第3章 物流・輸配送管理
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プレミアムで見るトラック、鉄道、船舶、航空。どれを選ぶかは、速さ・量・距離・コストの組み合わせで決まります。そしていま、この選び方そのものが変わりつつあります。人手不足と環境問題を背景に、トラックから鉄道や海運へ移すモーダルシフトが政策として推し進められているからです。計算で問われるトラックの生産性指標もここで押さえましょう。
簡単にいうと
何社かの荷物を混ぜて運ぶか、1社で貸し切るか。そして、そのトラックがどれだけ効率よく働けているかを測る3つの率。この率は計算問題として出ます。
貨物の輸送手段は、大きく 自動車(トラック)・鉄道・船舶・航空 の4つです。ここではそのうち、国内輸送の中心を担うトラックを掘り下げます。
1台のトラックに複数の荷主の荷物を混ぜて積み、運ぶ やり方です。
まず拠点へ各社の荷物を集め、行き先の方面ごとに仕分けてから積み込み、拠点どうしを結んで運びます。1社だけでは1台を満たせない 小口の荷物に向いた方法 で、路線便 とも呼ばれます。
1台を丸ごと借り切り、1社の荷物だけを運ぶ やり方です。
途中で他の荷物を拾わず出発地から目的地へ直行するため、出発と到着の時刻を指定できます。
運転席とエンジンのある頭の部分(トラクタ)と、荷物を積む後ろの部分(トレーラ)を 切り離せる 大型トラックです。
普通のトラックなら、積んできた荷物を全部おろすまで次の仕事にかかれません。ところがこの方式なら、荷物を積んだままのトレーラを置いて、別のトレーラをつなぐだけ で次へ動けます。
運転手が荷降ろしを待つ時間をなくせるため、手待ち時間の削減
具体例
1台のトラックの1日を追いかけて、3つの生産性指標を計算してみましょう。
その日の記録
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 運行可能時間 | 10時間 |
| 実際に稼働した時間(走行・荷役・手待ち) | 8時間 |
| 総走行距離 | 200km |
| うち貨物を積んで走った距離 | 120km |
| 最大積載量 | 4トン |
| 実際に積んだ量 | 3トン |
実働率

トラック輸送の形態と生産性指標
試験のポイント
簡単にいうと
トラックから鉄道や船へ。CO₂を減らし、運転手不足にも効く。ただし積み替えの手間と時間がかかるので、どんな荷物にも向くわけではありません。
コンテナ輸送 は、荷物を コンテナという容器に収めたまま運ぶ やり方です。トラックと鉄道が受け持ちを分け合い、出発地から目的地まで 中の荷物に手を触れずに 送り届けます。
肝心なのは 積み替えるのはコンテナごと だという点です。鉄道からトラックへ移すときも、持ち上げるのは箱そのもので、中身は収まったまま動きません。だから荷傷みが起きにくく、積み替えにかかる時間も短くて済みます。
鉄道コンテナには、用途に応じた種類があります。内側に湿気がこもらないよう 通風装置を備えたもの、低温を保てる 保冷機能を持つもの など、運ぶ品物に合わせて選べるようになっています。
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| 形態 | 荷主 | 向く荷物 | 別名 |
|---|---|---|---|
| 特別積合せ運送 | 複数(混載) | 小口の荷物 | 路線便 |
| 貸切便 | 単一 | まとまった量。時刻を指定したいもの | - |
| トラクタ&トレーラ | - | 大量。積み替えを速くしたいもの | - |
トラック運送の効率を上げようとするとき、よく使われる物差しが3つあります。どれも「遊んでいないか」を見ている のですが、見ている対象が違います。
運行できた時間のうち、走行・荷役・手待ちなど 実際に動いていた時間の割合 です。
車庫に止まったままの時間が長ければ、この値は下がります。分母は「時間」 です。
走った距離のうち、荷物を積んで走った距離の割合 です。
行きは荷物を積み、帰りは空というなら、この値はちょうど50%になります。分母は「距離」 です。
積める最大の量に対して、実際に積んだ量の割合 です。
荷台に隙間が多ければ、走っていてもこの値は上がりません。分母は「量」 です。
| 指標 | 分子 | 分母 | 何を見ているか | 物差し |
|---|---|---|---|---|
| 実働率 | 稼働時間 | 運行可能時間 | トラックが遊んでいないか | 時間 |
| 実車率 | 実車距離 | 総走行距離 | 空で走っていないか | 距離 |
| 積載率 | 積載量 | 最大積載量 | 荷台がすいていないか | 量 |
時間・距離・量 が1つずつ割り当たっている、という形で覚えると取り違えません。
標準貨物自動車運送約款 は、トラック事業者が荷主と運送契約を結ぶときの ひな形 です。
目的は2つあります。荷主の正当な利益を守ること、そして トラック事業者が運賃や料金をきちんと受け取れるようにすること。取引の基本となる事項が定められています。
平成29年には、運送そのものの対価である「運賃」 と、運送以外の役務の対価である「料金」 を分けて適正に受け取れる環境を整える観点から、見直しが行われました。
令和6年改正の要点 は次の2つです。
| 改正の中身 | |
|---|---|
| ① 運送以外のサービスの明確化 | 貨物を運ぶ業務と、それ以外の業務(積込み、取卸しなど)を区別した。契約に無い運送以外の業務を引き受けたときは、その対価を受け取れることが明記された |
| ② 書面の交付 | 荷送人は「運送申込書」を、引き受けるトラック事業者は「運送引受書」を、互いに交付する ことが規定された。運賃・料金・附帯業務などを書面に残す |
