必要な学習が異なるということであるため、低次学習も必要な学習です。
低次学習が劣っているわけではありません。安定した段階では、継続的な改善の積み重ね(低次学習)こそが必要です。高次学習ばかりでは、組織は落ち着いて成果を出せません。
「低次」「高次」という言葉に引きずられて、高次が優れていると読んでしまう誤りに注意してください。
⑦ 職務の細分化はダブルループ学習を妨げる
もうひとつ、過去問で誤りとされた記述があります。
『職務を細分化し、過程別専門化を進めていくことが、シングルループ学習を阻害し、ダブルループ学習を促進する可能性を高める』
職務細分化は職務間の心理的な壁を築いてしまい、ダブルループ学習は行われにくくなります。
枠組みを超える学習には、部門をまたいだ視野が必要です。職務を細かく分ければ、それぞれが自分の枠の中だけを見るようになり、枠を超える発想が出にくくなるのです。
この点は、第7章で学んだ機能別組織のデメリット「機能部門間で垣根が生じ、組織内の情報共有が困難になる」とも重なります。
具体例
ある食品工場で、低次学習と高次学習の両方が起きた例です。
低次学習(シングルループ学習)の例
包装ラインで、月に平均18件の包装不良が出ていました。
現場では次のような改善が続けられました。
・フィルムの送り速度を調整した
・ヒーターの温度設定を季節ごとに変えた
・作業者の立ち位置を見直した
3年かけて、不良は月2件まで減りました。
これは既存の制約条件・枠組みのなかで行う修正です。「この包装方式で、いかに不良を減らすか」という枠は動いていません。
これが悪い学習だろうか そんなことはありません。この改善によって、年間の廃棄ロスが約1,200万円減りました。安定した段階においては、この継続的な改善の積み重ねこそが必要です。
高次学習(ダブルループ学習)の例
ところが数年後、状況が変わります。顧客から「プラスチック包装をやめてほしい」という要請が相次ぎました。
ここで求められたのは、フィルムの送り速度を調整することではありません。
・そもそもこの包装方式でよいのか
・紙素材に変えるべきではないか
・容器そのものを再利用する仕組みにできないか

SECIモデル(知識創造プロセス)
試験のポイント
簡単にいうと
個人の信念 → 個人の行動 → 組織の行動 → 環境の変化 → 個人の信念、と回る。この4つの矢印がどこで切れるかで、4つの不完全な学習に分かれるよ!
① 組織学習サイクル
組織学習はサイクルに沿って行われます。基本的に組織学習は組織メンバーをエージェントとして行われます。
サイクルは次のように回ります。
まず、ある組織行動がもたらした結果を観察・分析した結果、個人レベルの信念・知識に修正が加えられます。
❶ 個人が学んだことが、その人の行動を変えます。❷ その行動の変化が組織全体の行動を動かし、組織は新しいやり方を始めます。❸ それが環境のなかで良い成果につながれば、❹ もとになった個人の信念はいっそう強まります。
一方、もし低い成果しかもたらされない場合には、その信念は棄却され、新しい信念が形成される契機となります。
② 図で見るサイクル
簡単にいうと
野中郁次郎の知識創造理論。共同化 → 表出化 → 連結化 → 内面化の4モードで知識が生まれる。暗黙知と形式知がぐるぐる変換されていくのがポイント!
