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作業測定

第3章 作業の管理

作業測定は、IEの2本柱のもうひとつで、作業の効率を評価し標準時間を設定するための手法体系です。ここではワークサンプリング、標準時間の構成、ストップウォッチ法、レイティング、余裕率などを学びます。

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ワークサンプリング(瞬間観測法)

簡単にいうと

簡単にいうと、ワークサンプリングは「ランダムな時刻に作業者や機械が何をしているかを瞬間的に観察し、統計的に稼働状況を把握する」方法です。手間が少なく大勢を一度に分析できます。

ワークサンプリング(瞬間観測法)は、瞬間的に作業者や機械が「何をしているか」を観察・記録・集計し、そのデータに基づいて作業や事象の発生割合を統計的に分析する手法です。繰り返し作業に適しています。

主な目的は3つです。

1. 生産を阻害する要因を把握して作業改善に役立てること

2. 人や機械の稼働率を調査し、非稼働要因を発見して改善すること

3. 標準時間を設定するための余裕率を求めること

メリット:①一人の観測者で多数の分析が可能で低コスト、②データの整理が容易、③ランダムな観測なので観測を意識されにくくデータの信頼性が高い

デメリット:①深い分析には不向き、②サンプル数が少ないと誤差が大きくなる

ワークサンプリングでは作業を以下のように分類します。

作業:準備段取作業(ロットや1日ごとの準備)、主作業(直接生産に寄与)、付随作業(主作業に付随して発生)

余裕:管理余裕(作業余裕:不規則に発生する調整等、職場余裕:作業指導等)、人的余裕(疲労余裕:疲労回復、用達余裕:トイレ等の生理的欲求)

具体例

工場でワークサンプリングを100回実施した結果、主作業65回・付随作業15回・手待ち10回・余裕10回でした。稼働率は80%(主作業+付随作業)、手待ちが10%発生していることが判明し、前工程との同期化改善に着手しました。

手法
ワークサンプリング
連続観測法
観測方法
瞬間的にランダムに観測
継続的に観測
適した作業
繰り返し作業
非繰り返し・長サイクル作業
メリット
低コスト、多数を同時分析可能
きめ細かい問題点の抽出
デメリット
深い分析には不向き
コスト高、作業者が意識する

試験のポイント

  • ワークサンプリングの3つの目的(阻害要因把握・稼働率調査・余裕率算出)を覚えましょう
  • 作業分類(準備段取・主作業・付随作業・管理余裕・人的余裕)は頻出です
  • 連続観測法との違い(瞬間 vs 継続、繰り返し作業 vs 非繰り返し作業)も出題されます
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標準時間とストップウォッチ法

簡単にいうと

簡単にいうと、標準時間は「標準的な能力の作業者が、決められた方法で、普通のペースで作業したときにかかる時間」です。ストップウォッチで測って計算します。

標準時間とは、「その仕事に適性をもち習熟した作業者が、所定の作業条件の下で、必要な余裕をもち、正常な作業ペースによって仕事を遂行するのに必要と認められる時間」です。

標準時間は以下のように構成されます。

標準時間=正味時間+余裕時間標準時間 = 正味時間 + 余裕時間

正味時間は、主体作業および準備段取作業を遂行するために直接必要な時間です(JIS Z 8141-5503)。

余裕時間は、不規則・偶発的に発生する遅れの時間で、管理余裕と人的余裕から成ります(JIS Z 8141-5504)。

ストップウォッチ法による標準時間の設定手順は3ステップです。

1. 作業を要素作業に分解し、ストップウォッチで作業時間を測定する(=観測時間

2. 観測時間にレイティング処理を行い個人差を修正する(=正味時間

3. 正味時間にワークサンプリングで求めた余裕率を加える(=標準時間

具体例

ある組立作業をストップウォッチで10回測定し、平均観測時間が50秒でした。この作業者は標準より20%速いためレイティング係数は120です。正味時間=50×120/100=60秒。余裕率が15%なら、標準時間=60×(1+0.15)=69秒です。

