第3章 物流・輸配送管理
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「JITシステム」の動画を再生します。
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プレミアムで見る物流センターの中では、入荷・保管・ピッキング・流通加工・仕分け・出荷という一連の作業が毎日繰り返されています。そのどこに手を入れれば効率が上がるのか。棚への置き方(ロケーション管理)と、取り出し方(ピッキング方式)が2つの要になります。どちらも「どんな注文が多いか」によって最適な答えが変わる、という点を意識しながら読んでいきましょう。
簡単にいうと
物流センターの中は「入荷→保管→ピッキング→流通加工→仕分け→出荷」の流れです。まずは保管の段階。棚と商品を固定するか、そのつど空いた場所に入れるかで、効率が大きく変わります。
一般的な卸売業の物流体系は、次のような流れになっています。
工場 → メーカー拠点 →【卸売業:入荷 → 保管 → ピッキング → 流通加工 → 仕分け → 出荷】→ 店舗
この範囲のとらえ方には広さの違いがあります。
| 範囲 | 含まれるもの |
|---|---|
| 最も狭義の卸売物流 | 卸売業のセンター内作業(入荷〜出荷) |
| 一般的な卸売物流 | メーカー拠点からの入荷を含む |
| 最も広義の卸売物流 | 工場から店舗までの全体 |
倉庫内の主要な作業は、保管・ピッキング・流通加工・出荷の4つです。ここではまず保管を見ていきます。
入荷した商品は、先に入れたものから先に出ていく(先入れ先出し)
具体例
同じ商品構成の2つの物流センターで、ロケーション管理を比べてみましょう。
A センター:固定ロケーション
3,000品目それぞれに専用の棚番地を割り当てています。「A-12-3はしょうゆ」と決まっているので、パートの作業者もすぐに場所を覚えられ、紙のリストだけで作業できます。
しかし、季節商品の棚は年の大半が空のままです。夏にしか動かない商品のために、冬のあいだも棚を空けておく必要があります。結果として、倉庫全体の充填率は6割程度にとどまっています。
B センター:フリーロケーション
入庫のたびに、システムが空いている棚を指定します。同じ商品が離れた3か所に分かれて置かれることもありますが、作業者はハンディターミナルの指示どおりに動くだけなので問題ありません。
空きスペースが出ればすぐ別の商品で埋まるため、充填率は9割近くを保っています。
どちらを選ぶか
| 条件 | 向くロケーション |
|---|---|
| 定番商品が中心で、品目の入れ替わりが少ない | 固定ロケーション |
| 季節商品や新商品が多く、品目が入れ替わる | フリーロケーション |

