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生産形態

第1章 生産管理概論

生産形態とは、企業が置かれている市場環境や技術的条件に応じて、製品をどのように生産するかの基本的な方針やしくみのことです。生産形態は「生産時期」「生産指示」「加工品の流れ」「生産方式」「生産品種・生産量」の5つの観点から分類されます。

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受注生産と見込生産

簡単にいうと

簡単にいうと、「注文を受けてから作る」のが受注生産、「売れると見込んであらかじめ作っておく」のが見込生産です。どちらを選ぶかで経営課題が大きく変わります。

生産時期の観点から、生産形態は受注生産見込生産に分かれます。

受注生産は、顧客が定めた仕様の製品を、注文を受けてから生産する形態です(JIS Z 8141-3204)。顧客の注文に応じて設計・製造・出荷と進めます。受注時のコスト・納期の見積りの正確さ、生産リードタイムの短縮、受注の平準化がポイントです。受注の内容には製品仕様(性能・品質・形状・色など)、数量、納期、納入場所が含まれます。

見込生産は、生産者が市場の需要を見越して企画・設計した製品を生産し、不特定多数の顧客を対象に市場に出荷する形態です(JIS Z 8141-3203)。需要予測の正確さと柔軟な生産体制の確立がポイントです。需要予測の精度を高めるためには、①計画対象期間を短くすること、②計画先行期間(どのくらい先の分を計画するか)を短くすること、が有効です。

具体例

船舶や注文住宅は受注生産の代表例です。顧客ごとに仕様が異なるため、注文を受けてから設計・製造します。一方、日用品や清涼飲料水は見込生産の代表例で、需要を予測して大量に生産し、店頭に並べて販売します。

区分
受注生産
見込生産
生産タイミング
注文を受けてから生産
需要を見込んで事前に生産
仕様の決定者
顧客
生産者
在庫
基本的に製品在庫なし
製品在庫を保有
主な課題
見積り精度、リードタイム短縮
需要予測精度、適正在庫維持
代表例
船舶、注文住宅、専用機械
日用雑貨、加工食品、飲料

試験のポイント

  • 受注生産の課題は「見積り精度・リードタイム短縮・受注平準化」です
  • 見込生産の課題は「需要予測精度・適正在庫・柔軟な生産体制」です
  • 受注生産は「顧客が仕様を定める」、見込生産は「生産者が企画・設計する」という主語の違いがポイントです
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押出し型と引取り型

簡単にいうと

簡単にいうと、「計画どおりに前から押し出して作る」のが押出し型、「後工程が必要な分だけ前工程から引き取る」のが引取り型です。引取り型の代表がかんばん方式です。

生産指示の観点から、生産形態は押出し型(プッシュシステム)引取り型(プルシステム)に分かれます。

押出し型は、あらかじめ定められたスケジュールに従い生産活動を行う管理方式です(JIS Z 8141-4201)。需要予測や生産計画に基づいて、前工程が自発的に製品を作って後工程へ押し出します。代表例はMRP(資材所要量計画)などです。

引取り型は、後工程から引き取られた量を補充するためにだけ生産活動を行う管理方式です(JIS Z 8141-4202)。消費された分だけ生産する方式で、仕掛品を最小限に抑えられます。代表例はかんばん方式です。

具体例

大量生産型の食品工場では、週次の生産計画に基づいて各工程に指示を出す「押出し型」で運営しています。一方、トヨタの自動車工場では、最終組立ラインで使った部品の分だけ前工程から引き取る「引取り型(かんばん方式)」で運営し、在庫を最小化しています。

区分
押出し型(プッシュ)
引取り型(プル)
生産指示
計画に基づき前工程から指示
後工程が必要量を引き取り
在庫
仕掛品が増えやすい
仕掛品を最小限に抑制
代表例
MRP
かんばん方式