① SECIモデルとは
SECIモデルは、組織のなかで知識が生まれていく過程を4つの段階で描いたものです。動いているのは暗黙知と形式知の行き来で、その変換の向きによって、共同化ないし社会化(Socialization)、表出化(Externalization)、連結化(Combination)、内面化(Internalization)の4つに分かれますです。
4つの頭文字をとってSECIと呼ばれます。
② 暗黙知と形式知
先に2つの知識の定義を押さえます。
※ 知識は暗黙知と形式知に分類されます。
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組織が育っていく過程は、性格の違う2種類の変化が交互に現れる形で成り立っています。ひとつが各段階の内側で進む漸次的進化過程。もうひとつが、ある段階から次の段階へ飛び移る革新的変革過程です。
既存の価値や目標、政策などの枠組みを超えて行う学習活動が必要になりました。
組織がぶつかった壁
この工場では、ダブルループ学習がなかなか起きませんでした。理由ははっきりしています。
・包装ラインの担当者は、包装のことしか見ていなかった
・素材の選定は調達部、容器の設計は開発部、顧客の要請を聞いたのは営業部と、職務が細かく分かれていた
・それぞれが自分の枠の中で最適化していた
職務細分化が職務間の心理的な壁を築き、ダブルループ学習が行われにくくなるというのは、この状態のことです。
どう打開したか 会社は、包装・調達・開発・営業から1名ずつを集めたプロジェクトチームを編成しました(第7章の動態化の手法です)。
4人が同じ部屋で3か月議論した結果、「包装を減らす」のではなく「そもそも個包装が必要な商品設計をやめる」という結論に至りました。
枠組みそのものが動いたわけです。
2つは両方必要 新しい方式に移行したあとは、また低次学習が始まります。新しいラインでの不良をどう減らすか、という改善です。
漸次的進化過程と革新的変革過程が交互に組み合わさって成立しているというのは、こういうことです。
個人の信念 → ❶ → 個人の行動 → ❷ → 組織の行動 → ❸ → 環境の変化 → ❹ → 個人の信念
| 矢印 | どこからどこへ |
|---|---|
| ① | 個人の信念 → 個人の行動 |
| ② | 個人の行動 → 組織の行動 |
| ③ | 組織の行動 → 環境の変化 |
| ④ | 環境の変化 → 個人の信念 |
③ サイクルは不完全になりやすい
しかしながら、基本的にはこの組織学習サイクルが不完全になったり、低次学習ばかりが促進されたりする傾向が強くなります。
これは組織が安定的な段階では、組織の学習サイクルは次の4つのパターンを示す傾向があるからです。
④ 4つの断絶パターン
❶ 役割制約的学習(①の断絶)
与えられた役割規定や手続き上の制約によって、個人が具体的な行動に出ることができない状態です。
学んだのに、役割や手続きが邪魔をして行動できない。個人の信念から個人の行動への矢印が切れています。
❷ 傍観者的学習(②の断絶)
個人の学習成果が組織の次の行動に活かされず、個人が傍観者と化している状態です。
本人は行動しているのに、組織が動かない。個人の行動から組織の行動への矢印が切れています。
❸ 迷信的学習(③の断絶)
学習は行われ、個人が組織の行動に影響を与えるが、組織の行動は環境に何ら作用しない状態です(人々は作用すると思いこんでいるが)。
組織は動いたのに、環境には何も起きていない。それなのに効果があったと思い込んでいる。だから「迷信的」と呼ばれます。
❹ 曖昧さのもとでの学習(④の断絶)
個人は組織の行動に影響を与え、それが環境にも作用するが、個人には何が生じたか、なぜそれが生じたかが判然としない状態です。
環境は変わったのに、なぜ変わったのかが分からないので、信念が更新されません。
⑤ 4つを順番で覚える
①から④の矢印に、4つのパターンが順に対応しています。
| 断絶する矢印 | パターン | ひと言でいうと |
|---|---|---|
| ① 個人の信念 → 個人の行動 | 役割制約的学習 | 動けない |
| ② 個人の行動 → 組織の行動 | 傍観者的学習 | 組織が動かない |
| ③ 組織の行動 → 環境の変化 | 迷信的学習 | 環境が変わらない |
| ④ 環境の変化 → 個人の信念 | 曖昧さのもとでの学習 | なぜ変わったか分からない |
サイクルの順番と対応しているので、図を描ければ4つとも導けます。
⑥ 断絶の要因
これらの要因としては、組織ないし個人の認知的枠組みの固定化、組織ルーティンの存在、分業化による部門間の垣根の存在などがあげられます。
3つとも押さえておきましょう。
