第2章 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
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プレミアムで見る同じ商品でも、どう並べるかで売れ方は変わります。毎日補充して定番を売り続けるための並べ方と、テーマを決めて魅せるための並べ方。この2つの大枠を押さえたうえで、エンド、ジャンブル、フックといった個別の手法を、「何が得意な手法か」とセットで覚えていきましょう。
簡単にいうと
定番を効率よく売るのが補充型、テーマを決めて魅せるのが展示型。そして個別の手法は、どれも「手間」と「効果」の組み合わせで性格が決まっています。
陳列のやり方は数多くありますが、何のために並べているか で2つに割れます。売り続けるために並べるのか、見せるために並べるのか。前者が 補充型陳列(オープンストック)、後者が 展示型陳列(ショーディスプレイ) です。
よく使われ、よく減り、よく買われる ── そうした 定番商品を切らさずに並べ続ける ための陳列です。派手さより、補充のしやすさと売り続けられることを優先します。
客の側から見れば、求めるのは 見やすいこと、選びやすいこと、手に取りやすいこと の3点です。この3つを満たす並べ方になっているかが、良し悪しの分かれ目になります。
実際に並べるときは、次の3つを守ります。
| 守ること | ねらい | |
|---|---|---|
| ① | 前進立体陳列 にする | 棚の前面をそろえて、商品が豊富に見えるようにする |
| ② | 安定感のある陳列 をする | 崩れや転倒を防ぎ、手を伸ばしやすくする |
| ③ | 最上段の高さをそろえる | 視線の高さに乱れが出ないようにする |
前進立体陳列とは、商品が減ってきたら奥の商品を手前に引き出し、棚の前面にそろえて積み上げる並べ方です。奥のほうに商品が残っているのに手前が空いていると、売場が貧相に見え、手も伸びにくくなります。この「前出し」を怠らないことが、補充型陳列のいちばんの基本です。
こちらは テーマを先に立てる 陳列です。決めたテーマに沿って商品を選び、全体の形や見え方まで作り込んでいきます。
舞台になるのは店頭のショーウィンドウなどです。流行の商品を、その時季に合った切り口で見せることで、店そのものの印象を引き上げる ことをねらいます。売ること自体より、店の格を伝えるほうに重心があります。
| 補充型陳列 | 展示型陳列 | |
|---|---|---|
| 別名 | オープンストック | ショーディスプレイ |
| 対象 | 購買頻度の高い定番商品 | 流行商品など |
| ねらい | 効率的な補充と継続的な販売 | 店舗全体のイメージ向上 |
スーパーマーケットなどではゴンドラのいちばん端(エンド)、衣料品店ではハンガーの端の場所での陳列手法です。通常、特売品や目玉商品などをボリューム感いっぱいに陳列します。
エンドの前は通路の合流点にあたり、店内を歩く客の多くがここを通ります。人を引き寄せる力があることから マグネット とも呼ばれ、買うつもりのなかった商品が売れる 非計画購買 を生み出します。
別名を 投げ込み陳列 といい、スーパーマーケットでよく見かけます。かごやワゴンに放り込むだけなので 並べる手間がかからず、場所を移すのも簡単。特売品に向いた やり方です。
ただし裏を返せば、雑に扱ってよい商品にしか使えません。高額な商品を投げ込めば、商品そのものが安く見えてしまいます。
かごやワゴンに無造作に放り込むことで、「安い」「お買い得」という印象を与えます。整然と並べてしまうと、かえって安く見えません。
棚に 定番商品を中心に並べ、多くの品目を見てもらうための陳列です。
利点は管理のしやすさにあります。フェイスがそろうので在庫数を目で数えやすく、棚に収まっているぶん 商品が崩れたり傷んだりしにくい。
弱点は裏返しです。
| 手法 | 見せ方 |
|---|---|
| フェイスアウト陳列 | 商品の正面を見せる陳列方法 |
| スリーブアウト陳列 | 商品の側面(袖)を見せる陳列手法 |
スリーブ(sleeve)は「袖」という意味です。ハンガーに掛けた服を横向きに並べるとスリーブアウト、1着だけ正面を向けて掛けるとフェイスアウトになります。
スリーブアウトは多くの点数を並べられ、フェイスアウトはデザインがよく見えます。実際の売場では、スリーブアウトで並べたなかに1着だけフェイスアウトを混ぜる、という組み合わせがよく使われます。
具体例
陳列手法とその特徴の組み合わせを問う問題を解いてみましょう。
【陳列手法】 ① レジ前陳列 ② ジャンブル陳列 ③ フック陳列
【陳列の特徴】
正解は ①とb、②とc、③とa です。
bの「非計画購買を誘発しやすく」は、レジ前陳列のついで買いに相当します。レジに並んでいるあいだに目に入る場所なので、ガムや電池のような少額商品がよく置かれます。
aとcはフック陳列とジャンブル陳列の代表的な特徴です。aの「在庫量が把握しやすい」はフックに下がった数を数えられるフック陳列、cの「陳列が容易で、低価格のイメージ」は投げ込むだけのジャンブル陳列です。
個別の陳列手法は数が多いのですが、陳列の手間と得られる効果の2軸で並べると整理しやすくなります。
| 手法 |
|---|

