スケジューリング
第2章 生産の管理
スケジューリングは、各工程の着手・完了時期を決める計画活動です。ここでは大日程・中日程・小日程計画、ジョンソン法、ディスパッチングルール、PERT(アローダイアグラム)について学びます。いずれも計算問題として出題頻度が高い分野です。
生産計画の階層
簡単にいうと
簡単にいうと、生産計画は「長期の大まかな計画→中期の部門別計画→短期の具体的な作業指示」の3段階に分かれます。
生産計画は「生産量と生産時期とに関する計画」(JIS Z 8141-3302)であり、計画期間の長さによって3つに分かれます。
| 計画の種類 | 計画期間 | 計画対象 |
|---|---|---|
| 大日程計画 | 6か月~2年 | 全工場・全製品 |
| 中日程計画 | 1~3か月 | 部門 |
| 小日程計画 | 1~10日 | 人・機械 |
日程計画の立て方には2つの方向があります。
フォワードスケジューリング:着手予定日を基準として工程順序に沿って予定を組みます。
バックワードスケジューリング:完成予定日や納期を基準として工程順序とは逆方向に予定を組みます。
具体例
自動車メーカーでは、大日程計画で「来年度の車種別生産台数」を決め、中日程計画で「来月の工場別・ライン別の生産数」を割り当て、小日程計画で「明日の各作業者の担当工程と作業順序」を指示しています。
試験のポイント
- ・大日程・中日程・小日程の期間と対象レベルを覚えましょう
- ・フォワード(着手基準・順方向)とバックワード(納期基準・逆方向)の違いは頻出です
フローショップ・スケジューリング(ジョンソン法)
簡単にいうと
簡単にいうと、ジョンソン法は「2つの工程を通る複数のジョブを、全体の作業期間が最短になる順番に並べる」ための計算方法です。
ジョンソン法は、2段階の工程に複数の生産オーダーが出ているとき、全体の作業期間が最短になる順序を算出する方法です。
手順は以下のとおりです。
1. すべてのジョブから処理時間が最短のものを選ぶ
2. その最短時間が前工程(工程1)にあれば、そのジョブをできるだけ前の順序にする
3. その最短時間が後工程(工程2)にあれば、そのジョブをできるだけ後の順序にする
4. 選んだジョブを除外し、残りのジョブで1~3を繰り返す
具体例
5つのジョブの処理時間が、J1(工程1:4,工程2:5)・J2(6,5)・J3(6,7)・J4(5,3)・J5(4,3)の場合、最短はJ4とJ5の工程2の3。後工程なので後ろに配置→J5を最後、J4をその前。次にJ1の工程1の4が最短。前工程なので前に配置→J1を最初。残りのJ2,J3はJ3(前工程6,後工程7)→J2(前工程6,後工程5)の順。結果:J1→J3→J2→J5→J4で総所要時間27が最短です。
試験のポイント
- ・ジョンソン法の3ステップ(最短選択→前工程なら前へ、後工程なら後ろへ)を覚えましょう
- ・計算問題として頻出です。ガントチャートで検証する問題も出ます
- ・ジョンソン法は「2工程」の場合に適用可能です
ジョブショップ・スケジューリング(ディスパッチングルール)
簡単にいうと
簡単にいうと、ジョブショップでは各ジョブの工程順序がバラバラなので、「待ち行列の中からどのジョブを次に処理するか」を決めるルールが必要です。それがディスパッチングルールです。
ディスパッチングルールとは、「待ちジョブのなかから、次に処理する仕事の優先度を決める規則」です(JIS Z 8141-3314)。代表的なルールは以下の5つです。
| ルール | 略称 | 基準 |
|---|---|---|
| 先着順規則 | FCFS | 先に到着したジョブを優先 |
| 最小作業時間規則 | SPT | 加工時間が最小のジョブを優先 |
| 最長作業時間規則 | LPT | 加工時間が最長のジョブを優先 |
| 最早納期規則 | EDD | 納期が最も迫っているジョブを優先 |
| 最小スラック規則 | − | 納期余裕(スラック)が最小のジョブを優先 |
スラック=納期−現在時刻−残り総加工時間で算出します。
具体例
機械Aの前に3つのジョブが待っている場合、SPTルール(最小作業時間優先)ではジョブの加工時間が短い順に処理します。これにより平均待ち時間が最小化されます。一方、EDDルール(最早納期優先)では納期が近い順に処理するため、納期遵守率が向上します。
試験のポイント
- ・5つのルール名と略称、基準の対応を正確に覚えましょう
- ・SPTは「平均フロータイム最小」、EDDは「最大遅延最小」に有効です
- ・スラックの計算式(納期−現在時刻−残り加工時間)も出題されます
PERT(アローダイアグラム)
簡単にいうと
簡単にいうと、PERTはプロジェクトの各作業の順序関係を矢印の図(アローダイアグラム)で表し、全体の最短完了日数や余裕のない作業経路(クリティカルパス)を見つける手法です。
