第3章 物流・輸配送管理
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プレミアムで見る卸ごとにばらばらだった納品を1本にまとめる。これが一括物流の発想です。受け取る小売店の作業が減り、トラックの台数も減る。そのしくみを支えているのが、在庫をもつDC、在庫をもたないTC、そして加工まで担うPCという3つのセンターです。
簡単にいうと
何十社もの卸が別々にトラックを寄こすと、小売店は朝から受け取りに追われます。それを1つの物流センターに集約してしまおう、というのが一括物流です。
卸売業が小売業との結びつきを強めようとするとき、有力な手立てになるのが 一括物流を引き受けること です。
一括物流 とは、物の流れと情報の流れをひとつにまとめて管理する ことで成り立つ高品位の物流を指します。それまで卸ごとにばらばらだった物流を、ひとつの物流センターと、その小売専用に組んだ情報システムとで回していく共同のしくみ です。
小売業がこれを求める理由ははっきりしています。店頭の作業をどれだけ減らせるか ── そこに尽きます。
一括物流は、次の内容を実現する機能およびメリットを有しています。
| 機能 | メリット | |
|---|---|---|
| ① | 専用センター | その小売専用に組んだシステムを入れることが多い |
| ② | 一括納品 | 荷受けの手間が減り、店頭の作業も軽くなる |
| ③ | 一括発注 | 発注先が1本にまとまり、発注の手間が減る |
| ④ | 定時定配の確立 | 届く時刻が読めるので、人の配置を前もって組める |
| ⑤ | 検品代行 | 店頭で数え直さずに済む(ノー検品) |
⑧のカテゴリー納品は、DCでもTCでも行われるという点が問われます。「在庫型センターでしかできない」といった記述は誤りです。
一括物流が手を入れるのは、荷物を運ぶ部分だけではありません。調達から店頭までを通した物流全体 に及びます。
それを可能にしているのが情報技術です。ASN(事前出荷明細)、SCMラベル、EDI といった仕組みを物流に組み込むことで、納品のやり方そのものを変えます。行き着く先が 「ノー検品」「カテゴリー納品」「定時定配」 ── いずれも店舗の手間を削る形です。
この3つのキーワードが、一括物流の看板になります。
そして、その要を担うのが物流センターです。
具体例
ある食品スーパーの1店舗が、一括物流を導入する前後を比べてみましょう。
導入前
| 時刻 | 到着 |
|---|---|
| 6:00 | 生鮮卸のトラック |
| 7:30 | 加工食品卸A社 |
| 8:00 | 加工食品卸B社 |
| 8:15 | 菓子卸 |
| 9:00 | 日用雑貨卸 |
| 10:30 | 飲料メーカー直送 |
| 13:00 |

一括物流(1)