試験のポイント

  • 押出し型は「計画に基づく生産指示」、引取り型は「後工程の消費に基づく生産指示」です
  • 引取り型の代表例がかんばん方式であることは頻出です
  • 生産指示の方向(押出し=前→後、引取り=後→前)を図で覚えましょう
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フローショップ型とジョブショップ型

簡単にいうと

簡単にいうと、すべての製品が同じ順序で工程を流れるのがフローショップ型、製品ごとに通る工程の順序が異なるのがジョブショップ型です。

加工品の流れの観点から、生産形態はフローショップ型ジョブショップ型に分かれます。

フローショップ型は、すべての仕事(ジョブ)が同じ順序で機械設備を通過するような生産形態です。どのジョブでも同じ順序で設備を通過し、作業の流れが上流から下流へ一方向に進みます。生産設備を原材料から製品までの変換過程に従って直線的に配置するレイアウトを製品別レイアウトと呼びます。

ジョブショップ型は、仕事ごとに機械設備の利用順序が異なる多数のジョブを同時に扱う生産形態です。工場内には機能ごとに分かれた作業ステーションが配置され、各ジョブは専用のルートを選んで工程を回ります。このレイアウトを機能別レイアウトと呼びます。

具体例

ペットボトル飲料の製造ラインは、原料混合→充填→キャッピング→ラベル貼付→箱詰めと、すべての製品が同じ順序で流れるフローショップ型です。一方、金属加工の試作工場では、製品Aは旋盤→フライス→研磨、製品Bはフライス→穴あけ→旋盤と、製品ごとに異なる順序で機械を使うジョブショップ型です。

区分
フローショップ型
ジョブショップ型
工程順序
全製品が同じ順序
製品ごとに異なる
レイアウト
製品別レイアウト
機能別レイアウト
特徴
一方向の整流、効率的
柔軟だが物の動きが錯綜

試験のポイント

  • フローショップ=製品別レイアウト、ジョブショップ=機能別レイアウトの対応を覚えましょう
  • 「加工品の流れ」で区別される用語の組み合わせとして出題されます
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個別生産・ロット生産・連続生産

簡単にいうと

簡単にいうと、「一品ずつ作る」のが個別生産、「まとめて作る」のがロット生産、「ずっと同じものを作り続ける」のが連続生産です。

生産方式の観点から、個別生産ロット生産連続生産の3つに分かれます。

個別生産は、個々の注文に応じてその都度1回限り生産する形態です(JIS Z 8141-3209)。繰り返し性がなく、コストは設計・調達・作業の各段階での業務遂行能力に大きく左右されます。代表例は船舶、注文建物、専用機械設備、各種試作品などです。

ロット生産は、複数の製品を品種ごとにまとめて交互に生産する形態です(JIS Z 8141-3210)。断続生産ともいい、個別生産と連続生産の中間的な位置づけです。生産する単位をロットサイズ(バッチ)と呼び、ロットサイズを決める手続きをロットサイジングと呼びます。品種の切替え時に段取替えが発生するため、段取替え時間の短縮が重要課題です。

段取替えは、機械を停止して行う内段取と、機械を停止しないで行う外段取に分かれます。内段取の停止時間が10分未満のものをシングル段取と呼びます。改善方法としては、内段取そのものの短縮や、内段取の外段取化があります。

連続生産は、同一の製品を一定期間続けて生産する形態です(JIS Z 8141-3211)。標準化された製品を停滞なく連続して生産します。代表例は日用雑貨品、加工食品、清涼飲料などです。

具体例

オーダーメイドのウェディングドレスは「個別生産」、パン工場で食パン500斤→クロワッサン300個→バゲット200本と品種を切り替えながら作るのが「ロット生産」、ミネラルウォーターの充填ラインで毎日同じ商品を作り続けるのが「連続生産」です。

