発注方式
第5章 物の管理
発注方式は、いつ・どれだけ発注するかを決定するルールです。代表的なものに定量発注方式と定期発注方式があり、それぞれに適した品目の特性があります。EOQ(経済的発注量)公式や発注点の計算は試験での頻出論点です。
定量発注方式
簡単にいうと
簡単にいうと、定量発注方式は「在庫がある量まで減ったら、毎回同じ量を発注する」方式です。いつ発注するかは在庫量で決まります。
定量発注方式(発注点方式)は、在庫量が発注点(ROP:Re-Order Point)まで減少したとき、あらかじめ決めた一定量(発注量Q)を発注する方式です。
発注点は以下の式で求めます。
安全在庫は、需要変動やリードタイムの変動に備えるバッファ在庫です。
EOQ(Economic Order Quantity:経済的発注量)は、発注費用と在庫維持費用の合計が最小となる発注量です。
ここで、D=年間需要量、S=1回あたりの発注費用、H=1個あたり年間在庫維持費用です。
定量発注方式は、需要が比較的安定しているC品目(安価で大量消費する品目)に適しています。発注量が一定なので管理が容易です。
具体例
1日あたり使用量が10個、調達リードタイムが5日、安全在庫が20個の場合:
発注点=10×5+20=70個
在庫が70個になったら発注します。
また、年間需要量D=2,400個、1回発注費用S=500円、年間維持費H=20円/個の場合:
EOQ=√(2×2400×500/20)=√120,000≒346個
経済的発注量(EOQ)と在庫関連費用
試験のポイント
- ・発注点の計算式(平均使用量×LT+安全在庫)を覚えましょう
- ・EOQ公式 √(2DS/H) は必ず覚えましょう。DとSは分子、Hは分母です
- ・定量発注方式は「発注量が一定、発注時期が変動」という特徴を押さえましょう
定期発注方式
簡単にいうと
簡単にいうと、定期発注方式は「毎月1日など決まったタイミングで在庫を確認して、必要な分だけ発注する」方式です。発注量は毎回変わります。
定期発注方式は、あらかじめ定められた発注間隔(発注サイクル)ごとに在庫量を確認し、その都度必要な量を計算して発注する方式です。
発注量は以下の式で求めます。
定期発注方式は、A品目(高価で重要な品目)に適しています。発注のたびに需要予測を行い、発注量を調整するため、在庫管理の精度は高いですが管理の手間がかかります。
定量発注方式との比較:
- 定量発注方式:発注量が一定、発注時期が変動
- 定期発注方式:発注時期が一定、発注量が変動
具体例
月初に在庫を確認する定期発注方式で、発注間隔30日、調達LT10日、平均使用量5個/日、安全在庫30個、現在庫120個、発注残0個の場合:
発注量=(30+10)×5+30−120−0=110個
試験のポイント
- ・定期発注方式の発注量計算式を覚えましょう(発注間隔+LT)×使用量+安全在庫−現在庫−発注残
- ・定量発注はC品目向け、定期発注はA品目向けという対応を押さえましょう
- ・「時期が一定で量が変動」が定期発注、「量が一定で時期が変動」が定量発注です
その他の発注方式
簡単にいうと
簡単にいうと、ダブルビン方式は「2つの箱を使って簡単に在庫管理する方法」、補充点方式は「定期的に在庫を見て基準量まで補充する方法」です。
定量発注方式と定期発注方式以外にも、以下の発注方式があります。
ダブルビン方式(二棚法・複棚法)は、同じ材料を2つの棚(ビン)に入れておき、一方が空になったら発注する最も簡易な方式です。安価で消費量が安定した品目(ネジ・ボルト等のC品目)に適します。発注点管理の最も簡略化した形態といえます。
補充点方式(s, S方式)は、定期的に在庫をチェックし、在庫が発注点s以下であれば、補充点Sまで在庫を補充する方式です。定期発注方式と定量発注方式を組み合わせた折衷方式といえます。
不定量不定期発注方式は、必要なときに必要な量だけ発注する方式で、特注品や一品生産の材料に適しています。
具体例
ネジ工場では、M6ボルトをダブルビン方式で管理しています。2つの箱にそれぞれ500本ずつ入れておき、片方が空になったら空の箱を発注カードと一緒に購買担当に渡します。もう片方の箱の500本を使い切る前に補充が届く仕組みです。
試験のポイント
- ・ダブルビン方式は「定量発注方式の最も簡易な形態」であることを理解しましょう
- ・補充点方式は「定期チェック(定期)+発注点まで減ったら発注(定量)」の折衷型です
- ・各方式がどの品目(A/B/C)に適するか整理しましょう
発注方式のメリット・デメリットと関連用語
簡単にいうと
簡単にいうと、定量発注と定期発注にはそれぞれ一長一短があり、品目特性に応じて使い分けます。また、有効在庫や補充点方式など、在庫管理に欠かせない関連概念もここで整理します。
定量発注方式と定期発注方式の比較
| 項目 | 定量発注方式 | 定期発注方式 |
|---|---|---|
| メリット | 管理が容易。発注業務の自動化が可能(発注点に達したら自動発注) | きめ細かな在庫管理が可能。需要変動にも柔軟に対応できる |
| デメリット | 需要変動への対応が困難(発注量が固定のため) | 管理が複雑。安全在庫を多めに持つ必要がある場合がある |
| 適する品目 | 需要が安定した品目(Cグループ等) | 需要変動が大きい重要品目(Aグループ等) |
| 発注量 | 毎回同じ(経済的発注量EOQ等) | 毎回異なる(需要予測に基づき計算) |
| 発注時期 | 不定期(在庫が発注点に達した時点) | 定期的(あらかじめ決めた発注間隔) |
有効在庫
有効在庫とは、実質的に利用可能な在庫量を示す指標です(JIS Z 8141-7307)。
- 手持在庫:現時点で倉庫に実際にある在庫量
- 発注残:発注済みだがまだ入荷していない数量
- 引当量:他の注文にすでに割り当て済みの数量
補充点方式のバリエーション
| 方式 | JIS番号 | 特徴 |
|---|---|---|
| 発注点補充点方式 | JIS Z 8141-7318 | 在庫が発注点に達したら補充点まで補充する量を発注 |
| 定期補充点方式 | JIS Z 8141-7322 | 一定周期ごとに補充点まで補充する量を発注 |
| 定期発注点補充点方式 | JIS Z 8141-7323 | 一定周期ごとに在庫を確認し、発注点以下なら補充点まで発注 |
具体例
部品Aは月間消費量が安定(変動係数10%以下)しているため定量発注方式を採用。部品Bは季節変動が大きい(変動係数40%)ため定期発注方式で需要予測に基づき発注量を調整しています。
試験のポイント
- ・定量発注方式と定期発注方式のメリット・デメリットの対比を正確に覚えましょう
- ・有効在庫=手持在庫+発注残−引当量の公式は計算問題で頻出です
- ・補充点方式3種類(発注点補充点/定期補充点/定期発注点補充点)の違いを整理しましょう
まとめ
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