第1章 店舗・商業集積
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プレミアムで見る大型店を出すとき、周りの住民が困らないように配慮しなさい。大店立地法が求めているのは、突きつめればそれだけです。商売の中身には口を出さず、駐車場・騒音・ごみといった生活環境だけを見る。この割り切りが、旧法との決定的な違いです。対象となる店舗面積の数字と、店舗面積に含まれる部分・含まれない部分が、そのまま問われる定番の論点になります。
簡単にいうと
対象は店舗面積1,000㎡超の小売業。飲食店は入らないのに、生協や農協は入る。この線引きのクセを、理由とセットで押さえておきましょう。
目的を定めた条文は長いのですが、骨は一本です。
大規模小売店舗を設置する者に、その施設の配置および運営方法について適正な配慮 をさせる。それによって 周辺地域の生活環境を保持する。結果として小売業が健全に発展し、国民経済・地域社会の健全な発展と国民生活の向上につながる ── という組み立てです。
読み取るべきは2点です。配慮させる中身は 施設の配置と運営方法、守る先は 周辺地域の生活環境。商売のやり方は、どこにも出てきません。
大店法(旧法)と大店立地法(新法)を、目的・対象・調整項目の3点で並べます。
| 大店法(旧法) | 大店立地法(新法) | |
|---|---|---|
| 目的 | 中小小売業の事業機会の確保、消費者利益の保護 | 周辺地域の生活環境の保持 |
| 対象店舗 | 店舗面積 500㎡超 |
具体例
ある郊外に、次のような店舗の出店計画があったとします。
| 区画 | 面積 | 店舗面積に算入されるか |
|---|---|---|
| 売場 | 900㎡ | 算入される |
| ショーウインドウ | 30㎡ | 算入される |
| 店内案内所 | 20㎡ | 算入される(サービス施設) |
| 時計修理の受付カウンター | 15㎡ | 算入される(顧客から引受けの用に直接供する部分) |

