組織構造論
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プレミアムで見る組織は、規模が大きくなるにつれてかたちを変えていきます。しかもその変化は、なめらかに進むのではありません。段階ごとに固有の危機が訪れ、それを乗り越えたときだけ次の段階に進めます。この節では、4つの発達段階と、それぞれで待っている危機を押さえます。そして、この先に学ぶ官僚制の逆機能や組織構造の動態化が、このモデルのどこに位置しているのかも確かめておきましょう。
簡単にいうと
起業者段階・共同体段階・公式化段階・精巧化段階の4つ。各段階の終わりに必ず危機が来る。その危機の名前と克服策をセットで覚えよう!
① モデルの全体像
組織のライフサイクルモデルの概要は、次の3段階で説明されます。
❶ 組織は、その規模の拡大に伴い効率性を確保するために官僚制組織を選択する
❷ やがて官僚制の逆機能という障害に直面する
❸ これを克服するために組織構造の動態化を図り、組織の活性化を図っていくことで、成長・発展していく
この3つが、そのまま次節(官僚制組織と逆機能)と次々節(組織構造の動態化)の内容になっています。3つの節がひと続きの話だと理解しておくと、個々の知識がつながって頭に入ります。
② 4つの発達段階と危機
図では、横軸に組織の発達段階、縦軸に規模をとり、階段状に成長していく姿が描かれます。各段階の終わりに危機があり、それを乗り越える克服策によって次の段階に進みます。
| 段階 | 成長を支えるもの | 段階の終わりに訪れる危機 |
|---|---|---|
| ❶ 起業者段階 | 創造性 | リーダーシップの必要性 |
具体例
創業から28年の情報システム会社の歩みを、4段階で追ってみましょう。
起業者段階(創業〜5年目、従業員3人→18人) 創業者が自ら設計し、自ら売り、自ら納品していました。組織図も就業規則もありません。何をするかは全員が創業者に聞きに来ます。創造性で伸びた時期です。
危機:リーダーシップの必要性 18人になった時点で、創業者が全案件を見られなくなりました。決裁待ちの案件が溜まり、納期遅れが続発します。創業者は「自分は技術者であって経営者ではなかった」と認め、前職で管理職だった人を役員として迎えました。
共同体段階(6〜12年目、18人→70人) 迎えた役員が「当社は医療分野のシステムに絞る」という明確な方向性を示しました。全員が同じ方向を向き、売上は4倍になります。
危機:権限委譲の必要性 70人になると、経営陣2人ですべてを決めるのが限界になりました。現場が判断を仰ぐために待つ時間が増えます。
公式化段階(13〜22年目、70人→230人) ・職務権限規程を作り、金額に応じた決裁権限を定めた
・見積・設計・開発・検収の標準手順を文書化した
・人事評価制度と等級制度を導入した
内部システムの追加です。ここで大事なのは、トップが直接コントロールするようになったのではないという点です。むしろ経営陣は現場から離れ、仕組みが人を動かすようになりました。
危機:官僚的形式主義の行き過ぎ 20年目ごろから、
・稟議に押印が7つ必要になり、意思決定に3週間かかる
・「規程にないからできません」という回答が増えた

組織のライフサイクルモデル
試験のポイント
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| 明確な方向性の提示 |
| 権限委譲の必要性 |
| ❸ 公式化段階 | 内部システムの追加 | 官僚的形式主義の行き過ぎへの対処の必要性 |
| ❹ 精巧化段階 | チームワークの発達 | 活性化の必要性 |
そして精巧化段階の先には、整理統合化・小企業的思考、成熟状態の継続、衰退という3つの行き先が示されています。
③ 各段階で何が起きているか
❶ 起業者段階
創業者の創造性によって成長する段階です。組織はまだ小さく、公式な仕組みもほとんどありません。
しかし人が増えてくると、創業者一人では見きれなくなります。ここでリーダーシップの必要性という危機が訪れます。創業者が経営者へと役割を変えるか、経営できる人を迎え入れるかが問われる局面です。
❷ 共同体段階
明確な方向性の提示によって成長します。リーダーが方向を示し、メンバーが一体となって動く段階です。
やがて組織がさらに大きくなると、すべてをトップが決めることができなくなります。ここで権限委譲の必要性という危機が訪れます。
前節で学んだ例外の原則が求められる局面です。
❸ 公式化段階
内部システムの追加によって成長します。規則、手続き、管理システムが整備され、官僚的なメカニズムで組織が運営される段階です。
ここが試験で問われるところです。過去問では、次の記述が誤りとして出題されています。
『組織の規模も大きくなり公式化段階になると、規則や手続き、管理システムの公式化が進み、戦略的意思決定や業務的意思決定をトップマネジメントに集権化する必要が生まれ、トップが各事業部門を直接コントロールするようになる』
トップによる直接的なコントロールではなく、官僚的なメカニズムで組織を運営する段階です。トップが直接見るのではなく、仕組みによって統制するようになるのが公式化段階の特徴です。
やがて規則や手続きが増えすぎると、官僚的形式主義の行き過ぎへの対処の必要性という危機が訪れます。これが次節で学ぶ官僚制の逆機能です。
❹ 精巧化段階
チームワークの発達によって成長します。
構造は、分権化され、権限委譲が進められ、全体として分化と統合のバランスが強調されます。
こうして組織が仕上げ段階まで成長してくると、起業者段階で設定された、その組織の社会的使命の重要性が低下していくことも多くなります。
こうした危機を乗り越えていくために、組織は環境との関係を新たに作り出し、組織文化の変革といった再活性化を図っていく必要があります。
これが活性化の必要性という危機です。
④ 組織文化の変革はいつ行われるか
過去問では、次の記述が誤りとして出題されています。
『誕生期から成長前期段階にある企業では、組織文化を変革するために、計画的な組織開発を進めていく必要がある』
組織文化の変革は、主に成長後期や成熟期に行われることです。
誕生期の企業には、そもそも変革すべき組織文化がまだ形成されていません。長年かけて固まった文化が、環境に合わなくなったときに変革が必要になるのです。
⑤ 組織原則は状況によって変わる
このモデルが示しているのは、組織原則の妥当性はいかなる場合においても普遍的に認められるものではなく、状況によって変わってくるということです。
起業者段階でよい組織のあり方と、精巧化段階でよいあり方は違います。この考え方が、第13節で学ぶコンティンジェンシー理論の前提になります。
・顧客の急な依頼に応えられず、競合に案件を取られた
精巧化段階(23年目〜) ・部門横断のプロジェクトチームを常設した
・決裁権限を現場に下ろし、押印を2つに減らした
・チームワークの発達を軸にした運営に切り替えた
危機:活性化の必要性 現在この会社が直面しているのがこれです。創業時の「医療現場の負担を減らす」という使命は、いまの若手社員にはほとんど共有されていません。社会的使命の重要性が低下しているのです。
経営陣はいま、創業の経緯を語り直す社内の取り組みを始めています。組織文化の変革といった再活性化が、まさに必要な段階です。
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