PERT(Program Evaluation and Review Technique)は、順序関係のある複数のアクティビティ(作業)で構成されるプロジェクトを効率よく実行するためのスケジューリング手法です。アローダイアグラムで作業の全体像を表現します。
アローダイアグラムでは、ノード(結合点)を丸で、アクティビティを矢線で表します。同じノード間に複数の作業がある場合は、作業時間0のダミー作業(破線の矢印)で分離します。
最早結合点時刻(EPST)は、左から右へ順に計算し、複数の作業が合流するノードでは最大値を取ります。
最遅結合点時刻(LPST)は、右から左へ逆順に計算し、複数の作業が分岐するノードでは最小値を取ります。
クリティカルパスは、EPST=LPSTとなるノードを結んだ経路で、プロジェクト全体の所要期間を決定する最も余裕のない経路です。クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体が遅延します。
スケジューリングの方向
| 方式 | 考え方 |
|---|---|
| フォワードスケジューリング | 開始日を起点にして、各作業を前から順に割り付けていく方式。最も早い完了日が分かる |
| バックワードスケジューリング | 納期(完了日)を起点にして、各作業を後ろから逆算して割り付けていく方式。各作業の最も遅い開始日が分かる |
ダミー作業
アローダイアグラムでは、実際の作業時間を持たないダミー作業(点線の矢印、所要時間0)を使う場面が2つあります。
1. 並行作業の表現 — 同じ開始結合点と終了結合点を持つ2つの作業がある場合、そのまま描くと区別できないため、ダミー作業を挟んで表現する
2. 正しい先行関係の表示 — ある作業が別の作業の完了を待つ必要があるが、直接矢印でつなぐと他の関係が崩れる場合、ダミー作業で順序関係だけを示す
最早結合点時刻(EPST)の計算ルール
- 各結合点について、そこに至る全経路の所要時間を加算して求める
- 複数の経路が合流する結合点では、最大値を採用する(すべての先行作業が完了しないと次に進めないため)
最遅結合点時刻(LPST)の計算ルール
- プロジェクト完了時点から逆算し、各結合点の時刻を減算して求める
- 複数の経路に分岐する結合点では、最小値を採用する(最も余裕のない経路に合わせる必要があるため)
具体例
9つの作業A~Iで構成されるプロジェクトをアローダイアグラムで表現すると、最終ノードのEPST=17日がプロジェクトの最短所要日数になります。EPST=LPSTのノードをたどると、A→E→H のルートがクリティカルパスであることが分かります。
試験のポイント
- ・アローダイアグラムの描き方とダミー作業の概念は必須です
- ・EPSTは「合流→最大値」、LPSTは「分岐→最小値」の計算ルールを覚えましょう
- ・クリティカルパスの求め方とその意味(最も余裕がない経路)は頻出です
- ・PERT関連の計算問題は毎年のように出題される最重要テーマです
CPM(クリティカルパスメソッド)
簡単にいうと
CPMはPERTで見つけたクリティカルパスを使って、プロジェクトの期間を最小のコストで短縮する手法だよ。どの作業を縮めればいちばんお得かを考えるのがポイント!
CPM(Critical Path Method) は、PERTで特定したクリティカルパスの作業を計画的に短縮し、最小のコスト増加でプロジェクト期間を縮める手法です。
CPMの基本的な考え方
プロジェクト期間を短縮するには、クリティカルパス上の作業のみを短縮することが有効です。クリティカルパス以外の作業を短縮しても、プロジェクト全体の完了日は変わりません。
短縮費用(クラッシュコスト)
各作業には短縮費用(1日あたりの短縮に必要な追加コスト)が設定されます。
期間短縮の手順
1. PERTでクリティカルパスを特定する
2. クリティカルパス上の各作業について短縮費用を算出する
3. 短縮費用が最も低い作業から優先的に短縮する
4. 短縮後にクリティカルパスが変化する可能性がある — ある作業を短縮した結果、別の経路が新たなクリティカルパスになることがある
5. クリティカルパスが変化したら、新しいクリティカルパスに基づいて再度手順2〜4を繰り返す
注意点
- 各作業には短縮可能な限界日数がある(特急日数を下回ることはできない)
- 短縮を進めるとクリティカルパスが複数本になることがあり、その場合はすべてのクリティカルパス上の作業を同時に短縮しないと効果がない
- コスト増加と期間短縮のトレードオフを見極めることが重要
CPM ─ 最小コストでの期間短縮
試験のポイント
- ・CPMはPERTの応用で、クリティカルパス上の作業を対象に期間短縮を図る手法
- ・短縮費用が最小の作業から順に短縮するという原則が最重要
- ・クリティカルパスが変化したら再計算が必要という点が引っかけポイント
- ・短縮費用の計算式を使った数値問題が出題される可能性あり
まとめ
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