第1章 店舗・商業集積
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「JITシステム」の動画を再生します。
この節の解説動画はプレミアム限定です。プレミアムなら全科目・全節が見放題!
プレミアムで見る駅前のシャッター通りと、郊外の大型ショッピングモール。この対比は、ここ数十年の日本の地方都市で繰り返されてきた風景です。まちづくり三法は、その流れに歯止めをかけようとしてつくられた3つの法律の総称です。3つそれぞれが何を規制する法律なのか、そしてなぜ一度改正されたのか。この背景をつかんでおくと、次の節から出てくる細かい規定が「なぜそうなっているのか」で頭に入ります。
簡単にいうと
3つの法律には、それぞれ別の役目があります。出店のときの周辺環境を見るのが大店立地法、中心市街地にお金を回すのが中活法、そもそもどこに建ててよいかを決めるのが都市計画法です。
車で買い物に行くのが当たり前になると、店は広い土地の取れる郊外へ出ていきます。モータリゼーション が進んだ高度経済成長期以降、商業施設だけでなく公共公益施設までもが郊外へ移り、駅前など中心市街地が空いていきました。地方都市ほど、この傾向は強く出ます。
この流れを抑えるために平成10年から平成12年にかけて整えられた3つの法律が、まとめて まちづくり三法 と呼ばれます。
3つは同じ方向を向いていますが、受け持つ場面が違います。
| 法律 | 施行・改正 | 受け持つ場面 |
|---|---|---|
| 大規模小売店舗立地法(大店立地法) | 平成12年6月施行 | 大型店を出すときに、施設の配置や運営方法を 生活環境の保全 という観点から調整する |
| 中心市街地活性化法(中活法) | 平成10年7月施行/平成18年6月に大幅改正/平成26年7月にも改正 | 市町村等が中心市街地の活性化にかかわる施策をまとめて実施できるよう、制度を体系化する |
具体例
架空の地方都市で、40年間に何が起きたかを追ってみましょう。
1980年代 駅前商店街に120店舗。市民の買い物はほぼここで完結していました。
1990年代 幹線道路沿いに大型スーパーが進出。当時の大店法では店舗面積や閉店時刻が調整対象で、地元商店街の反対を受けて売場面積が縮小されるといった調整が行われていました。つまり法律が中小小売業の事業機会を守っていたわけです。
2000年代 大店法が廃止され大店立地法へ。調整の対象が「商業活動」から「交通渋滞や騒音」に切り替わり、出店そのものへの歯止めは弱くなりました。郊外に次々とモールが開業し、駅前の空き店舗が目立ち始めます。
2006年 都市計画法の改正で、延べ床面積1万㎡超の大規模集客施設が立地できる用途地域が3つに限定されました。郊外への無秩序な出店に、ようやく都市計画側から歯止めがかかります。
2016年以降 市は立地適正化計画を策定。駅周辺と旧役場周辺の2か所を拠点に定め、病院や商業施設をそこへ誘導し、バス路線で結ぶ方針を打ち出しました。
こうして並べると、規制の主役が「商業調整(大店法)→ 生活環境(大店立地法)→ 立地そのもの(都市計画法)→ 誘導(立地適正化計画)」と移ってきたことが見えてきます。この流れが頭に入っていれば、細かい規定の趣旨も推測がつくようになります。

まちづくり三法の全体像
試験のポイント
動画・テキスト・過去問・AI添削まですべて網羅!
予備校代の1/10以下で、独学の不安をまるごと解決できます
| 都市計画法 |
| 平成10年11月改正/平成18年5月に大幅改正 |
| 小売業を含む諸施設の 立地コントロール を強める |
ひとことで言い分けると、こうなります。
出店の場面、中心部を立て直す場面、土地の使い方を決める場面。時間の順ではなく、場面の違いで3つに分かれている と捉えると混乱しません。
大店立地法の前には、名前のよく似た 大規模小売店舗法(大店法) がありました。ただし守ろうとしていたものは、正反対と言っていいほど違います。
| 大店法(旧法) | 大店立地法(新法) | |
|---|---|---|
| 守るもの | 周辺の 中小小売業の事業機会 | 周辺地域の 生活環境 |
| 調整すること | 店舗面積、開店日、閉店時刻、休業日数 | 交通渋滞、駐車・駐輪、騒音、廃棄物など |
旧法は「大型店が来ると地元の商店が困るから、商売のやり方そのものを制限しよう」という発想でした。これは外国から参入を妨げているとの批判を招く一因にもなり、やがて廃止されます。
代わって登場した新法は、商売には口を出しません。見るのは、車が増えて渋滞しないか、うるさくならないか、ごみを処理できるかといった 暮らしへの影響だけ です。
新法は商業調整(需給調整)の法律ではない ── ここがそのまま問われます。
三法をつくったにもかかわらず、中心市街地の空洞化は止まりませんでした。
そこへ少子高齢化が急速に進みます。車を運転しない高齢者は買い物に出られなくなり、広がりきった市街地を維持するインフラの費用は膨らんでいく。放っておけない状態になりました。
そこで持ち出されたのが コンパクトシティ という考え方です。拠点を集約して市街地の規模をまとめ直し、歩いて用の足りる暮らし に寄せていこうという方向づけで、平成18年の改正はこれに沿って行われました。
改正されたのは次の2つです。
このとき大店立地法は改正されていません。 三法すべてが直されたと思い込みやすいところなので、気をつけてください。
平成28年には 都市再生特別措置法 が改正され、立地適正化計画 が制度化されました。
住まいと、医療・福祉・商業といった生活に必要な施設(都市機能増進施設)を、一定の区域へ誘い込む計画です。ねらいどころが少し動いているのが特徴で、中心的な拠点だけでなく、旧町村の役場周辺のような生活拠点も残す 設計になっています。
これを 多極ネットワーク型コンパクトシティ といいます。1か所にすべてを集めるのではなく、いくつかの拠点へ集めたうえで交通でつなぐ。地方の実情に合わせた形へ寄せたもの、と捉えておけば十分です。
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。