一括物流(2)
試験のポイント
簡単にいうと
在庫を持つのがDC、持たないのがTC、加工までするのがPC。3文字の略号が並びますが、「在庫を持つか」「何を足すか」で区別すれば迷いません。
一括物流の要を担う物流センターは、主に次の3つのタイプに分けられます。
| タイプ | 略号 | 正式名称 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 在庫型センター | DC | ディストリビューションセンター |
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| 車両台数削減 |
| トラックの本数が減り、物流費が下がる |
| ⑦ | 納品率向上 | 欠品が減り、売り逃しを抑えられる |
| ⑧ | カテゴリー納品 | 売場の区分どおりに仕分けて届くので、補充と陳列が速い。DC・TCのどちらでも行われる |
| ⑨ | 売場直結納品 | 棚へそのまま運べる形で届く |
1日に7台のトラックが別々にやってきます。そのたびに店員が荷受けに出て、箱を開けて検品し、伝票にサインする。開店準備の時間が荷受けで潰れてしまいます。しかも到着時刻が読めないので、人員を張り付けておくしかありません。
導入後
| 時刻 | 到着 |
|---|---|
| 6:00 | 一括物流センターからのトラック1台 |
| 14:00 | 一括物流センターからのトラック1台 |
7社分の商品が、センターでまとめられて2便で届きます。
誰が得をしているのか
小売店は作業が激減します。卸売業にとっても、自社でトラックを1台仕立てて店を回るより、センターに納めるだけのほうが効率的です。
一方で、センターを運営する受託卸には大きな負担がかかります。だからこそ、次に出てくるセンター・フィーという仕組みが生まれました。
| 通過型センター | TC | トランスファーセンター | ためずに通す。届いた荷を店別に分けてすぐ送り出す |
| 加工型センター | PC | プロセスセンター | 食品を切る・包む、衣料に値札を付けるといった 流通加工 を担う |
DCは在庫を持つ、TCは持たない。この一点が最大の区別です。
DCの場合
メーカー → 一括物流センター(DC) → 店舗
センター内に卸各社(A卸、B卸、C卸、D卸)の在庫が置かれており、店舗からの注文に応じてそこから出荷します。
TCの場合
メーカー → 卸(ベンダー) → 一括物流センター(TC) → 店舗
センターには在庫がないので、注文が入ってから各ベンダーが商品を持ち込み、センターで店別に仕分けて出荷します。
TCの方が1過程多いので、TCのほうがリードタイムは長くなります。
| 経路 | 過程の数 | |
|---|---|---|
| DC | メーカー → DC → 店舗 | 2 |
| TC | メーカー → ベンダー → TC → 店舗 | 3 |
TCは在庫を持たないぶん保管コストがかからず、在庫リスクもありません。その代わり、注文を受けてからベンダーに手配するので、届くまでに時間がかかります。
「在庫を持たないTCのほうが速そう」と直感で答えると間違えます。過程が1つ多いのでTCのほうが遅い、と経路の図で覚えてください。
TCへの入荷には2つの形があります。
| 形態 | 内容 | TCでの作業 |
|---|---|---|
| ベンダー仕分型 | 事前に商品を店舗別に仕分けて入荷する | 荷合わせ(各店の分をまとめるだけ) |
| センター仕分型 | 事前に仕分けをせずに総量をそのまま入荷する | 店別ピック・仕分け |
ベンダー仕分型では、食品ベンダーが「A店100個」「B店50個」とあらかじめ分けて持ち込むので、TCは各店の分を集めて(荷合わせして)積むだけです。
センター仕分型では、食品ベンダーが「A店・B店合わせて150個」とまとめて持ち込むので、TCが店別にピックして仕分けます。
誰が仕分けの手間を負うかの違いだと押さえておきましょう。
クロスドッキングとは、センターに着いた荷を一度も棚に納めず、その場で行き先別に分けて次の便へ送り出すやり方です。
入荷時点で事前出荷通知(ASN)に基づくバーコード読取を行い、受注品目であることが確認できれば、棚入れせずに出荷ドックへ直行させます。
この運用により、在庫として滞留する期間がなくなるため在庫回転率が高まり、保管料や入出荷作業料を削減できます。
入荷したトラックの荷が、そのまま出荷するトラックへ十字(クロス)に乗り換えていくイメージから、この名がついています。
クロスドッキングを成り立たせているのは、ASNとバーコードです。届く前に「何が来るか」が分かっているからこそ、棚に入れずに次のトラックへ載せ替えられます。
小売チェーンが業務を効率化するためにチェーン・オペレーション化を進めると、自社の物流センターを整備し、メーカーからそのセンターへ商品を直接納入させます。そしてセンターで店舗ごとに商品を仕分けし、各店へ一括配送する仕組みを採ります。
荷の動きだけを見れば卸売業者は外れたように映りますが、帳簿の上ではメーカーと小売店のあいだに卸売業者が挟まったままです。
そのため、センターに積まれている在庫の持ち主は卸売業者であり、売れ残った場合の損も卸売業者側にかぶさります。
それでいて小売側は、センターを動かす費用としてセンター・フィーを卸売業者に請求するのが商慣行になっています。
在庫の所有者は卸売業者、センターを運営するのは小売業、その費用は卸売業者が負担する。この三すくみの関係が、そのまま出題されます。
具体例
同じチェーンが、商品によってセンターのタイプを使い分けている例を見てみましょう。
| 商品 | 使うセンター | 理由 |
|---|---|---|
| 加工食品・日用雑貨 | DC(在庫型) | 定番で回転が読める。在庫を置いておけば即日出荷できる |
| 日配品(牛乳・パン・惣菜) | TC(通過型) | 日持ちしないので在庫を持てない。当日届いたものを当日仕分けて出す |
| 精肉・鮮魚 | PC(加工型) | 枝肉やまるごとの魚を仕入れ、センターでカット・パック・値付けして届ける |
PCを使う理由
各店に精肉加工の設備と技術者を置くのは大変です。センターでまとめて加工すれば、設備投資も人件費も1か所で済み、品質も揃います。店はパックされた商品を並べるだけになります。
これは生産管理でいえば工程の集約にあたります。
食品ベンダーと日雑ベンダーから、A店とB店へ納品する場面です。
ベンダー仕分型
センター仕分型
ベンダー仕分型はベンダー側の手間が増え、センター仕分型はセンター側の手間が増えます。ここでもトレードオフが顔を出しています。
日配品のTCで考えてみましょう。
朝5時、パンメーカーのトラックが到着します。前夜のうちにASNが届いているので、「A店に食パン30、B店に食パン20…」という中身は分かっています。
従来なら、いったん荷受けエリアに降ろし、検品し、仕分けエリアへ運び、店別に分けて、出荷エリアへ運んでいました。
クロスドッキングでは、荷降ろししたその場でバーコードを読み、ASNと一致すればそのまま各店向けのトラックへ積み替えます。棚に入れる作業も、保管スペースも要りません。
結果として、在庫回転率が高まり、保管料と入出荷作業料が削減されます。鮮度が命の日配品では、この時間短縮そのものが価値になります。

物流センターの3タイプ(DC・TC・PC)
試験のポイント
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