第2章 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
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プレミアムで見る店の明るさは、ただ「見える」ためだけのものではありません。客を引き寄せ、商品をおいしそうに見せ、店の奥まで歩かせる。照明はそれ自体が売場づくりの道具です。この節では4つの単位(光束・光度・照度・輝度)と、色の見え方を左右する演色性・色温度を押さえます。単位は毎年のように問われるので、確実に区別できるようにしましょう。
簡単にいうと
光の量を表すルーメン、光の強さのカンデラ、面の明るさのルクス、見た目の輝きのスチルブ。どこを測っているのかで単位が変わります。
店舗における照明の主な役割は次のとおりです。
明るい店は外から見つけてもらいやすく、そのまま 中へ入る動機 にもなります。入ってからは、商品がきちんと見える明るさを確保できているかが問われます。
照明により店舗、商品を演出します。光源(蛍光灯、白熱灯)の違いや、照明方法によって、顧客に与えるイメージは大きく変化します。
明かりの置き方と強さを調整することで、客に店内を歩き回ってもらう ことができます。奥に明るい一角をつくる、節目ごとに光のたまり場を置く といった打ち方をします。
3つ目が、実務でとくに効いてくる役割です。人は明るいほうへ歩く習性があるので、店の奥を明るくすれば自然と奥まで進んでもらえます。手前だけ明るい店は、手前で帰られてしまいます。
ある光源が 一定の時間にどれだけの光を空間へ送り出しているか、その総量を表します。
この数字は3通りに使われます。光源が出すエネルギーの量を見当づけるとき、光源そのものの性能を比べるとき、そして輝度や照度を計算するときの出発点としてです。
電球のパッケージに「810lm」などと書かれているのがこれです。その電球が全方向に出す光の総量を表します。
| 用語 | 単位 | 測るもの | どこを見ているか |
|---|---|---|---|
| 光束 | ルーメン(lm) | 光源から放射される光の量(全光量) | 光源が出す総量 |
| 光度 | カンデラ(cd) | ある方向へ向かう光の強さ | 光源から出る向き |
| 照度 | ルクス(lx) | 光を受ける面の明るさ | 照らされる面 |
| 輝度 | スチルブ(sb) |
光源 → 方向 → 面 → 目という順に並んでいる、と覚えると混乱しません。そしてスチルブだけがSI単位系ではないという点が、細かい引っかけとして問われます。
具体例
照明に関する空欄補充の問題を解いてみましょう。
> 自然光や人工照明で照らされた場所の明るさを【A】という。JISでは、スーパーマーケットにおける店内全般の維持【A】の推奨値は【B】ルクスである。また、光で照明された物体の色の見え方を【C】という。
正解は A:照度、B:500、C:演色 です。
Aは「照らされた場所の明るさ」なので照度です。選択肢には「光度」も並びますが、光度は光源から出る光の強さであって、照らされた場所の明るさではありません。
Cは「光で照明された物体の色の見え方」なので演色です。「光色」は光そのものの色(赤っぽい、青っぽい)なので違います。
光源からの距離が2倍になると、照度は4分の1になります。
| 距離 | 照度(1mを100%としたとき) |
|---|---|
| 1m | 100% |
| 2m | 25% |