商品陳列の分類と手法

フェイスとフェイシング
試験のポイント
簡単にいうと
店全体を1つの世界観で見せる。そのために、遠くから見せる部分、選ばせる部分、手に取らせる部分を役割分担させるのがVMDの考え方です。
VMD(Visual Merchandising:ヴィジュアル・マーチャンダイジング)とは、小売業の販売戦略を実践するうえで、自店のコンセプトを、視覚表現を通じて消費者に訴求する仕組みや手法のことです。
統一したコンセプトのもと、品揃えや陳列だけでなく、店内のインテリアコーディネートからカラーリング、POP広告に至るさまざまな視覚表現を行います。
なお、VMDは視覚的な訴求陳列に重点を置く手法であることから、マーチャンダイジングというよりも、陳列方法の概念に近いともいえます。
VMDは、以下の3つの基本要素で構成されます。
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棚や什器を使わず、商品が入ってきた段ボール箱を切り開いて、そのまま売場に出す やり方です。ディスカウントストアでよく見かけます。
箱から出して並べ替える手間がないので 作業が軽く済み、荷を解いたばかりという見た目が 鮮度の良さと安さ を伝えます。
フックに吊り下げて見せる やり方で、文房具のような小さくて軽い商品 に向きます。パッケージの正面がそのまま客に向くので 商品が見やすく、何個下がっているかが一目で分かるため 在庫も数えやすい のが特徴です。
フックに何個下がっているかが一目で分かるので、補充のタイミングを見落としにくくなります。
箱の形をした棚や台に区切って入れる やり方で、衣料品 などに使われます。仕切りがあるぶん、サイズや色ごとに分けて収めやすい のが利点です。
Tシャツを S・M・L の箱に分けて畳んで入れる、といった使い方です。
エンド陳列を小ぶりにして、レジの手前に置いた ものです。会計をする以上、買う客は必ずここを通ります。順番を待つあいだ自然と目が行くので、ついで買い が生まれやすくなります。
| 主な効果 |
|---|
| ジャンブル陳列 | 少ない | 安さの演出、特売品向き |
| カットケース陳列 | 少ない | フレッシュさと安さの訴求 |
| フック陳列 | 中 | 見やすさ、在庫量の把握 |
| ゴンドラ陳列 | 中(前出しが要る) | 多アイテムのアピール、在庫管理 |
| ボックス陳列 | 中 | 商品の分類 |
| エンド陳列 | 多い | マグネット効果、非計画購買 |
| 展示型陳列 | 多い | 店舗イメージの向上 |
手間の少ない手法は安さを、手間のかかる手法は価値を演出するという傾向が見て取れます。高級店がジャンブル陳列を使わないのも、ディスカウントストアがショーウィンドウに凝らないのも、この理屈です。
店の一番目立つ場所で、「この店はこういう店です」と宣言する役割です。遠くからでも目に入り、入店を促します。
特定の商品をピックアップし、特徴や機能を明示し、選択のヒントを示して客の判断を手助けする演出方法です。マネキンなどを用います。
売場の中で、「この棚にはこういう商品があります」と示す役割です。コーディネート例を見せることで、買い方の提案にもなります。
単品商品を色、柄、素材などで分類・整理し、見やすく、分かりやすく、選びやすく陳列することです。
実際に商品が並んでいる棚やハンガーラックそのものです。ここで顧客は商品を手に取り、サイズを選び、購入を決めます。
| 要素 | 場所 | 役割 | 距離感 |
|---|---|---|---|
| VP | ショーウィンドウ、メインステージ | 店のコンセプトを伝え、入店を促す | 遠い |
| PP | 売場の要所、マネキン | 商品の特徴を示し、選択を手助けする | 中間 |
| IP | 棚、ハンガーラック | 分類・整理して選びやすくする | 近い |
VP → PP → IP の順に、顧客との距離が縮まっていきます。遠くから引き寄せ、興味をもたせ、最後に手に取らせる。この流れを意識して売場をつくるのがVMDの考え方です。
3つとも同じくらい大事ですが、力を入れる場所を間違えると効きません。VPだけ凝っても、奥の棚がぐちゃぐちゃなら買ってもらえませんし、IPだけ整えても、そもそも店に入ってもらえなければ意味がないからです。
具体例
アパレル専門店のVMDを、店の外から順に見ていきましょう。
VP:ショーウィンドウ
今シーズンのテーマは「都会の週末」。ショーウィンドウには、マネキン3体にコートとニットを着せ、背景に街の写真パネルを置きました。商品の値札は見えません。ここで伝えたいのは価格ではなく世界観だからです。
通りを歩く人が「なんだかよさそうな店だ」と感じて足を止める。これがVPの仕事です。
PP:売場の要所
店に入ってすぐの棚の上に、マネキントルソーを1体置きました。そこに掛かっているのは、後ろのラックで売っているニットとスカートの組み合わせです。小さなPOPで「軽くて暖かい、今季人気の素材」と機能を示しています。
「このニットは、こう着るといいのか」と分かることで、顧客は後ろのラックへ手を伸ばしやすくなります。
IP:ラックと棚
ラックには同じニットが色別・サイズ別に並んでいます。スリーブアウト陳列で点数を確保しつつ、各色の1着目だけフェイスアウトにしてデザインが見えるようにしました。畳んで置く商品は、色のグラデーションが自然になるよう並べています。
ここで顧客は、自分のサイズと好きな色を選びます。
VPだけ立派な店 ショーウィンドウは凝っているのに、店内に入るとラックにぎっしり詰め込まれていて、どこに何があるか分からない。入店はするが、何も買わずに出ていきます。
IPだけ整っている店 商品は色別サイズ別にきれいに並んでいるが、外から見ても何の店か分からず、店内にも提案がない。目的買いの客しか入らず、ついで買いも起きません。
VMDは3つがそろって初めて機能する、という点が試験でも実務でも要になります。

VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)(1)

VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)(2)
試験のポイント
プレミアムプラン
¥9,800〜/ 買い切り・自動更新なし(税込)
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