大店立地法の対象と手続き
試験のポイント
簡単にいうと
大店立地法が設置者に求めるのは「調べて、説明して、誠意をもって応え、きちんと実行し、開店後も面倒を見る」という一連の流れです。許可制ではないので、最後に効くのは勧告と公表になります。
大店立地法第4条を受けて、経済産業大臣は 「大規模小売店舗を設置する者が配慮すべき事項に関する指針」 を定めることになっています。その指針に、設置者が配慮すべき基本的な事項が置かれています。
| 配慮すべき基本的な事項 | |
|---|---|
| ① | 周辺地域についての 調査 など |
| ② | 住民への適切な |
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| 店舗面積 1,000㎡超 の小売業を営む店舗 |
| 調整項目 | 店舗面積、開店日、閉店時刻、休業日数 | 交通渋滞、駐車・駐輪、騒音、廃棄物など 地域の生活環境に関する項目 |
覚えどころは2組の対比です。面積は500㎡から1,000㎡へ、関心は商業調整から生活環境へ。数字と考え方をセットで押さえてください。
対象の線引きには、直感に反するところが3つあります。
1. 飲食店は入らない
2. 物品加工修理業は入る(洋服のイージーオーダー、ワイシャツの委託加工など)
3. 営利目的かどうかは問わないので、生協や農協も入る
飲食店が外れるのは、この法律が対象としているのが「小売業」だからです。食事を出す行為は物を売る行為とは別に扱われます。
一方で生協・農協が入るのは、法律が見ているのが 営利かどうかではなく、周辺の暮らしへの影響 だからです。大きな店ができれば、営利であろうとなかろうと車は集まり、音も出て、ごみも出ます。誰がやっているかではなく、何が起きるかで判断している わけです。
対象になるのは、建物内の 店舗面積の合計が1,000㎡を超える 店舗です。ここでいう店舗面積とは、店舗の用に供される床面積 を指します。
まず押さえたいのが、数えるのは敷地面積ではなく店舗面積 だという点です。駐車場をどれだけ広く取っていても、店舗面積が1,000㎡以下なら対象になりません。
| 具体的に何が当たるか | |
|---|---|
| 数に入る | 売場/ショーウインドウ/ショールーム/サービス施設(手荷物一時預り所、店内案内所など)/部品の加工修理場のうち、顧客からの引受け・引渡しに直接使う部分 |
| 数に入らない | 階段/エスカレーター/エレベーター/売場間通路・連絡通路/文化催物場(展覧会場など)/休憩室/公衆電話室/便所/外商事務室/事務所・荷扱い所/食堂/屋上 など |
見分け方は 「客が商品と向き合う場所かどうか」 です。売場やショーウインドウは向き合う場所なので入り、通路・階段・トイレ・事務所は通るだけ・裏方なので入りません。催物場や食堂が外れるのも、そこで小売をしているわけではないからです。
| 180㎡ |
| 算入されない |
| エスカレーター | 40㎡ | 算入されない |
| 休憩室・トイレ | 60㎡ | 算入されない |
| バックヤードの事務所 | 80㎡ | 算入されない |
| 屋上駐車場 | 500㎡ | 算入されない |
算入される合計は 900 + 30 + 20 + 15 = 965㎡。建物全体では1,800㎡を超えますが、店舗面積は1,000㎡以下なので大店立地法の対象外です。
「建物が大きいから対象だろう」と考えると外れます。数えるのは店舗の用に供される床面積だけです。
大店立地法に関する記述として正しいものを選ぶ問題では、次のような誤りが仕込まれます。
| 誤った記述 | どこが誤りか |
|---|---|
| 設置者が配慮すべき基本的な事項の1つは、地域商業の需給調整である | 需給調整は旧法(大店法)の発想。新法は生活環境の保持 |
| 適用対象とする小売業には、飲食店が含まれる | 飲食店は含まれない |
| 適用対象とする小売店舗は、敷地面積が1,000㎡を超えるものである | 正しくは店舗面積 |
| 大店立地法の施行に伴い、地域商業の活性化を図ることを目的として大店法の規制が緩和された | 目的の取り違え。新旧の目的の違いを意識する |
正しい記述としては、「都道府県は大規模小売店舗の設置者が正当な理由がなく勧告に従わない場合、その旨を公表することができる」といったものが挙げられます。
「敷地面積」と「店舗面積」のような一文字違いは、読み飛ばすと取り返しがつきません。面積の話が出てきたら、必ずどの面積なのかを確かめる癖をつけてください。
| ③ | 都道府県などからの意見への 誠意ある対応、データ等に基づく合理的な措置の選択 |
| ④ | テナントの 履行確保、責任体制の明確化など、対応策を実効あるものにすること |
| ⑤ | 開店後 における適切な対応 |
5つを並べてみると、調べる → 説明する → 応える → 実行する → 開店後も見る という時間の流れになっているのが分かります。
ここで見落とされがちなのが④と⑤です。出店するまで気をつかえばよい、という話ではありません。テナントにも守らせる責任を負い、開店してからも面倒を見続ける ことが求められています。
そして、この5つに 地域商業の需給調整は含まれていません。需給調整は旧法の発想であって、新法にはそもそもその考え方がない。前のテーマで見た「商業調整の法律ではない」が、ここでも効いてきます。
大店立地法は 届出制 です。行政が出店の可否を決める許可制ではありません。この違いが、最後の効き目にそのまま表れます。
| 順 | 誰が | 何をするか |
|---|---|---|
| ① | 設置者 | 都道府県(政令指定都市を含む)へ届け出る |
| ② | 都道府県 | 届出の内容を公告し、縦覧に供する。ここで 住民等が意見を出せる |
| ③ | 市町村 | 意見を述べる |
| ④ | 都道府県 | 生活環境の保持 という見地から意見を述べる |
| ⑤ | 設置者 | 述べられた意見へ対応する |
| ⑥ | 都道府県 | 対応がなされないとき 勧告 を出せる |
| ⑦ | 都道府県 | 正当な理由なく勧告に従わないとき その旨を公表 できる |
届出制なので、都道府県が出店そのものを止めることはできません。打てる手は勧告まで、それでも従わなければ公表まで。そこで打ち止めです。
言い換えれば、この法律が頼りにしているのは 世間に知られることの重み だということになります。「都道府県は出店を不許可にできる」といった選択肢は、この一点で誤りと分かります。
具体例
郊外に店舗面積8,000㎡のショッピングセンターを出す計画を立てたとしましょう。設置者が実際にやることを並べてみます。
① 周辺地域の調査
開店後にどれだけ車が来るかを予測し、周辺道路の交通量を実測します。近隣の住宅がどこにあるか、騒音がどのくらい届くかも調べます。
② 住民への説明
説明会を開き、駐車場の出入口をどこに設けるか、何台分用意するか、荷さばきは何時から行うかを示します。
③ 都道府県の意見への対応
「駐車場の出入口が通学路に面しており危険」という意見が出たとします。設置者は交通量のデータを示しながら、出入口を反対側に移す、誘導員を配置するといったデータに基づく合理的な措置を選びます。
④ テナントの履行確保
決めたことを守るのは設置者だけではありません。深夜に荷下ろしをしない、店内放送の音量を抑えるといった約束をテナントにも守らせる責任体制を作ります。
⑤ 開店後の対応
開店してから「予想より渋滞がひどい」となれば、誘導員を増やすなどの手を打ちます。届け出て開店したら終わり、ではありません。
仮に設置者がこれらに応じず、都道府県の勧告にも正当な理由なく従わなかった場合、都道府県はその旨を公表できます。罰則で止めるのではなく、世間に知らせることで是正を促すしくみです。

設置者が配慮すべき事項と手続き(1)

設置者が配慮すべき事項と手続き(2)
試験のポイント
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