人的資源管理
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「PPM」の動画を再生します。
この節の解説動画はプレミアム限定です。プレミアムなら全科目・全節が見放題!
プレミアムで見る雇用管理の最後にくるのが退職管理です。採用で入ってきた人が、配置と異動を経て、やがて会社を離れる。その出口をどう設計するかがこの節の話です。
退職管理の中心にあるのは、一定の年齢を理由に雇用関係を終える慣行、すなわち定年退職制度です。ただし、高齢化が進んだいま、60歳で一律に線を引く運用はもう成り立ちません。法律が求める雇用の確保と、企業側の人件費や人員構成の事情をどう折り合わせるか。この制度の運用の工夫が、実務でも試験でも問われるところです。
簡単にいうと
退職はまず「会社の都合か、自分の都合か」で分かれるんだ。この分け方は退職金にも失業給付にも響くから、実は身近な話だよ!
① 会社都合と自己都合
雇用管理の最終段階である退職は、会社都合によるものと自己都合によるものに分かれます。
会社都合の退職にあたるのは、次のようなものです。
自己都合の退職にあたるのは、次のようなものです。
② なぜ分けるのか
どちらに区分されるかで、退職金の額や失業給付の受け取り方が変わってきます。会社都合のほうが本人に落ち度がないため、扱いは手厚くなるのが通例です。
③ 退職管理の中心は定年退職制度
退職管理として制度の設計が問われるのは、圧倒的に定年退職制度です。
自己都合の退職は、本人が決めることですから会社が制度として組み立てる余地は多くありません。これに対し定年退職は、年齢という一律の基準で会社が雇用関係を終わらせる仕組みです。誰にどこで線を引くかを会社が決める以上、その運用をどう工夫するかが課題になります。
具体例
同じ「3月末で会社を辞める」でも、中身はまったく違います。
Fさんは60歳の誕生日を迎え、就業規則の定めにより退職しました。これは定年退職、区分としては会社都合です。退職金は規程どおり満額が支払われます。
Gさんは業績悪化に伴う人員削減の対象となりました。これは整理解雇で、やはり会社都合です。会社は割増退職金を用意し、再就職の支援も行いました。
Hさんは同業他社へ移るために自ら退職を申し出ました。これは自己都合です。退職金は会社都合の場合より低い率で計算され、失業給付も受け取り始めるまでに待機の期間があります。
3人とも同じ日に会社を離れますが、手にするものは同じではありません。

雇用管理の3段階と退職の制度
試験のポイント
簡単にいうと
定年の下限は60歳。でもそこで終わりじゃなくて、65歳まで働ける仕組みを用意しなさい、というのが今の法律だよ!
① 定年年齢の下限
高年齢者等雇用安定法では、定年を定める場合、60歳を下回ってはならないとされています。59歳定年といった制度は認められません。
さらに同法は、65歳までの雇用を確保するための措置を事業主に求めています。とりうる道は3つあり、いずれかを講じる必要があります。
加えて、70歳までの就業機会を確保する措置が努力義務として置かれています。
② 実質的な定年延長 ― 継続雇用
定年年齢そのものを一律に引き上げる道のほかに、実質的に定年を延ばすやり方があります。それが勤務延長制度
簡単にいうと
業績が悪くなったとき、いきなり人を切るわけじゃないんだ。順番があるんだよ。この順番を知っておくと理解が深まるよ!
① 雇用調整には順番がある
業績が悪化して人員が過剰になったとき、企業は段階を追って調整を進めるのが通例です。
ⅰ 残業の削減・休日の増加
まず、一人あたりの労働時間を減らします。雇用そのものには手を付けません。
ⅱ 配置転換・出向
人が余っている部門から、足りない部門やグループ会社へ動かします。前のテーマで見た手立てが、ここで雇用を守る役割を果たします。
ⅲ 新規採用の抑制
入口を絞り、自然な退職による減少に任せます。在籍者の雇用は守られますが、効き始めるまでに時間がかかります。
ⅳ 希望退職の募集
動画・テキスト・過去問・AI添削まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
勤務延長制度は、定年年齢はそのままとしたうえで、その年齢に達した人を退職させることなく、引き続き雇用する制度です。雇用関係が途切れません。
再雇用制度は、定年に達した人をいったん退職させ、その後あらためて雇用する制度です。いったん雇用関係が切れる点が勤務延長制度との分かれ目になります。
③ 処遇はどうなるか
いずれの場合も、一般的には勤務延長後あるいは再雇用後に賃金が下がるか、昇給が止まることが多くなっています。
これは制度の抜け道ではなく、設計上ほぼ避けられない帰結です。定年前と同じ賃金のまま65歳まで雇い続ければ、総額人件費は大きく膨らみます。第2節で見た職能資格制度の弱点、すなわち年功的な運用で人件費が高止まりする問題が、ここでもそのまま効いてきます。
そこで多くの企業は、いったん退職金を清算して雇用関係を切り、新たな条件で契約を結び直せる再雇用制度を選んでいます。勤務延長制度よりも、賃金や職務内容を組み直しやすいためです。
具体例
定年60歳のI社が、65歳までの雇用確保をどう実現したかを見てみます。
3つの道のうち、まず検討したのは定年を65歳に引き上げる案でした。しかし試算すると、60歳以降の5年分の賃金がそのまま積み上がり、総額人件費が7%増える見込みとなり、見送られました。
次に検討したのが勤務延長制度です。雇用が途切れないため本人にとっては安心ですが、同じ雇用契約が続く以上、賃金体系を大きく変えにくいという難点がありました。
結局I社が選んだのは再雇用制度でした。60歳でいったん退職し、退職金を清算したうえで、1年ごとに更新する嘱託契約を結び直します。職務は現場の後進指導に絞り、賃金は定年前の6割程度に設定しました。
ベテランの技能を現場に残しつつ人件費を抑える。この折り合いのつけ方が、多くの企業で再雇用制度が選ばれている理由です。
試験のポイント
ⅴ 整理解雇
会社の側から雇用関係を終わらせる、最後の手段です。
② なぜこの順番なのか
本人の意思に反する度合いが小さいものから進むという一本の筋が通っています。
この順序は、企業の親切心から出ているわけではありません。整理解雇が裁判で争われたとき、解雇を避けるための努力を尽くしたかどうかが問われます。軽い手立てを試さずに解雇へ進んだ企業は、その点で苦しい立場に置かれます。
③ 早期退職優遇制度
業績の悪化とは切り離して、定年前に辞める人に退職金の割増などの優遇を用意する仕組みを早期退職優遇制度といいます。
常設の制度として置かれる点が、業績悪化時に臨時で行われる希望退職の募集とは異なります。年齢構成の偏りをならしたり、第二の人生への移行を後押ししたりする狙いがあります。
具体例
受注が3割落ち込んだ機械メーカーJ社の2年間を追ってみます。
1年目の前半、まず全社で残業をゼロにし、工場の稼働を週4日に落としました。これで人件費は1割ほど下がりましたが、まだ足りません。
1年目の後半、手の空いた製造部門から30名を受注が落ちていない保守サービス部門へ配置転換し、10名をグループの物流会社へ在籍出向させました。同時に、翌年の新卒採用を20名から5名へ絞りました。
2年目、それでも過剰感が残ったため、退職金を24か月分割り増す条件で希望退職を募り、45名が応募しました。
J社は整理解雇に踏み切らずに済みました。軽い手立てから順に積み上げたことで、最後の段階に行き着く前に必要な調整幅を確保できたわけです。
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。