第3章 物流・輸配送管理
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「JITシステム」の動画を再生します。
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プレミアムで見る物流は「運ぶこと」だけではありません。保管し、荷役し、包装し、加工し、在庫を管理し、受発注を処理する。この一連の働きがそろって初めて、つくったものが売り場まで届きます。そしてこの節でもう一つ大事なのが、物流にはあちこちに引っぱり合いがあるということです。サービスを上げればコストが上がる。この構図が見えていると、物流の問題はぐっと解きやすくなります。
簡単にいうと
物流の役目は、生産と消費のあいだにあるすき間を埋めることです。つくる場所と使う場所が違う、つくる時期と使う時期が違う。このずれを埋めるために、7つの働きがあります。
物流とは、材料を仕入れるところから使う人の手に渡るところまで、モノの流れとそれを動かす情報の流れを、見合う費用で成り立たせる営みです。運ぶことと在庫を持つことの両方を含みます。
果たしている役目は、つくる側と使う側のあいだのずれを埋めること。その役目は、次の7つに分けて整理されます。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| ① 輸配送 | 物流のメインとなる活動 |
| ② 保管 | 一定期間商品を保管、備蓄する機能 |
| ③ 荷役(にやく) | 荷物の積卸し、運搬、ピッキング、仕分けなど一連の作業 |
| ④ 包装 | 運ぶあいだ・置いておくあいだに中身が傷まないようにくるむ作業 |
| ⑤ 流通加工 | 値札貼りや詰め合わせなど、売り手や買い手の求めに合わせて手を加える作業 |
具体例
スーパーマーケットに並ぶカット野菜が、畑から店頭に届くまでを追ってみましょう。7つの機能がどこで顔を出すかが見えてきます。
| 場面 | 働いている機能 |
|---|---|
| 店から「レタスのサラダを200パック」と注文が入る | 受発注処理 |
| 産地の畑から加工工場までレタスを運ぶ | 輸配送 |
| 到着したレタスを冷蔵庫に入れて翌朝まで置く | 保管 |
| トラックから荷を下ろし、加工ラインまで運ぶ | 荷役 |
| 洗浄・カットし、容器に盛りつける | 流通加工 |
| フィルムで包み、段ボールに詰める | 包装 |

物流の5大機能と包装の分類
試験のポイント
簡単にいうと
物流を良くしようとすると、必ずどこかが悪くなります。サービスを上げればコストが上がり、コストを下げればサービスが落ちる。この引っぱり合いをどこで折り合わせるかが、物流システムの設計です。
物流においては、次のようなトレードオフの関係が存在します。顧客サービスを高めることは、企業経営上大切ですが、物流コストとバランスよく調整するための物流システムの構築が大きな課題となります。
多頻度小口配送など顧客サービスを向上させるために配送頻度を増やすと、それだけ配送コストが増加します。
1日1回まとめて配送すれば効率がよいのですが、店頭の鮮度や在庫スペースを考えると、1日3回に分けたほうが顧客にはありがたい。しかし配送回数が3倍になれば、トラックも運転手も3倍必要になります。
店で並べる手間を減らそうとして、センター側で売場の並び順どおりに分けてから積むようにすると、そのぶんセンターの仕分けと積込みに費用がかかります。
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| ⑥ 在庫管理 | 持ち過ぎず、しかし切らさない。そのちょうどよい水準を保つ働き |
| ⑦ 受発注処理および物流情報処理 | 注文の受け渡しと、それに伴う情報の処理 |
荷役は「にやく」と読みます。読み方もあわせて押さえておきましょう。
物流の存在理由は、生産する側と消費する側のあいだにいくつものずれがあることにあります。
| ギャップ | 内容 | 埋める機能 |
|---|---|---|
| 場所のギャップ | 工場と店舗が離れている | 輸配送 |
| 時間のギャップ | つくる時期と使う時期が違う | 保管、在庫管理 |
| 数量のギャップ | 大量に生産し、少量ずつ消費する | 荷役(仕分け) |
| 品質のギャップ | そのままでは売り場に出せない | 包装、流通加工 |
| 情報のギャップ | 誰が何をいくつ欲しいか分からない | 受発注処理、物流情報処理 |
7つの機能を丸暗記するより、どのギャップを埋めるための働きかで整理しておくと忘れにくくなります。
混同しやすいのがこの2つです。
仕分けは荷役、値札貼りは流通加工。この線引きが問われることがあります。
| 店別に仕分けてトラックに積む |
| 荷役 |
| 物流センターの在庫が切れないよう発注量を調整する | 在庫管理 |
| 店まで配送する | 輸配送 |
ひとつの商品が届くまでに、7つの機能がこれだけ何度も出てきます。そして、そのどれか1つでも止まれば、商品は店頭に並びません。
「物流=トラック」と考えていると、工場や物流センターの中で起きている荷役や流通加工が見えなくなります。2次試験の事例問題でも、倉庫の中の作業に問題が潜んでいるというケースは少なくありません。
在庫を持つ費用と管理の手間を切り詰めようとして在庫を薄くすると、品切れで売り逃がす場面が増えます。
発注コストと仕入単価を下げるために発注頻度を低くし、大量仕入を行うと、在庫量が増大し、在庫維持コストと死蔵在庫ロスのリスクが増加します。
| 良くなるもの | 悪くなるもの | |
|---|---|---|
| 配送頻度を増やす | 顧客サービス | 配送コスト |
| センターで細かく仕分ける | 店頭作業効率 | 仕分け・積込み費用 |
| 在庫を減らす | 在庫コスト | 品切れによる機会損失 |
| まとめて発注する | 発注コスト・仕入単価 | 在庫維持コスト・死蔵在庫ロス |
どれも「どちらかを取れば、どちらかを失う」という同じ形をしています。
大切なのは、どちらか一方だけを見て判断しないことです。「配送コストが高いから配送回数を減らそう」と決める前に、それによって店頭の欠品が増えないか、鮮度が落ちないかを見なければなりません。
物流の改善とは、片方を犠牲にせずに両方を良くする方法を探すことでもあります。共同配送や一括物流といった手法は、まさにそれをねらったものです。
具体例
コンビニエンスストアのチェーンが、配送体制を見直す場面を考えてみましょう。
現状 弁当・おにぎりを1日3便(朝・昼・夜)配送。配送コストは高いが、各時間帯に合った商品を並べられ、廃棄も抑えられています。
提案 配送を1日1便にすれば、配送コストは3分の1近くまで下がります。
しかし何が起きるか
配送コストという1つの数字だけを見れば改善ですが、鮮度・在庫スペース・機会損失・廃棄ロスという4つが悪化します。トータルでは損になる可能性が高い、という判断になります。
片方を犠牲にしない工夫を探します。
トレードオフは「どちらを選ぶか」の問題に見えますが、そもそもの前提を変えれば、両方取れることがある。これが物流改善の面白いところです。

物流における4つのトレードオフ(1)

物流における4つのトレードオフ(2)
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
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