光の4つの量と演色性
試験のポイント
簡単にいうと
同じ肉でも、照明を変えると新鮮に見えたりくすんで見えたりします。その違いを決めているのが演色性と色温度。売場づくりに直結する2つの指標です。
光源には、自然光源(太陽光)と人工光源とがあります。人工光源の代表的なものは白熱灯、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)の3つです。
LEDは発光ダイオードともよばれ、電気を通すことで光る半導体のことです。LEDは、白熱灯や蛍光灯に比べて光源の寿命が長く発光効率が高いという特長をもちます。
寿命が長ければ交換の手間と費用が減り、発光効率が高ければ同じ明るさを少ない電力で得られます。店舗照明がLEDに置き換わってきた理由はここにあります。
演色性とは、ものの色の見え方を表す光源の性質を指します。
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光源から出る光のうち、特定の向きへ進む分の強さ を表します。1カンデラの定義は 1 lm/sr、つまり立体角1 sr(ステラジアン)の範囲へ1 lm(ルーメン)の光束が放たれている状態です。
光束が「全部で何個の光か」だとすれば、光度は「ある向きに何個ぶん飛んでいるか」です。同じ光束の電球でも、反射板で一方向に絞れば、その方向の光度は大きくなります。
照らされている面がどれだけ明るいか を表します。測り方は 決まった広さの面に、どれだけの光が届いているか で、単位はルクスです。
覚えておきたい性質がひとつ。光源が1つのとき、照度は光源からの距離の2乗に反比例 します。倍の距離に離せば、明るさは4分の1まで落ちるということです。
「机の上の明るさ」「売場の明るさ」というときは、この照度のことです。距離の2乗に反比例するので、天井を高くすると床面の照度は一気に落ちます。
見る側から見て、どれだけ輝いて映るか を表します。
照度が「面にどれだけ光が届いたか」を測るのに対し、輝度は 光を受けた面を、ある向きから眺めたときにどれだけ明るく映るか を測ります。同じだけ光が当たっていても、見る角度や面の性質しだいで、まぶしく見えたり落ち着いて見えたりする ── その差を捉えるのが輝度です。
ここで単位の素性に差があります。ルーメン、カンデラ、ルクスの3つは SI単位系(国際度量衡総会で採択されたもの)に属しますが、スチルブはそこに入っていません。換算は 1スチルブ = 1カンデラ/cm² です。
| 見る人の目 |
| 約11% |
| 4m | 約6% |
売場の天井が高い店で、床面の明るさを確保するのが難しいのはこのためです。天井高が3mから4mになるだけで、同じ照明器具では床面の照度がほぼ半分近くまで落ちます。
対策としては、照明器具を増やすか、商品の近くにスポットライトを配置して必要な場所だけ照度を上げるという方法がとられます。
上限は100。原則として、この数字が大きいほど、そのものが持つ色のまま見えていると考えます。
売場や教室、細かい手元仕事をする工場、色味で良し悪しを決める職場では、Ra80を下回らないことが目安になります。
演色性が低い光源の下では、赤身の肉が茶色っぽく見えたり、野菜の緑がくすんで見えたりします。生鮮食品売場で演色性が大事にされるのは、このためです。
色温度は、目に見える範囲の光がどんな色味で出ているかから逆算した温度です。光そのものが何色かを表します。
数字が小さいほど赤寄りの光、大きくなるほど青寄りの光になります。
なお、色温度には国際単位系(SI)で定義された温度の単位(ケルビン:K)を用います。
| 光源 | ケルビン数値 | 光色 | 見え方の特徴 |
|---|---|---|---|
| 快晴の北の空の自然光 | 約12,000K | 青 ↑ | 寒色系は鮮やかに、暖色系は色あせて見える |
| 平均正午の太陽光 | 約5,400K | ||
| 蛍光灯白色 | 約4,200K | ||
| 白熱球 | 約2,800K | 赤 ↓ | 暖色系は強調され、寒色系はくすんで見える |
直感と逆なので注意してください。「温度が高い=暖かい色(赤)」と思いがちですが、実際は逆で、色温度が高いほど青くなります。
鉄を熱していくと、最初は赤く光り、さらに熱すると白や青白く光る。この物理現象がもとになっているので、このイメージで覚えておくとよいでしょう。
この2つは混同しやすいので、区別を明確にしておきましょう。
| 演色性 | 色温度 | |
|---|---|---|
| 表すもの | 照らされた物の色の見え方 | 光そのものの色(光色) |
| 指標 | 平均演色評価数(Ra) | ケルビン(K) |
| 良し悪し | Raが大きいほど自然に見える | 高低に良し悪しはなく、用途で使い分ける |
演色性は「本当の色に見えるか」、色温度は「光が何色か」。この違いが試験で問われます。
具体例
スーパーマーケットの売場ごとに、照明をどう使い分けるかを見てみましょう。
| 売場 | 選ぶ照明 | 理由 |
|---|---|---|
| 精肉 | 色温度が低め(赤みの光)、Ra90以上 | 赤身が鮮やかに見え、脂身の白との対比も出る |
| 鮮魚 | 色温度が高め(青みの光)、Ra90以上 | 青魚の銀色や氷の白が冷たく鮮度感をもって見える |
| 青果 | 色温度は中間、Ra90以上 | 緑・赤・黄が偏りなく自然に見えることが大切 |
| パン・惣菜 | 色温度が低め(電球色) | こんがりとした焼き色が強調され、温かみが出る |
| 日用品・雑貨 | 色温度は中間〜高め、Ra80程度 | 明るく見やすければ十分。コストを優先できる |
共通して大事なのは演色性です。どの生鮮売場でも Ra の高い光源を使わなければ、商品が古く見えてしまい、売上に直結します。
色温度は売場によって使い分けます。肉とパンは赤み(低い色温度)、魚は青み(高い色温度)。同じ店内でも、天井の照明の色が売場ごとに違っていることに気づいたことがあるかもしれません。
売場だけでなく、店の性格によっても選び方は変わります。
同じ空間でも、照明の色温度を変えるだけで印象はがらりと変わります。設備投資を伴わずに売場の印象を変えられる手段として、照明は費用対効果の高い改善策になります。

光源・演色性・色温度(1)

光源・演色性・色温度(2)
試験のポイント
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