TCとDC、そして3PL
試験のポイント
簡単にいうと
棚から商品を取り出すのがピッキングです。まとめて取ってから配るか、注文ごとに集めて回るか。品目数と注文数のどちらが多いかで、選ぶ方式が決まります。
ピッキングは、注文にしたがって、作業者(ピッカー)がリストを片手に、商品を棚から取り出し、台車に投入する作業です。ピッキングは、次の2つの方式に大別されます。
総数をピッキングして、あとで店単位に振り分ける方式です。
まず全店ぶんをまとめて棚から集め、そのあとで届け先ごとに分ける進め方です。扱う品目が少なく、注文の本数のほうが多い(商品品目数<オーダー数)ときに効きます。
棚を回る回数が1品目につき1度で済むので、歩く距離が短くなるのが長所です。そのかわり後ろの仕分けに腕が要るので、自動仕分け機を入れてそこを埋めるのが普通です。
簡単にいうと
最後は出荷です。箱を開けずに中身が分かるラベルと、届く前に中身を知らせるデータ。この2つがそろうと、受け取り側の検品作業そのものが要らなくなります。
値札を刷って貼る作業や、小売店が発注した単位に合わせて包み直す作業 を指します。どれも機械任せにしにくく、人手と費用がかさむ のが悩みどころです。
小売店にとっては、値札が付いた状態で届けば店頭に出すだけで済むので助かります。しかしその手間は物流センター側が負っており、先ほど見たトレードオフそのものになっています。
送り出す前に検品し、トラックへ積み込みます。積み方は2通り、カゴ車積み と ベタ積み です。
| 積み方 |
|---|
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あわせて効いてくるのが、どの商品をどの棚に置くか という決め事です。これを ロケーション管理 と呼び、置き方のルールによって2通りに分かれます。
どの棚に何を置くかを、あらかじめ決めて動かさない やり方です。
顔ぶれの変わらない 定番商品が多い倉庫に向きます。ただし、在庫が切れていてもその棚は空けたまま確保されるため、場所の使い方としては無駄が出ます。
「この棚はいつもこの商品」と決まっているので、作業者が場所を覚えられ、人手中心の倉庫では作業しやすくなります。
棚と商品をあらかじめ結びつけない やり方です。入ってきた時点で システムがその時いちばん良い場所を選び、そこへ収めます。どこに何があるかを人が覚えていられないので、自動倉庫システムがあることが前提 になります。
空いている場所にどんどん入れていくので、スペース効率は高くなります。ただし、どこに何があるかはシステムしか知らないため、システムが止まると何も取り出せません。
| 固定ロケーション | フリーロケーション | |
|---|---|---|
| 棚と商品の対応 | 固定する | 決めない |
| 場所を決めるのは | 人(あらかじめ) | システム(入庫時) |
| 保管効率(スペース効率) | 低い | 高い |
| 向いているもの | 定番商品の割合が多い場合 | 自動倉庫システムがある場合 |
| 作業者の慣れ | 場所を覚えられる | システムの指示に従う |
試験で狙われるのは保管効率の向きです。「固定ロケーション管理は、フリーロケーション管理に比べて商品の保管効率が高い」という記述は誤りです。正しくは固定ロケーションのほうが保管効率は低い。
商品がなくても場所を空けておくのだから効率が悪くなる、と理屈で押さえておけば取り違えません。
棚卸は、実際の在庫(数量など)と在庫台帳の内容とを照合する作業です。帳簿上の数と現物の数が合っているかを確かめる、在庫管理の基本になる作業です。
| 倉庫が手狭で、スペース効率を上げたい | フリーロケーション |
| システム投資が難しく、人手中心で回している | 固定ロケーション |
フリーロケーションはシステムが前提という点が、導入の分かれ目になります。在庫管理システムとハンディターミナルがなければ、どこに何があるか分からなくなってしまうからです。
店単位にピッキングする方式です。
届け先を1つ決めて、その注文ぶんだけを棚から集めて回る進め方です。品目が多くて1件あたりの数は少なく(商品品目数>オーダー数)、届け先の数が多いときに向きます。
作業者が倉庫内を移動して集荷する場合は、移動距離が長くなるという短所があります。なお、作業者は移動せず、商品が自動的に搬出されるシステムもあります。
「摘み取り」という名前は、A店の注文書を持って棚を回り、必要な商品を摘み取っていく様子から来ています。
| トータルピッキング | シングルピッキング | |
|---|---|---|
| 別名 | 種まき方式 | 摘み取り方式 |
| 進め方 | 総数をピッキングしてから店別に仕分ける | 店別に集荷して回る |
| 適する注文 | 少品種多量(商品品目数<オーダー数) | 多品種少量(商品品目数>オーダー数) |
| 長所 | 作業動線を短縮できる | 仕分け作業が不要 |
| 短所 | 仕分け作業に熟練度を要する | 移動距離が長くなる |
「品目数」と「オーダー数」のどちらが多いかで選ぶ、というのが判断基準です。
デジタル表示器の指示に従って、摘み取り方式で商品をピッキング(picking)するシステムです。
棚にライトと数字表示器を取り付け、「この棚から3個」と点滅で指示します。作業者は光った棚から表示された数だけ取ればよいので、リストを読み間違える心配がありません。
デジタル表示器の指示に従って、種まき方式で商品を仕分ける(assort)システムです。
こちらは仕分け先の箱の側に表示器がついています。手元の商品を、「仙台校行きに6個、渋谷校行きに1個」というように、光った箱へ表示された数だけ投入していきます。
| DPS | DAS | |
|---|---|---|
| 正式名称 | Digital Picking System | Digital Assort System |
| 対応する方式 | 摘み取り方式(シングルピッキング) | 種まき方式(トータルピッキング) |
| 表示器がつくのは | 商品の棚 | 仕分け先の箱 |
| 作業 | 光った棚から取る | 光った箱に入れる |
Picking と Assortという英語がそのまま働きを表しています。取り出すのがDPS、仕分けるのがDAS。ここを取り違えないようにしましょう。
なお、デジタルピッキングは「適切な商品を適切な数だけコンテナ等に自動的に投入し梱包する装置」ではありません。棚にライトを取り付け、作業者はライトの点滅指示により必要数量をピッキングする仕組みです。あくまで人が取るのであって、機械が自動で投入するわけではない、という点が問われます。
具体例
同じ物流センターで、扱う商品によってピッキング方式を使い分けている例を見てみましょう。
ケース1:チェーン店50店舗へ、定番の飲料10品目を配送
商品品目数は10、オーダー数(店舗数)は50。品目数<オーダー数なのでトータルピッキング(種まき方式)が向きます。
もしシングルピッキングでやると、同じ棚を50回訪れることになってしまいます。トータルなら、飲料Aの棚に1回行って500本まとめて取り、あとで各店の箱に配っていくだけで済みます。
ケース2:専門店3店舗へ、季節商品300品目を配送
商品品目数は300、オーダー数(店舗数)は3。品目数>オーダー数なのでシングルピッキング(摘み取り方式)が向きます。
トータルでやると、300品目をまとめて取ってから3店に仕分ける作業が発生しますが、そもそも各店が1〜2個ずつしか頼んでいないので、まとめる意味がありません。A店の注文書を持って棚を回り、必要な分だけ摘み取るほうが速く終わります。
ケース1にDASを導入すると、飲料Aを500本持って仕分けエリアに行き、光った箱に表示された数を投入していくだけになります。「A店は12本、B店は8本…」というリストを読む必要がなく、仕分けミスが激減します。
ケース2にDPSを導入すると、A店の作業を開始した瞬間に、必要な棚のライトが一斉に点灯します。作業者は光っている棚を順に回り、表示された数を取るだけ。300品目のリストを目で追う必要がなくなり、探す時間もミスも減ります。
どちらも、作業者が「考える」「探す」「読む」時間をなくすという点で共通しています。動作経済の原則でいえば、「さがす」「選ぶ」という動素を排除しているわけです。