試験のポイント

  • 標準時間=正味時間+余裕時間の構成を覚えましょう
  • ストップウォッチ法の3ステップ(観測→レイティング→余裕付加)は頻出です
  • 正味時間=観測時間×レイティング係数/100の公式を正確に覚えましょう
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レイティングと余裕率

簡単にいうと

簡単にいうと、レイティングは「観測した作業者の速さが標準ペースと比べてどうか」を補正する作業です。速い人は係数を大きく、遅い人は小さくして、標準的な時間に直します。

レイティングとは、観測で得られた時間を、正常な作業者が正常な速度で行うのに要する時間に修正することです。

正味時間=観測時間の代表値×レイティング係数100正味時間 = 観測時間の代表値 \times \frac{レイティング係数}{100}

レイティング係数100が「正常なペース」を表します。正常なペースの基準は「平坦な道を時速約5kmで歩く速さ」「トランプ52枚を30秒で約30cm四方の4隅に配り終える手の動き」などです。

観測した作業者が正常ペースより25%速い場合:レイティング係数=125 → 正味時間は観測時間×1.25(速い人の短い観測時間を正常値に伸ばす)

観測した作業者が正常ペースより20%遅い場合:レイティング係数=80 → 正味時間は観測時間×0.80(遅い人の長い観測時間を正常値に縮める)

余裕率は、正味時間に対する余裕時間の比率です。余裕率の求め方にはワークサンプリング法が用いられます。

標準時間=正味時間×(1+余裕率)標準時間 = 正味時間 \times (1 + 余裕率)

または、外掛け法として稼働時間中の余裕割合から算出する方法もあります。

具体例

作業者Aの観測時間40秒(正常より25%速い:レイティング係数125)の場合、正味時間=40×1.25=50秒。作業者Bの観測時間60秒(正常より20%遅い:レイティング係数80)の場合、正味時間=60×0.80=48秒。どちらもほぼ同じ正味時間になり、個人差が補正されていることが分かります。

試験のポイント

  • レイティング係数100=正常ペース、125=正常より25%速い、80=正常より20%遅いという対応を理解しましょう
  • 速い作業者の観測時間は短いので係数を掛けて「伸ばす」、遅い作業者は「縮める」という直感的理解が大切です
  • 標準時間=正味時間×(1+余裕率)の計算式は計算問題として頻出です
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PTS法(既定時間標準法)

簡単にいうと

簡単にいうと、PTS法は「実際に作業を測らなくても、あらかじめ決められた動作ごとの時間値テーブルから標準時間を組み立てられる」方法です。レイティングも不要で客観的な時間設定ができます。

PTS法(Predetermined Time Standard System:既定時間標準法)は、人が行う作業を基本動作に分解し、あらかじめ設定された動作と時間値のテーブルから標準時間を合成する手法です(JIS Z 8141-5205)。

PTS法の主な特徴:

  • 実際の作業を測定する必要がない(作業の実施前でも時間設定が可能)
  • レイティングが不要(テーブルの時間値が標準ペースに基づいている)
  • 個人差に左右されない公平で客観的な時間設定が可能
  • 作業方法の比較検討に活用できる

代表的なPTS法:

手法正式名称概要
WF法Work Factor法身体部位・距離・重量・動作困難度の4要素で時間を決定
MTM法Methods-Time Measurement法伸ばす・つかむ・運ぶ等の基本動作ごとに時間値を設定

PTS法では、作業を動作レベルまで細かく分解してテーブルから時間値を読み取り、それらを合計して標準時間を算出します。

具体例

新製品の組立ラインを設計する際、まだ実際の作業が存在しないためストップウォッチ法は使えません。PTS法(MTM法)を用いて、部品を「手を伸ばす→つかむ→運ぶ→位置決めする→放す」と分解し、各動作のテーブル値を合計して標準時間を事前に算出しました。

