製品開発・製品設計
第2章 生産の管理
製品開発・製品設計は、顧客ニーズに応える製品を企画し、効率的に製造できるように設計する活動です。ここではプロダクトライフサイクル、マーケットイン・プロダクトアウト、CAD/CAM/CAE、コンカレントエンジニアリングなどの概念を学びます。
プロダクトライフサイクル
簡単にいうと
製品には寿命があるよ。市場に登場してから姿を消すまで、「導入期→成長期→成熟期→衰退期」っていう4つのステージを通るの。それぞれの段階で売上や利益のパターンが変わるから、段階に合った戦略が大切なんだ。
製品が市場に投入されてから撤退するまでの過程を段階的にとらえる概念です(JIS Z 8141-3104参照)。
市場寿命(マーケットライフサイクル)
製品の売上・利益の推移に着目した寿命で、以下の4段階に分かれます。
| 段階 | 特徴 |
|---|---|
| 導入期 | 市場に製品を投入した直後。認知度が低く売上は小さい。広告宣伝費がかさみ利益はマイナスになりやすい |
| 成長期 | 市場に受け入れられ売上が急速に伸びる。競合も参入し始める。利益が出始める段階 |
| 成熟期 | 売上の伸びが鈍化しピークを迎える。競争が激化し価格競争になりやすい |
| 衰退期 | 売上・利益ともに減少。代替製品の登場や市場ニーズの変化が原因。撤退判断が必要になる |
物理寿命(エンジニアリングライフサイクル)
エンジニアリングの観点では、製品の物理的な一生を指します。
ここでの寿命は市場での売れ行きではなく、製品そのものが企画されてから最終的に廃棄・再資源化されるまでの全工程を意味します。近年は環境配慮の観点から3R(Reduce・Reuse・Recycle)まで含めて考えることが重視されています。
試験のポイント
- ・4段階(導入期・成長期・成熟期・衰退期)の特徴と順序は頻出テーマ
- ・市場寿命と物理寿命の違いを問う出題がある — 市場寿命は売上推移、物理寿命は製品の物理的な一生
- ・各段階で適切な戦略(導入期は認知向上、成熟期は差別化など)を選ばせる問題にも注意
製品開発と製品設計
簡単にいうと
簡単にいうと、「お客様が求める製品を考え出す」のが製品開発、「それを実際に作れるように図面にする」のが製品設計です。設計の初期段階でしっかり作り込む「フロントローディング」が重要です。
製品開発とは、顧客ニーズの変化や技術向上、環境対応などを動機として新たな製品を企画し、その製品化を図る活動です(JIS Z 8141-3101)。
製品設計には機能設計と生産設計があります。機能設計は製品の性能を発揮するために必要な機能と構造を求める活動です。生産設計は機能設計の内容について、生産の容易性・経済性を考慮して設計する活動です。
デザインレビューは、設計のできばえを多角的に評価・確認する方法で、実際の使用時に起こりうる問題点の評価を行います。
フロントローディングは、設計初期の段階で集中的に労力・資源を投入し、後工程で発生しそうな仕様変更の負荷を前倒しすることで、品質向上や製造期間の短縮を図る活動です。
マーケットインは「市場の要望に適合する製品を生産者が企画・製造・販売する考え方」(JIS Z 8141-3102)で、顧客ニーズを起点にします。対してプロダクトアウトは企業側の都合を優先して企画・生産・販売する考え方です。
具体例
スマートフォンの開発では、まずユーザー調査で「バッテリー持ちの向上」というニーズを把握し(マーケットイン)、CAEシミュレーションで設計段階からバッテリー配置を最適化し(フロントローディング)、関係者が集まってデザインレビューを実施して問題を早期発見しています。
試験のポイント
- ・機能設計と生産設計の違い(機能か、生産容易性か)を押さえましょう
- ・フロントローディングは「設計初期に集中投入」がキーワードです
- ・マーケットイン(顧客ニーズ起点)とプロダクトアウト(企業都合起点)の違いは頻出です
CAD/CAM/CAEとコンカレントエンジニアリング
簡単にいうと
簡単にいうと、CADは「コンピュータで設計する」、CAMは「コンピュータで製造計画を立てる」、CAEは「コンピュータでシミュレーションする」ことです。これらを連携させて同時並行で開発を進めるのがコンカレントエンジニアリングです。
CAD(Computer-Aided Design)は、製品の形状やデータからなるモデルをコンピュータ内部に作成し、解析・処理して設計を進めるシステムです。3次元CADにより実物体に近い立体での検討が可能になり、顧客要望をより考慮しやすくなります。
CAM(Computer-Aided Manufacturing)は、コンピュータ内のモデルに基づいて生産に必要な情報を生成し、工程設計・作業設計・スケジューリングを支援するシステムです。CADのデータを直接活用できるCAD/CAMの概念が確立されています。
CAE(Computer-Aided Engineering)は、製品の安定性・強度・干渉・品質・性能などをコンピュータによる数値解析やシミュレーションで検討するシステムです。試作品を実際に作らなくても事前評価ができるため、開発費用の削減と開発期間の短縮が図れます。
PDM(Product Data Management)は、CADなどで作成した設計情報と開発プロセスを一元管理するシステムです。PDMの導入によりコンカレントエンジニアリング(CE)が実現します。
CE(コンカレントエンジニアリング)とは、製品設計・製造・販売などの統合化・同時進行化を行うための方法です(JIS Z 8141-3113)。各部門が電子化されたデータを共有しながら協調して開発を進めることで、リードタイムの短縮や製造コストの削減を実現します。
具体例
自動車メーカーでは、CADで車体を設計しながら、同時にCAEで衝突安全性のシミュレーションを行い、CAMで生産ラインの工程設計を進めています。PDMで全データを一元管理し、設計変更があれば即座に全部門に伝達されるコンカレントエンジニアリングを実践しています。
試験のポイント
- ・CAD(設計)・CAM(製造支援)・CAE(解析・シミュレーション)の役割を区別しましょう
- ・PDMは「設計情報の一元管理」→CEの実現基盤です
- ・コンカレントエンジニアリング=各部門の同時進行による開発で、リードタイム短縮が効果です
まとめ
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