・認知的枠組みの固定化……ものの見方が固まってしまう
・組織ルーティンの存在……決まったやり方があるので変えられない
・分業化による部門間の垣根の存在……前のテーマで見た職務細分化の問題
⑦ 組織ルーティンとは
なお、(組織)ルーティンとは、組織の行動プログラムであり、公式の文書として制度化されている諸規則・手続き、組織構造、組織文化などの形態をとります。
ルーティンは文書化された規則だけではないという点に注意してください。組織構造や組織文化も、ルーティンの一形態とされています。
第7章第9節で学んだ組織のライフサイクルモデルや、第10節の官僚制の逆機能とも通じる考え方です。効率のために作った仕組みが、変化を妨げるという構図です。
具体例
ある地方銀行で、4つの断絶がすべて観察された例です。
❶ 役割制約的学習(①の断絶)
ある窓口担当者が、高齢の顧客の手続きに毎回40分かかっていることに気づきました。「書類の記入を、こちらが聞き取って代筆すれば10分で済む」と分かっています(学習は起きている)。
ところが、内部規程で「本人記入を原則とする」と定められており、行員の代筆には支店長の個別承認が必要でした。
与えられた役割規定や手続き上の制約によって、個人が具体的な行動に出ることができない状態です。
❷ 傍観者的学習(②の断絶)
別の担当者は、承認を取って代筆を始めました(個人の行動は変わった)。所要時間は10分になり、顧客にも喜ばれています。
この成果を支店会議で報告しましたが、「それは個人の工夫ですね」で終わりました。他の支店にも広がらず、規程も変わりません。
個人の学習成果が組織の次の行動に活かされず、個人が傍観者と化している状態です。
❸ 迷信的学習(③の断絶)
この銀行では、毎年「顧客満足度向上月間」を実施していました。
・全行員が接客ロールプレイ研修を受ける
・窓口に「笑顔でご対応します」の掲示を出す
・月末に実施報告書を本部に提出する
組織は確かに行動しています。
しかし、顧客満足度調査の数値は10年間ほとんど変わっていません。顧客が不満に感じていたのは接客態度ではなく、待ち時間と手続きの煩雑さだったからです。
それでも行内では「毎年の取り組みで満足度を維持できている」と信じられていました。
組織の行動は環境に何ら作用しないが、人々は作用すると思いこんでいる、まさに迷信的学習です。
❹ 曖昧さのもとでの学習(④の断絶)
ある年、この銀行の個人預金が前年比8%増えました。環境は確かに変化しています。
ところが、なぜ増えたのかが誰にも分かりませんでした。
・新しいキャンペーンの効果か
・競合他行の店舗撤退の影響か
・地域の再開発による人口流入か
分析されないまま、翌年も同じキャンペーンが続けられました。そして翌年、預金は3%減りました。
何が生じたか、なぜそれが生じたかが判然としないため、信念が更新されないのです。
共通する要因
4つの断絶の背景には、
・「銀行の手続きはこうあるべき」という認知的枠組みの固定化
・本部が定めた組織ルーティン(規程、手続き、報告様式)
・営業店と本部、窓口と融資という部門間の垣根
がありました。
試験のポイント
| 定義 |
|---|
| 暗黙知 | 文字や言葉で表現できないような主観的なノウハウや信念といった、他人に伝達することが困難な知識 |
| 形式知 | 言語化可能で文書や言葉で表現できる客観的な知識 |
組織変革やイノベーションの現場では、暗黙知の移転や活用が重視されます。
③ 4つのモード
❶ 共同化ないし社会化(Socialization) 暗黙知 → 暗黙知
組織メンバーが経験を共有することで、個人の暗黙知が共有され、異質な暗黙知の相互作用を通じて、新たな暗黙知が創出されていくことになります。
言葉にせず、一緒にやることで伝わる段階です。
❷ 表出化(Externalization) 暗黙知 → 形式知
個人が蓄積した暗黙知が、言語などの表現手段によって形式知化されていきます。
暗黙知を共同化できる範囲は限られますが、表出化された知識は共有することが容易になります。
❸ 連結化(Combination) 形式知 → 形式知
形式知を組み合わせて、より高次の形式知へと体系化していきます。
❹ 内面化(Internalization) 形式知 → 暗黙知
共有された形式知が、属人的な暗黙知として再び個人に取り込まれていきます。
形式化された知識を実践において活用し、活きた知識として体得していくプロセスのなかで、新たな暗黙知が創造されます。
④ 変換の方向で整理する
| モード | 変換の方向 | ひと言でいうと |
|---|---|---|
| 共同化(Socialization) | 暗黙知 → 暗黙知 | 一緒にやって体で覚える |