区分
個別生産
ロット生産
連続生産
繰り返し性
なし(1回限り)
あり(まとめて交互)
あり(継続的)
製品の多様性
多い
中程度
少ない
課題
コスト見積り精度
段取替え時間の短縮
設備稼働率の維持
代表例
船舶、注文住宅
パン工場、部品工場
飲料、日用品

試験のポイント

  • 個別生産(1回限り)・ロット生産(まとめて交互)・連続生産(同一製品を継続)の違いを押さえましょう
  • ロット生産では段取替え(内段取・外段取)とシングル段取が重要キーワードです
  • 内段取を外段取化する改善手法は頻出です
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多種少量生産と少種多量生産

簡単にいうと

簡単にいうと、「たくさんの種類を少しずつ作る」のが多種少量生産、「少ない種類を大量に作る」のが少種多量生産です。さらに両方のいいとこ取りを目指すのが変種変量生産(マスカスタマイゼーション)です。

生産品種・生産量の観点から、多種少量生産少種多量生産に分かれます。

多種少量生産は、多くの種類の製品を少量ずつ生産する形態です(JIS Z 8141-3213)。中小企業が最も多く採用している生産形態ともいわれ、小回りを生かせる形態です。特徴として、①製品の種類が多く加工順序が製品によって異なるため物の動きが錯綜しやすい、②受注変動により設備能力の過不足が生じやすい、③対策として部品の共通化・標準化の適用が有効、といった点が挙げられます。

少種多量生産は、少ない種類の製品を大量に生産する形態です。ライン生産ともよばれます。特徴として、①専用ラインによる単純な加工工程が可能、②作業が単純化し単能工で対応可能、③生産性が高い、④仕掛品が少なくリードタイムが短い、⑤作業が単調で労務管理上の問題が生じうる、といった点があります。

変種変量生産(マスカスタマイゼーション)は、多様な顧客ニーズに合わせた製品を効率的かつ低価格で大量生産して提供する形態です(JIS Z 8141-3215)。製品を構成する要素をモジュールに分け、モジュール部分は大量生産でコストを抑え、組み合わせによって個々の顧客要望に応えます。規模の経済性を活かしながら多様なニーズに対応できます。

具体例

特注の産業用ロボットを様々な仕様で少量ずつ製造するのが多種少量生産、缶ビールを1種類のラインで毎日数十万本生産するのが少種多量生産です。デルのBTO(受注組立)パソコンは、標準化された部品モジュールを顧客の注文に応じて組み合わせるマスカスタマイゼーションの例です。

区分
多種少量生産
少種多量生産
マスカスタマイゼーション
品種
多い
少ない
多い(モジュール組合せ)
生産量
少ない
多い
多い
柔軟性
高い
低い
高い
生産性
相対的に低い
高い
高い
対策・特徴
部品共通化・標準化
専用ライン化
モジュール化

試験のポイント

  • 多種少量生産は中小企業に多く、部品の共通化・標準化が対策として重要です
  • 少種多量生産は生産性が高いが作業の単調さが課題です
  • マスカスタマイゼーション=モジュール化による大量生産と個別対応の両立がキーワードです

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
受注生産と見込生産
注文後に作るか、事前に作るかの違いです
仕様の決定者が「顧客」か「生産者」かが出題ポイントです
押出し型と引取り型
計画に基づくか、後工程の消費に基づくかの違いです
引取り型=かんばん方式の対応を覚えましょう
フローショップとジョブショップ
同じ順序で流れるか、製品ごとに異なるかの違いです
製品別/機能別レイアウトとの対応が重要です
個別・ロット・連続生産
1回限り、まとめて交互、継続的にの3パターンです
段取替え(内段取・外段取・シングル段取)が頻出です
多種少量と少種多量
品種数と生産量のトレードオフ関係です
マスカスタマイゼーション(モジュール化)も押さえましょう
生産形態を生産時期・生産指示・加工品の流れ・生産方式・品種量の5軸で分類するツリー図

生産形態の5つの分類軸

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