技術経営
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プレミアムで見る社会全体でイノベーションを活発にするには、新しい企業がどんどん生まれてくることが欠かせません。しかしベンチャー企業には、成長の段階ごとに違った危機が待っています。この節では、4つの成長ステージと、それぞれで何が課題になるのかを押さえます。中小企業診断士として創業支援に関わるときに、直接使う知識でもあります。
簡単にいうと
シード期・スタートアップ期・急成長期・安定成長期の4つ。いちばん危ないのはスタートアップ期。体力がないから、つまずくと即倒産だよ!
① ベンチャー企業とは
ベンチャー企業の定義はさまざまですが、成長意欲の強い起業家に率いられたリスクを恐れない若い企業で、製品や商品の独創性、事業の独立性、社会性、国際性のいずれかをもった何らかの新規性のある企業ということができます。
定義を分解すると、次の2つの条件が見えてきます。
・成長意欲の強い起業家に率いられた、リスクを恐れない若い企業であること
・独創性・独立性・社会性・国際性のいずれかをもった、何らかの新規性があること
単に「新しくできた会社」ではなく、新規性と成長意欲が要件になっている点に注意してください。
社会全体でのイノベーションを活性化させるためには、多くのベンチャー企業の誕生が望まれます。
② 4つの成長ステージ
ベンチャー企業の成長ステージは、次の4つに分けることができます。
| ステージ | 内容 |
|---|---|
| シード期 | 起業までの段階 |
| スタートアップ期 |
具体例
大学の研究室から生まれた計測機器メーカーの5年を、ステージごとに追ってみましょう。
シード期(起業まで・1年半) 研究室で試作機を作り、学会で発表しました。創業メンバー3人は全員が研究者で、「この技術はすごい」という自信はありました。資金は自己資金と助成金で300万円ほど。まだ売上はゼロですが、出ていく金額も小さい段階です。
スタートアップ期(1年半〜3年目・最大の危機) 会社を設立し、事務所を借り、量産用の設備に2,000万円を投じました。ところが、
・事業コンセプトが曖昧だった。「誰に売るのか」が決まっておらず、展示会で名刺は集まるが受注に至らない
・経営実態を把握できていなかった。月次の試算表を作っておらず、資金がいつ尽きるか誰も分かっていなかった
・管理システムがなかった。注文が入っても納期の管理ができず、遅延で信用を落とした
設立2年目に資金が底をつきかけ、創業者が個人で借入をして凌ぎました。まさに企業体力がないため即倒産に至りかねない局面です。
転機 中小企業診断士の助言で、
・顧客を「食品工場の異物検査」に絞り、事業コンセプトを明確化
・月次の資金繰り表と受注管理表を整備(経営実態の把握と管理システム)
・ベンチャーキャピタルから1億円の出資を受ける(タイミングの良いリスクマネー)
急成長期(4〜5年目) 絞った市場で評価が固まり、売上は2年で6倍になりました。今度は人の採用と品質の維持が新しい課題です。

ベンチャー企業の成長ステージと課題
試験のポイント
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| 急成長期 | 製品が市場や顧客に受け入れられ、規模が急拡大する段階 |
| 安定成長期 | 市場や製品が成熟化し、規模拡大が鈍化する段階 |
第3章で学んだ製品ライフサイクルと重なる部分がありますが、こちらは企業そのものの段階を表している点が違います。
③ どの段階がいちばん危ないか
各成長ステージにはつねに経営上の危機が潜んでいますが、特にスタートアップ期における危機は企業体力がないため、即倒産に至る可能性をはらんでいます。
シード期はまだ資金を使い始めたばかりで、急成長期以降は売上という後ろ盾があります。ところがスタートアップ期は、
・すでに設備や人に投資して資金が出ていっている
・しかし売上はまだ安定していない
・内部留保も信用もないので、追加の資金調達が難しい
という三重苦の状態にあります。ここでつまずくと立て直す余力がないため、即倒産につながるわけです。
④ 技術だけでは足りない
ベンチャー企業は多くの場合、技術面などを強みに創業しますが、それだけでは事業として成立させることは困難です。
第3章の産学連携のところでも出てきた論点です。大学発ベンチャーが事業として発展するには企業者能力が重要になるというのと同じことを言っています。
そのため、事業コンセプトを明確にし、綿密な事業計画を立案することが大切になります。
⑤ 事業を軌道に乗せるための3つの課題
また、事業を軌道に乗せていくには、次のことが課題になります。
| 課題 | 中身 |
|---|---|
| 経営実態の正確な把握 | 自社が今どういう状態なのかを数字でつかむ |
| 管理システムの向上 | 人が増え取引が増えても回る仕組みを作る |
| タイミングの良いリスクマネーの調達 | 必要な時期に、リスクを取ってくれる資金を確保する |
3つ目のリスクマネーとは、返済を前提とした銀行融資ではなく、失敗の可能性を承知のうえで出資される資金のことです。この調達先については、第9節でベンチャーキャピタルとして詳しく扱います。
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