第2章 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
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プレミアムで見る店に入ってから出るまでのあいだに、客はどれだけ歩き、どの棚で足を止め、何をかごへ入れるのか。ISMは、この店内でのふるまいに働きかけて売上を押し上げる活動です。広告のように店の外へ資源を投じるのではなく、いまいる客にもう一品買ってもらう ことをねらいます。この節では、客単価がどんな要素に分解できるのかを押さえたうえで、フロアの組み立て方、棚の割り振り方、そして店頭での売り込み方まで順に見ていきます。
簡単にいうと
簡単にいうと、ISMは「お店に入ったお客さんに、いかにたくさん買ってもらうか」を科学的に追求する技術です。お客さんの歩く距離を伸ばし、目に触れる商品を増やすことがカギです。
ISM(インストアマーチャンダイジング) は、マーチャンダイジング部門が決めた計画と戦略を、店頭で形にしていく活動 です。
具体的には、計画された商品構成とそれに沿って選ばれた商品を、店頭に並べ、見せることで客に差し出し、効率よく売りにつなげていく一連の働きかけを指します。
売上高は、2つの要素に分解できます。
このうち 来店客数 を増やそうとすると、広告や販促といった 店の外での活動 が要ります。当然、投じる資源は大きくなります。
これに対してISMが扱うのは 店の中 です。いま来てくれている客に、もう少し買ってもらう。少ない資源で手を打てる ので、ISMの中心テーマは 客単価の増加
具体例
スーパーマーケットで入口付近に色鮮やかな青果売場(第1マグネット)を配置し、奥に精肉売場(第2マグネット)を置くことで、顧客は必然的に店内を縦断して動線が長くなり、途中の菓子や飲料を手に取る機会が増えます。