項目
ストップウォッチ法
PTS法
実測の要否
必要(実際に作業を観測)
不要(テーブルから合成)
レイティング
必要(観測者が判断)
不要(テーブルが標準ペース)
適用時期
作業の実施後
作業の実施前でも可能
客観性
観測者の技量に依存
客観的・公平

試験のポイント

  • PTS法は実作業の測定が不要でレイティングも不要という2大特徴を覚えましょう
  • 代表例としてWF法(Work Factor法)とMTM法(Methods-Time Measurement法)の名称を押さえましょう
  • ストップウォッチ法との違い(実測が必要か否か、レイティングが必要か否か)を整理しましょう
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その他の標準時間設定方法と余裕率の計算方式

簡単にいうと

簡単にいうと、ストップウォッチ法やPTS法以外にも、過去のデータや経験者の判断で標準時間を決める方法があります。また、余裕率の計算には「内掛け」と「外掛け」の2つの方式があり、計算結果が変わるので注意が必要です。

標準時間の設定にはストップウォッチ法やPTS法以外にも以下の方法があります。

実績資料法:過去に蓄積された実績データ(生産日報等)に基づいて標準時間を設定する方法です。データの精度が結果を左右します。

経験見積り法:熟練者や管理者の経験と勘に基づいて見積もる方法です。手軽ですが精度は最も低くなります。

標準時間資料法:過去に設定した要素作業ごとの標準時間をデータベース化し、新しい作業の標準時間をそこから合成する方法です。

余裕率の2つの計算方式

余裕率の算出には内掛け法外掛け法の2方式があります。

外掛け法:

余裕率=余裕時間正味時間余裕率 = \frac{余裕時間}{正味時間}

標準時間=正味時間×(1+余裕率)標準時間 = 正味時間 \times (1 + 余裕率)

内掛け法:

余裕率=余裕時間正味時間+余裕時間=余裕時間標準時間余裕率 = \frac{余裕時間}{正味時間 + 余裕時間} = \frac{余裕時間}{標準時間}

標準時間=正味時間×11余裕率標準時間 = 正味時間 \times \frac{1}{1 - 余裕率}

外掛け法は正味時間を基準に余裕を「外から加える」計算、内掛け法は標準時間を基準に余裕を「内側に含める」計算です。同じ余裕時間でも方式によって余裕率の数値が異なるため注意が必要です。

具体例

正味時間100秒、余裕時間20秒の場合を考えます。外掛け法では余裕率=20/100=20%、標準時間=100×(1+0.20)=120秒。内掛け法では余裕率=20/(100+20)=16.7%、標準時間=100×1/(1-0.167)=120秒。どちらも標準時間は120秒で同じですが、余裕率の値は異なります。

方式
計算式
特徴
外掛け法
余裕率=余裕時間/正味時間
正味時間を基準にする方式。標準時間=正味時間×(1+余裕率)
内掛け法
余裕率=余裕時間/(正味時間+余裕時間)
標準時間を基準にする方式。標準時間=正味時間×1/(1-余裕率)

試験のポイント

  • 外掛け法と内掛け法の計算式の違いを正確に覚えましょう
  • 実績資料法・経験見積り法・標準時間資料法それぞれの特徴を押さえましょう
  • 計算問題では「内掛け」「外掛け」どちらの方式かを確認してから解きましょう

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
ワークサンプリング
瞬間観測で稼働率・余裕率を把握します
作業分類(主作業・付随作業・余裕等)を正確に覚えましょう
標準時間
正味時間+余裕時間で構成されます
ストップウォッチ法の3ステップが基本です
レイティング
観測時間を正常ペースに補正します
係数100が正常、速い→大きい、遅い→小さいです
余裕率
正味時間に対する余裕時間の比率です
標準時間=正味時間×(1+余裕率)の計算が頻出です
PTS法
テーブルから標準時間を合成、実測・レイティング不要です
WF法とMTM法が代表的な手法です
余裕率の計算方式
外掛け法と内掛け法で余裕率の数値が異なります
計算問題では方式の確認が必須です

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