どちらも、ただ働きになりがちだった付帯作業に、きちんと値段を付ける という方向でそろっています。
実車率
積載率
どこに改善余地があるか
最も低いのは実車率の60%です。200km走ったうち80kmは空荷で走っていることになります。
打つ手としては、帰り便に別の荷物を積む(求貨求車システムの活用、共同輸配送)、巡回集荷(ミルクラン)で経路上の複数拠点を回るといった方法が考えられます。
積載率75%も改善余地があります。荷物の積み付け方を工夫する、同方面の他社の荷物と混載する(特別積合せ運送)といった手があります。
3つの指標を掛け合わせると
0.8 × 0.6 × 0.75 = 0.36。このトラックは、能力の36%しか活かせていない計算になります。
1つの指標だけを見ていると気づきませんが、3つとも掛け算で効いてくるため、それぞれを少しずつ上げるだけで全体は大きく改善します。たとえば3つとも10ポイントずつ上げれば、0.9 × 0.7 × 0.85 = 0.54 となり、実質的な輸送能力は1.5倍になります。
「roll-on roll-off」は「転がして載せ、転がして降ろす」という意味です。車輪が付いたまま自走で乗り込むイメージです。
ガントリークレーンなどで、コンテナを吊り上げて荷役する方式のコンテナ船です。
「lift-on lift-off」は「吊り上げて載せ、吊り上げて降ろす」。こちらはクレーンが必要です。
| RORO船 | LOLO船 | |
|---|---|---|
| 意味 | roll-on roll-off | lift-on lift-off |
| 積み方 | トラック・トレーラごと自走で乗り入れる | コンテナをクレーンで吊り上げる |
| 専用クレーン | 不要 | 必要 |
| フェリーとの違い | 旅客を輸送するフェリーとは区別される | - |
RORO船はクレーン不要。ここが最も問われる点です。
モーダルシフトとは、幹線貨物輸送をトラックから大量輸送機関である鉄道または海運へ転換し、トラックとの複合一貫輸送を推進することをいいます。
モーダルシフトのメリットは長距離の一括大量輸送による効率化であり、モーダルシフトを推進するねらいは、
1. CO₂の排出量抑制
2. エネルギー消費効率の向上
3. 道路混雑問題の解消
などがあげられます。
ただし、モーダルシフトを推進するためには、それだけの貨物量の確保や、トラックへの積み替えなどが必要となります。また、輸送期間が長期化する場合もあります。
この但し書きが試験で狙われます。「モーダルシフトによりリードタイムが短縮される」という記述は誤りで、むしろ長期化することがあるのが実態です。
モーダルシフトの環境効果は、数字ではっきり表れます。2023年度の貨物輸送における、輸送量当たりのCO₂排出量は次のとおりです。
| 輸送機関 | g-CO₂/トンキロ |
|---|---|
| 自家用貨物車 | 1,147 |
| 営業用貨物車 | 207 |
| 船舶 | 42 |
| 鉄道 | 19 |
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 営業用貨物車 | トラック運送事業者が保有し、他者の貨物を有償で輸送する緑地のナンバープレートのトラック |
| 自家用貨物車 | 自社の貨物を輸送する白地のナンバープレートのトラック |
鉄道は自家用貨物車の60分の1しかCO₂を出しません。船舶でも27分の1です。
注目したいのは、自家用貨物車と営業用貨物車の差です。同じトラックでも5倍以上の開きがあります。自家用は自社の荷物しか運ばないので空荷で走ることが多く、積載率も実車率も低くなるためです。
つまり、鉄道や船に移す前に、まず営業用トラックに切り替えるだけでも大きな削減になるということです。
具体例
東京〜大阪間(約500km)で、家電製品を月に200トン輸送している会社が、モーダルシフトを検討する場面を考えてみましょう。
現状:10トントラックで20往復
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所要時間 | 約8時間(ドア・ツー・ドア) |
| 運転手 | 20人日ぶん必要 |
| CO₂ | 200トン × 500km × 207g = 約20.7トン |
モーダルシフト後:鉄道コンテナ輸送
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 経路 | 工場→(トラック)→貨物駅→(鉄道)→貨物駅→(トラック)→納品先 |
| 所要時間 | 約20時間(積み替えと列車の待ち時間を含む) |
| 運転手 | 集配部分のみなので大幅に削減 |
| CO₂ | 大部分の区間が19g/トンキロになるため、約9割減 |
得られるもの
失うもの・必要になるもの
向く荷物・向かない荷物
| 荷物の性質 | 向くか |
|---|---|
| 長距離・大量・定期的 | 向く |
| 納期に余裕がある | 向く |
| 短距離・小口・不定期 | 向かない |
| 翌朝までに届ける必要がある | 向かない |
| 生鮮品で鮮度が命 | 向かない(保冷コンテナなら可能な場合も) |
家電製品のように、まとまった量が定期的に長距離を移動し、数時間の遅れが問題にならない荷物がモーダルシフトの本命になります。
「環境に良いから全部鉄道に」とはいかず、荷物の性質に応じて使い分けることが現実的な答えになります。

4つの輸送手段の比較とモーダルシフト
試験のポイント
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