ピッキングの2方式とDPS・DAS(1)

ピッキングの2方式とDPS・DAS(2)
試験のポイント
| カゴ車積み | 積み降ろしは早いが、積載効率は悪くなる |
| ベタ積み | 荷物を直接積む。積載効率はよいが積み降ろしに手間がかかる |
カゴ車そのものが場所を取るため、同じトラックに積める商品の量は減ってしまいます。作業時間と積載効率のトレードオフです。
SCMラベル は、企業間の物流を軽くするために定められた納品ラベルです。EDI(電子データ交換)とバーコードの仕組みをつなぎ合わせ、検品を簡単に済ませる ことをねらっています。
貼る先は納品用のオリコン(折りたたみコンテナ)など。そこに 何が入っているかの明細 と 統一伝票の伝票番号 を載せておくことで、ふたを開けずに中身を確かめられる ようになります。
ASN は、荷物を送り出す前に、届け先へ電子データで送っておく出荷の案内(出荷明細) です。何がいくつ向かっているかが先に分かるので、受け入れ側の検品を大幅に省き、時間を縮められます。
箱に貼られたSCMラベルを読んで中身のデータを取り出し、先に届いているASNの明細と照らし合わせる。これが一致すれば、中身を数える必要はありません。受領の検品そのものが要らなくなり、費用が落ちて流れも速くなります。
ここが要です。
1. ASNで「これから何が何個届く」というデータが先に届く
2. 荷物が到着したら、箱に貼られたSCMラベルのバーコードを読む
3. 両者が一致すれば、箱を開けずに検品完了
従来は、箱を開けて1つずつ数えて伝票と照合していました。この作業が、バーコードを1回読むだけで済むようになります。これが「ノー検品」と呼ばれる状態です。
| SCMラベル | ASN | |
|---|---|---|
| 正式名称 | Shipping Carton Marking | Advanced Shipping Notice |
| 形 | 箱に貼る物理的なラベル | 電子データ |
| タイミング | 荷物と一緒に届く | 荷物より先に届く |
| 働き | 箱を開けずに内容物を確認できる | 仕入検品業務を省力化する |
ASNは「事前」出荷明細。荷物より先に届くところが名前の由来(Advanced)です。
具体例
物流センターの運営に関する記述として、正しいものを選ぶ問題を考えてみましょう。
ア ABC分析は、ASNに基づいて在庫管理の重点を決めるのに用いる
誤りです。ASN(事前出荷明細)は、送り先に対して商品を出荷する前に電子データで伝達する出荷案内データのことです。ABC分析は在庫金額や取扱量の大きい順に品目を区分する手法であって、ASNに基づくものではありません。
イ 固定ロケーション管理は、フリーロケーション管理に比べて商品の保管効率が高い
誤りです。固定ロケーション管理のほうが、フリーロケーション管理より商品の保管効率が低い。商品がなくても場所をキープするためです。
ウ 棚卸は、実際の在庫(数量など)と在庫台帳の内容とを照合する作業である
これが正解です。
エ 摘み取り方式ピッキングは、商品ごとの注文総数を一括してピッキングする作業である
誤りです。商品ごとの注文数量を一括してピッキングする方式は種まき方式です。摘み取り方式は店舗や注文先別に集荷して回る方式です。
オ デジタルピッキングは、適切な商品を適切な数だけコンテナ等に自動的に投入し梱包する装置である
誤りです。デジタルピッキングは、棚にライトを取り付け、作業者はライトの点滅指示により必要数量をピッキングする仕組みです。
あるスーパーの物流センターが、店舗へ商品を届ける場面です。
従来のやり方
1. トラックが店に到着
2. 店員が段ボールを開ける
3. 中身を1つずつ数える
4. 納品伝票と照合する
5. 差異があれば電話で問い合わせる
1店舗あたり30分〜1時間かかっていました。開店前の忙しい時間にこの作業が入るのは、店にとって大きな負担です。
SCMラベルとASNを導入した後
1. 前夜のうちに、センターから店へASN(出荷明細データ)が送られる
2. トラックが店に到着
3. 店員が段ボールのSCMラベルをハンディターミナルで読む
4. ASNのデータと一致すれば、その場で受領完了
箱を一度も開けません。1店舗あたりの作業時間は5分程度に縮みました。
この「ノー検品」は、次の節で学ぶ一括物流の重要な要素にもなっています。

流通加工・出荷とSCMラベル・ASN(1)

流通加工・出荷とSCMラベル・ASN(2)
試験のポイント
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