売上高の規定要因(ISM)
試験のポイント
簡単にいうと
簡単にいうと、ISM(インストアマーチャンダイジング)は店内で売上を最大化するための仕掛けの総称で、棚割や販促を科学的に管理する手法です。来店客の約9割は買う予定のないものを買っているという点がミソです。
ISMの体系は、どれくらいの時間軸で効かせるか で2つに割れます。
| 区分 | 時間軸 | ねらい |
|---|---|---|
| スペースマネジメント | 長期的 | 売場の生産性そのものを上げる |
簡単にいうと
簡単にいうと、棚のどこに何をどれだけ並べるかを科学的に決めるのがシェルフスペースマネジメントです。人の手が最も届きやすい高さ(ゴールデンゾーン)に売りたい商品を置くのが基本です。
シェルフスペースマネジメント の主題は、定番売場の棚割をどう計画し、どう改善するか にあります。常時並んでいる商品の置き場所を決める仕事です。
売場を活性化させるための棚割計画を プラノグラム と呼び、次の3段階で進めます。
| 順 | 段階 | 決めること |
|---|---|---|
| ① | グルーピング |
簡単にいうと
簡単にいうと、店内でお客さんに「買いたい!」と思わせるための販促活動がISPです。値下げで攻める方法と、POPやデモ販売で魅力を伝える方法の2系統があります。VMDは見た目で商品の価値を伝える手法です。
インストアプロモーション(ISP)は店内で展開される販売促進活動であり、価格主導型と非価格主導型に分類されます。
| 分類 | 主な手法 |
|---|---|
| 価格主導型ISP | 特売・値下げ、増量パック、FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)によるポイント還元、会員限定価格 |
| 非価格主導型ISP |
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客単価はさらに割っていけます。
つまり グレードアップ(商品単価を上げる) と 買上点数を増やす の2方向です。
そして買上個数は、もう一段分解できます。ここがISMの要になります。
| 要素 | 何を表すか |
|---|---|
| 動線長 | 客が入店してから会計までに歩く距離 |
| 立寄率 | 店内を歩く途中で、個々の売場に立ち寄る確率 |
| 買上率 | 商品を目にして、実際に買うに至る確率 |
歩いてもらい、寄ってもらい、買ってもらう。この3段を1つずつ上げることが、買上個数を増やす道筋になります。
ISMの手法は、この3つの要素のどこを押し上げるかで役割が分かれます。
| 手法 | 主に効くところ |
|---|---|
| フロアマネジメント | 動線長 と 立寄率 |
| シェルフスペースマネジメント | 立寄率 と 買上率 |
| インストアプロモーション | 立寄率 と 買上率 |
売場全体の配置をいじるのがフロアマネジメント、棚の中身を詰めるのがシェルフスペースマネジメント、という住み分けです。
ISMという考え方が生まれた背景には、ある数字があります。
買物客のうち、来店前から買うものを決めている計画購買は約1割。残る 約9割は、店内で買うものを決めている非計画購買 だというのです。
9割が店内で決まるのなら、打つべき手は店内にある。これがISMの出発点です。
非計画購買は、さらに4つに分かれます。
| 類型 | どういう買い方か |
|---|---|
| 想起購買 | 家の在庫が切れていたことを、店頭の商品やPOPを見て思い出して買う |
| 関連購買 | すでにかごに入れた商品との関わりから、店内で必要性に気づいて買う |
| 条件購買 | 明確な意図は無かったが、値引きなどの条件に刺激されて買う |
| 衝動購買 | 商品の目新しさや勢いで買う |
4つのうち 想起購買と関連購買は、客の側にもともと必要性がある ものです。店はそれを思い出させるだけでよい。一方 条件購買と衝動購買は、店がきっかけそのものを作り出しています。
どちらをねらうかで、打つ手は変わります。
| 短期的 |
| いま売上を立てる |
売場の骨格を組み替えるのがスペースマネジメント、その上で日々仕掛けるのがインストアプロモーションです。
ISMの中心に置かれる考え方 です。売場スペースを最大限に使い切り、客単価を上げることで売場生産性を高める 手法を指します。
対象とする範囲で、さらに2つに分かれます。
| 見ている範囲 | 決めること | |
|---|---|---|
| フロアマネジメント | 売場全体のフロアレイアウト | どの売場をどこに置くか |
| シェルフスペースマネジメント | 個々の陳列スペース | 何を、どこに、どれだけ、どう並べるか |
店頭で直接売上を押し上げる仕掛けです。価格を使うかどうか で2つに分かれます。
| 区分 | 具体的な手口 |
|---|---|
| 価格主導型 | 定番商品の特別価格、増量パック販売、会員価格販売など |
| 非価格主導型 | サンプリング、デモンストレーション販売、POP、チラシなど |
価格主導型は効き目が速い反面、利幅を削ります。非価格主導型は手間がかかりますが、値段を下げずに売れる という強みがあります。
フロアマネジメントで最初に考えるのは、客にどれだけ長く歩いてもらうか です。
よく使われる定石がこれです。買うと決めてきた商品を店の奥に配置する。すると客はそれを取るために奥まで進むことになり、動線長が伸びます。
その道中で目に入る商品が、非計画購買の候補になります。
マグネット とは、磁石のように客を引きつける売場や商品 のことです。
これを 店内の突きあたり、曲がり角といった要所に置く ことで、客を奥へ、そして隅々まで回らせます。ねらいは 店内の回遊性を高める ことです。
カテゴリーの区分にこだわらず、関連する商品をあわせて並べる ことで売上を伸ばす手法です。
考え方の土台にあるのは、暮らしの場面は1つの商品では完結しない という見方です。焼き肉をするなら、肉だけでなくタレも要る。サラダを作るなら、野菜だけでなくドレッシングも要る。
特定の生活テーマに向けて、単品ではなく関連商品まで含めた品揃えと演出で売る。これがCMDです。
カテゴリー別に整然と並べる発想とは、正面からぶつかります。精肉売場に調味料を置くのは分類としては乱れていますが、客の用事に沿っている のです。
具体例
スーパーの精肉コーナー横に焼肉のタレを配置すると関連購買が促されます。また、レジ横のガムや電池は衝動購買を狙った陳列の典型例です。