| 表出化(Externalization) | 暗黙知 → 形式知 | 言葉にする |
| 連結化(Combination) | 形式知 → 形式知 | 組み合わせて体系化する |
| 内面化(Internalization) | 形式知 → 暗黙知 | 実践して身につける |
変換の方向を問う問題が定番です。4つとも正確に覚えてください。
図では2×2のマス目で表され、共同化 → 表出化 → 連結化 → 内面化 → 共同化とらせん状に回っていく形で描かれます。
⑤ ナレッジマネジメント
暗黙知の形式知化に関連して、ナレッジマネジメントという用語があります。
ナレッジマネジメントは、IT技術などを使って、構成員それぞれが抱えている暗黙知を形式知に変え、それらを結びつけていく取り組みです。そこから新しい価値を生み、組織として共有していきますです。
⑥ 知識創造を促進する要因
過去問では、知識創造を促進する要因について次の点が示されています。いずれも直感に反するものが多いので、丁寧に押さえてください。
| 要因 | なぜ促進するのか |
|---|---|
| 経営者の主観的な思い | 時に曖昧であり、その曖昧さは解釈の多義性を生み、従業員にこれまでと異なる取り組みを促すことがある |
| 組織構成員への自律性の付与 | これまでのルールに縛られない方法を取り込むチャンスが生まれる |
| 情報の冗長性(当面必要のない情報の重複共有) | 思いがけない発想が生まれる契機となり得る |
| 複数の役割の経験 | 多面的な思考につながり、新たなノウハウや発想を得ることがある |
| 外部組織との接触 | 既存の枠組みに存在しない方法やノウハウを取り込む機会となる |
⑦ とくに注意したい2つ
情報の冗長性は、ふつうなら「無駄」と判断されるものです。しかし知識創造の観点では、思いがけない発想が生まれる契機になるとされます。
また、外部組織との接触についても、「暗黙知が共有できるまで外部と接触させないほうがよい」という記述は誤りです。外部からの情報は、既存の枠組みに存在しない方法やノウハウを取り込む機会になります。
第4章で学んだオープン・イノベーションや、第7章のバウンダリー・スパンニングとも同じ方向の指摘です。
具体例
老舗の和菓子店が、職人の技を次世代に受け継いだ過程です。SECIモデルの4モードが順に現れました。
❶ 共同化(暗黙知 → 暗黙知)
若手の職人は、3年間ただ親方の横に立っていました。
・あんを練る音を聞く
・生地を触る親方の指の動きを見る
・「今日は湿度が高いな」という独り言を聞く
言葉で説明されたことはほとんどありません。それでも「あ、こういうときはこうするのか」という感覚が身についていきました。
経験を共有することで、個人の暗黙知が共有される段階です。
ただし限界があった この方法で伝えられるのは、親方の横に立てる1人か2人だけです。暗黙知を共同化できる範囲は限られるのです。
❷ 表出化(暗黙知 → 形式知)
5年目になった職人が、自分の感覚を言葉にする作業を始めました。
・「練り上がり」を、温度計と時間で記録する
・「生地の硬さ」を、指で押したときのへこみの深さで表す
・湿度と加水量の関係を、表にまとめる
個人が蓄積した暗黙知が、言語などの表現手段によって形式知化されていく段階です。
この作業のおかげで、表出化された知識は共有することが容易になりました。5人の若手が同時に学べるようになります。
❸ 連結化(形式知 → 形式知)
・記録した練り上がりの条件と、季節ごとの原料の水分量のデータを突き合わせた
・製菓学校で学んだ理論と照らし合わせた
・他店の職人と交換した情報も加えた(外部組織との接触)
結果として、「原料の水分量と気温から、加水量と練り時間を算出する表」という、より高次の形式知ができあがりました。
❹ 内面化(形式知 → 暗黙知)
新しく入った職人は、この表を使って作業を始めます。
最初は表を見ながらでしたが、1年もすると表を見なくても手が動くようになりました。
形式化された知識を実践において活用し、活きた知識として体得していく段階です。
そして、その過程で「表のとおりにやっても、この季節だけはうまくいかない」という新たな暗黙知が創造されます。
そしてまた共同化へ その気づきは、次の世代に横で伝えられていきます。らせん状に回っていくとは、このことです。
ナレッジマネジメントとして この店では現在、各職人が気づいたことを日々記録し、全員が閲覧できる形で蓄積しています。IT技術などを活用して、暗黙知を形式知化して結びつけ、組織的に共有していく取り組みです。
試験のポイント
プレミアムプラン
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