環境マネジメントシステム(EMS)
第5章 物の管理
環境マネジメントシステム(EMS)は、組織が環境に配慮した経営を体系的に実施するための仕組みです。ISO14001をはじめ、3R(Reduce・Reuse・Recycle)、サーキュラーエコノミー、ライフサイクルアセスメント(LCA)など、環境に関する重要な概念を学びます。
ISO14001と環境マネジメント
簡単にいうと
簡単にいうと、ISO14001は「環境に優しい経営を継続的に改善していくための国際ルール」です。
ISO14001は、環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management System)の国際規格です。組織が環境方針を定め、環境側面を特定し、法規制を順守しながら、環境パフォーマンスの継続的改善を図る仕組みを構築するための要求事項を規定しています。
ISO14001もPDCAサイクルに基づいており、Plan(環境方針・目標の設定)→Do(運用)→Check(監視・測定)→Act(マネジメントレビュー・改善)のサイクルを回します。
ISO14001の認証取得は任意ですが、取引先からの要求や企業イメージの向上のために取得する企業が増えています。
ISO9001との共通点・相違点:
- 共通点:PDCAサイクル、継続的改善、文書化の要求
- 相違点:ISO9001は品質(顧客満足)、ISO14001は環境(環境負荷低減)が対象
具体例
製造業のA社がISO14001を取得する際、まず「CO2排出量を前年比5%削減」「廃棄物リサイクル率を80%以上にする」などの環境目標を設定し、各部門に具体的な取り組みを展開しました。
試験のポイント
- ・ISO14001は環境マネジメントシステムの国際規格であることを覚えましょう
- ・ISO9001(品質)とISO14001(環境)の対象の違いを区別しましょう
- ・認証取得は「任意」であるという点を押さえましょう
3R・サーキュラーエコノミー・LCA
簡単にいうと
簡単にいうと、3Rは「ゴミを減らす3つの方法」、サーキュラーエコノミーは「ゴミをゼロにする経済の仕組み」、LCAは「製品の一生を通じた環境負荷を計算する方法」です。
3Rは、廃棄物の発生抑制と資源の有効活用を進めるための3つの取り組みです。優先順位は以下のとおりです。
1. Reduce(リデュース):廃棄物の発生そのものを減らす(最優先)
2. Reuse(リユース):製品や部品を繰り返し使用する
3. Recycle(リサイクル):資源として再利用する
サーキュラーエコノミー(循環型経済)は、従来の「大量生産→大量消費→大量廃棄」の線形経済から脱却し、製品や資源を可能な限り長く使い、廃棄物を最小化する経済モデルです。製品設計の段階からリサイクルや修理を考慮した設計(Design for Environment)を行います。
LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)は、製品の原材料調達から製造・使用・廃棄までのライフサイクル全体を通じた環境負荷を定量的に評価する手法です。「ゆりかごから墓場まで(Cradle to Grave)」の考え方に基づきます。
LCAの手順は、目的と範囲の設定→インベントリ分析(資源消費・排出物の定量化)→影響評価→結果の解釈、の4段階です。
具体例
ペットボトル飲料のLCAを行ったところ、原材料の石油採掘から製造、輸送、販売、消費者の使用後のリサイクルまで含めたCO2排出量が算定されます。ペットボトルからペットボトルへの水平リサイクル(ボトルtoボトル)はサーキュラーエコノミーの実践例です。
試験のポイント
- ・3Rの優先順位(Reduce>Reuse>Recycle)を覚えましょう
- ・LCAは「ライフサイクル全体」の環境負荷を評価する点がポイント
- ・サーキュラーエコノミーと線形経済(リニアエコノミー)の違いを理解しましょう
エコアクション21とカーボンニュートラル
簡単にいうと
簡単にいうと、エコアクション21は「中小企業でも取り組みやすい環境マネジメントの仕組み」、カーボンニュートラルは「CO2の排出と吸収を差し引きゼロにしよう」という考え方です。
エコアクション21
エコアクション21は、環境省が策定した中小事業者向けの簡易型環境マネジメントシステム(EMS)です。ISO14001と比べて取り組みやすく、費用や手間が少ないのが特徴です。環境への取組を効果的・効率的に行うことを目的としたガイドラインに基づいて運用されます。
ISO14001との主な違いは、規模の小さい事業者でも無理なく導入できるよう手順が簡素化されている点です。
カーボンフットプリント
カーボンフットプリントは、製品やサービスのライフサイクル全体(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)を通じて排出されるCO2排出量を数値化して表示する仕組みです。消費者が環境負荷を考慮した購買判断を行えるようにする情報提供ツールです。
カーボンニュートラル
カーボンニュートラルは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的にゼロにする考え方です。日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げています。
企業にとっては、省エネルギー・再生可能エネルギー導入・森林吸収等の取組が求められます。
具体例
従業員30名の食品加工会社がエコアクション21の認証を取得しました。ISO14001と比べて審査費用が1/3程度で済み、社内の環境意識向上と電気使用量15%削減を同時に達成しました。また、主力製品にカーボンフットプリントを表示することで環境配慮型企業としてのブランド価値も向上しました。
試験のポイント
- ・エコアクション21は環境省策定の中小事業者向け簡易型EMSであることを覚えましょう
- ・カーボンフットプリントはライフサイクル全体のCO2排出量の表示であることを押さえましょう
- ・カーボンニュートラルは2050年目標であり、排出量と吸収量の均衡を目指す概念です
まとめ
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