ISMの体系
試験のポイント
| 商品特性の似たものをまとめて1つのグループにする |
| ② | ゾーニング | グループごとに、陳列スペースをどれだけ、どこに配分するか決める |
| ③ | フェイシング | アイテムごとのフェイス数と陳列位置を決める |
グルーピングのねらいは、客にとって 探しやすく、比べやすくする ことです。順序が逆になってはいけません。まとめてから場所を決め、場所が決まってから数を決めます。
ゾーニングで効いてくるのが高さです。客の視界に入りやすく、手に取りやすい高さの棚ほど、商品はよく売れます。この範囲を ゴールデンゾーン と呼びます。
| 対象 | ゴールデンゾーン |
|---|---|
| 男性 | 床から約70cm〜160cm |
| 女性 | 床から約60cm〜150cm |
女性のほうが10cmほど低いのは、平均身長の差によるものです。主な買物客が誰かによって、どの高さに主力商品を置くかを変える ことになります。
なお、この範囲は固定ではありません。客の身長、ゴンドラの形状、通路の幅 によって動きます。通路が狭ければ体を引いて見られないので、見える範囲はせまくなります。
同じ商品群を棚に並べるとき、方向が2通りあります。
| 並べ方 | |
|---|---|
| 縦陳列(垂直型展開、バーティカル陳列) | 同一商品や関連商品を 縦 に並べる |
| 横陳列(水平型展開、ホリゾンタル陳列) | 同一商品や関連商品を 横 に並べる |
長所はそれぞれ違います。
| 縦陳列の長所 | 横陳列の長所 |
|---|---|
| 店内を歩く客にとって、探している商品が目に留まりやすい | 同一アイテムを サイズや容量の面で比べやすい |
| 同一アイテムのうち 特に売りたい商品を、売りやすい棚段に置ける | 同一アイテム内で 機能や品質に差がある商品群 の陳列に向く |
縦陳列が有利なのは、歩いている客の視線が 横に流れる からです。縦に並べておけば、歩くうちにそのグループが必ず視界を横切ります。横に並べると、通り過ぎてしまえば二度と目に入りません。
フェイス は商品の顔、すなわち客から見える面のことです。フェイス数 は、その面がいくつ並んでいるかを指します。
フェイシング とは、アイテムごとに フェイス数と陳列位置を決めること です。
重点商品のフェイス数は多くするのが好ましい とされます。見た目の量が増えれば客の目に触れる確率が上がり、売れる量も増えるからです。
ただし、ここに落とし穴があります。フェイス数を2倍、3倍にしても、販売数量は2倍、3倍にはなりません。伸びは次第に鈍っていきます。
これを フェイス効果逓減の法則 と呼びます。
棚は有限なので、1つのアイテムにフェイスを割きすぎれば、別のアイテムを削ることになります。どこまで増やせば割に合うか ── その見極めがフェイシングの肝になります。
具体例
パスタとパスタソースを隣接配置するのがクロスマーチャンダイジングの代表例です。プラノグラムでは、パスタを縦1列に配置し、隣の縦列にソース類を並べることで、いずれもゴールデンゾーンに入るよう調整します。

シェルフスペースマネジメントとゴールデンゾーン
試験のポイント
| チラシ、POP広告、サンプリング(試供品配布)、デモンストレーション販売(実演販売) |
価格主導型ISPは需要の価格弾力性が高いカテゴリーに絞って実施するのが効果的です。価格弾力性が低い商品で値下げしても需要の伸びは限定的であり、粗利を毀損するだけに終わります。
内的参照価格とは、消費者が過去の購買経験や情報収集に基づいて心の中に形成している「この商品はこのくらいの値段が妥当だ」という基準価格のことです。特売が頻繁すぎると内的参照価格が下がり、通常価格での販売が困難になるリスクがあります。
VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)は、視覚的な演出を通じて商品の価値を効果的に伝達する手法で、以下の3要素で構成されます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| VP(ビジュアルプレゼンテーション) | 店舗全体のコンセプトやブランドイメージを視覚的に表現(ショーウィンドウ等) |
| PP(ポイントオブセールスプレゼンテーション) | 売場内の各コーナーで注目を集めるディスプレイ(棚上部やエンド等) |
| IP(アイテムプレゼンテーション) | 個々の商品を手に取りやすく整理して陳列(棚の中の商品配置) |
具体例
アパレルショップでは、ショーウィンドウのコーディネート展示がVP、店内の柱横に設置されたおすすめコーデがPP、ハンガーラックに整然と並んだ商品群がIPにそれぞれ該当します。

インストアプロモーション(ISP)とVMD(1)

インストアプロモーション(ISP)とVMD(2)
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
決済はStripe(世界最高水準・PCI-DSS準拠)で安全に処理されます。カード情報は当サービスに保存されません。