第5章 物の管理
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「JITシステム」の動画を再生します。
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プレミアムで見る在庫品目が何千点もあるとき、そのすべてを同じ手間で管理するのは無理ですし、そもそも無駄です。金額の大きい一部の品目にだけ手間をかけ、残りは軽く回す。この「重点管理」の考え方を、いちばん分かりやすい形にしたのがABC分析です。在庫だけでなく、不良項目や売上分析にも同じ発想が使われます。
簡単にいうと
在庫金額の8割は、品目数の2割で占められている。だったら、その2割を重点的に見ればいい。そういう割り切りから生まれた手法です。
在庫管理を効率化する方法に重点管理があります。ABC分析は、その在庫の重点管理の最も代表的な方法です。
ABC分析の基本的な考え方は「全在庫品目に対して一律で同じ管理はしない」ということです。これは、一般に在庫金額の総額の80%が全在庫品目のうちの20%で占められているという状態を前提にした考え方です(パレートの法則)。在庫金額が多い品目を重点的に管理することで、効率的に最適な在庫量を実現できます。
ABC分析は、JISで次のように定義されています。
> 多くの在庫品目を取り扱うときそれを品目の取扱い金額又は量の大きい順に並べて、管理の重要度が高い品目から順にA、B、Cの3種類に区分し、重要度に沿った管理の仕方を決めるための分析(JIS Z 8141-7302)
注釈もあわせて押さえておきましょう。
つまりABC分析とパレート分析は、同じ考え方を在庫に使うか品質に使うかの違いです。
ABC分析にはABC曲線(パレート曲線)が利用されます。
| 軸 | 内容 |
|---|---|
| 横軸 | 品目数累計(%)。金額・量の大きい順に並べる |
| 縦軸 | 累計金額(%) |
金額の大きい品目から並べるので、曲線は最初に急に立ち上がり、だんだん寝ていく形(上に凸の曲線)になります。
曲線を見て、次のように在庫品目をグルーピングします。
| 区分 | 品目数の割合 | 在庫金額に占める割合 |
|---|---|---|
| A品目 | 品目別在庫金額上位20% | 在庫金額全体の80%に達する |
| B品目 | 品目別在庫金額上位20〜50% | 在庫金額の15% |
| C品目 | 品目別在庫金額下位50% | 在庫金額では全体の5%にしかならない |
それぞれの割合は状況によって異なるため、覚える必要はありません。大事なのは「少数の品目が金額の大半を占める」という構造のほうです。
区分したら、それぞれに違う管理を当てます。ここがABC分析の目的です。
| 区分 | 管理の方針 | 採用する発注方式 |
|---|---|---|
| A品目 | 重点管理品目として取り扱う。実績を続けるとともに、在庫水準が最小になるように管理する | 定期発注方式 |
| B品目 | A品目よりは管理レベルを下げる | 一般には定量発注方式。ただし単価が高い品目については定期発注方式を用いる |
| C品目 | 管理の効率化を最優先する | 定量発注方式またはダブルビン方式 |
A品目に定期発注方式を当てるのは、手間はかかるものの在庫量をきめ細かく抑えられるからです。金額が大きい品目ほど、在庫を1つ減らしたときの効果が大きくなります。
反対にC品目は、在庫を多めに持っても金額への影響が小さいので、管理の手間を減らすほうが得です。ダブルビン方式(2つの箱を用意し、片方が空になったら1箱分を発注する方式)のように、在庫調査すら省ける簡単な方法が向きます。
具体例
ある部品倉庫に500品目の在庫があるとします。1年分の出庫金額で並べ替えたところ、次のようになりました。
| 区分 | 品目数 | 品目数の割合 | 金額 | 金額の割合 |
|---|---|---|---|---|
| A品目 | 100品目 | 20% | 8,000万円 | 80% |
| B品目 | 150品目 | 30% | 1,500万円 | 15% |
| C品目 |

ABC分析のパレート曲線
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| 50% |
| 500万円 |
| 5% |
| 計 | 500品目 | 100% | 1億円 | 100% |
ここから読み取れること
C品目は250品目もありますが、金額はたった500万円です。この250品目に、A品目と同じように毎月需要予測をして発注量を計算していたら、手間ばかりかかって効果はほとんどありません。在庫を多めに持っても、金額のインパクトは知れています。
一方、A品目の100品目は8,000万円。ここで在庫を1割減らせれば800万円の資金が浮きます。手間をかける価値は十分あります。
実際の運用
注意点
金額が小さいからといって、C品目を軽んじてよいわけではありません。ネジ1本が欠品しても製品は完成しないからです。C品目は「管理の手間をかけない」のであって、「在庫を切らしてよい」わけではない、という点は押さえておいてください。むしろC品目は多めに持っておくのが定石です。
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