第1章 店舗・商業集積
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プレミアムで見るどこに店を出せば、どれだけのお客様が来てくれるのか。この問いに数式で答えようとしてきたのが商圏分析のモデルです。どのモデルも発想は共通していて、「大きいところほど強く、遠いところほど弱い」を式にしただけです。式の形を丸暗記するのではなく、何と何を比べているのかを押さえれば、試験で式が少し変えられていても対応できます。計算問題として毎年のように出る分野なので、設例を最後まで解ききりましょう。
簡単にいうと
2つの街に挟まれた町の人は、どちらへ買い物に行くのか。人口が多いほうに引かれ、遠いほうは避ける。しかも距離の効き方は2乗で効いてきます。
2つの街に挟まれた町があるとします。そこの住民は、どちらへ買い物に行くのか。
ライリーの法則 は、この問いに「人口が多いほうに引かれ、遠いほうは避ける」と答えます。2つの都市が中間の町から吸い寄せる販売額(顧客)の割合について、引く力は 人口に比例 し、距離には2乗で反比例 する、と定式化したものです。距離が倍になれば力は4分の1まで落ちる、という効き方になります。小売引力の法則 という呼び名もあります。
具体例
中間の都市CからA市とB市が販売額を吸引する割合を求めます。
| 条件 | 値 |
|---|---|
| A市の人口 | 18万人 |
| B市の人口 | 2万人 |
| A市とC市の距離 | 24km |
| B市とC市の距離 | 8km |

商圏分析の3つのモデル
試験のポイント
簡単にいうと
小都市のお金のうち、どれだけが隣の大都市に流れていくのか。それを見るのがコンバースの法則。そして、複数の店のどれに行く確率が高いかを出すのがハフモデルです。
ライリーの法則が見ていたのは「AとBのどちらへ流れるか」でした。これに対し コンバースの法則 が見るのは、自分の街に残るか、隣の大都市に吸われるか です。見ている対象が違います。
新小売引力の法則 とも呼ばれ、大都市とその近くの小都市のあいだで、購買力がどう分かれるか を算出します。小都市の購買力は、大都市へ吸引される分と、小都市に残る分の2つに割れる、という考え方に立ちます。
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| 記号 | 意味 |
|---|---|
| 都市Aに吸収される販売額の割合 | |
| 都市Bに吸収される販売額の割合 | |
| 都市Aの人口 | |
| 都市Bの人口 | |
| 中間の都市と都市Aとの距離 | |
| 中間の都市と都市Bとの距離 |
式を立てるときに迷うのは、a と b の上下 です。人口は とaが上に来ますが、距離は と b が上 になります。
ひっくり返っている理由は「反比例」にあります。人口は多いほど引きつけるので、そのまま分子。距離は遠いほど弱まるので、逆にして分子へ回す。比例はそのまま、反比例はひっくり返す と覚えておけば、迷いません。
コンバースはライリーの法則を使って、2つの都市の商圏分岐点 を求められるようにしました。これが ライリー&コンバースの法則 です。
商圏分岐点 とは、ライリーの式で となる地点を指します。AとBのどちらへ引かれる力も釣り合う、ちょうど境目にあたる場所です。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| 都市Aと商圏分岐点との距離 | |
| 都市Bと商圏分岐点との距離 | |
| 都市Aと都市Bとの距離 | |
| 都市Aの人口 | |
| 都市Bの人口 |
取り違えを防ぐ手がかり があります。求めたいのが ならルートの中の 分母 を に、 なら分母を にする。左辺の添え字と、ルートの分母の添え字をそろえる だけです。
なぜその形になるのかも、押さえておくと忘れません。人口の大きい都市ほど、分岐点は自分から遠い場所にできます(引く力が強いので、境目を相手側へ押し込める)。 を大きくするには分母を小さくすればよく、そのためには を分母に置くことになります。
よって、A市とB市が吸引する割合の比は1:1となります。
A市の人口はB市の9倍もあるのに、結果は五分五分です。距離が3倍違うと、2乗して9分の1になり、人口の9倍をちょうど打ち消してしまうからです。距離の効き方は2乗で効くという感覚が、この例でつかめます。
次の条件のときのA市とB市の2つの都市の商圏分岐点を求めます。商圏分岐点とB市の距離を算出してみましょう。
| 条件 | 値 |
|---|---|
| A市の人口 | 18万人 |
| B市の人口 | 2万人 |
| A市とB市の距離 | 32km |
求めたいのはDb(B市側)なので、ルートの分母はPbにそろえます。
答えは8kmです。
2つの計算例は同じ条件
気づいたでしょうか。この設例は、前のライリーの法則の設例と同じ条件です。A市18万人、B市2万人、A市とB市の距離は 24 + 8 = 32km。そして先ほどC市での吸引割合が1:1になった、つまりC市が商圏分岐点だったわけです。
C市はB市から8km。今回の計算でもDb=8km。ぴったり一致しました。両者の法則はまったく同じ理論であることが、これで確かめられます。
ライリーの法則を変形して と置いて解いたのがライリー&コンバースの法則だ、と理解しておけば、式を忘れても導き直せます。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| 大都市Aでの購買額(大都市に吸引される分) | |
| 小都市Bでの購買額(小都市に残る分) | |
| 大都市Aの人口 | |
| 小都市Bの人口 | |
| 大都市Aと小都市Bとの距離 | |
| 慣性因子 |
小都市側の人口だけ記号が と変わっているのは、H が Home Town を指しているためです。自分の街に残る分、という含みが記号に込められています。
慣性因子の 4 には但し書きが付きます。これはコンバースが調べた地区の平均値にすぎず、どこでも妥当とは限りません。この一文がそのまま出題されることがあるので、「4は絶対的な定数ではない」と覚えておいてください。
ライリーもコンバースも、都市と都市を比べていました。ハフモデル は視点を下げ、買い物客が個々の店舗を選ぶ確率(吸引率) を出します。
前提にしているのは、だれもが思い当たる傾向です。大きい店のほうが行きたくなる。ただし、近いほうがありがたい。 これを式にすると、ある店舗を選ぶ確率は 売場面積に比例し、距離に反比例する という形になります。
分母に候補となる店をすべて並べ、そのうち店舗Aが占める割合を出す ── つまり 取り合いの中でAが何割を取るか という形です。(ラムダ)は 距離の抵抗係数 を表します。
抵抗係数は、遠くまで出かけることをどれだけ面倒に感じるか を数値にしたものです。買う物によって、その面倒さが変わります。
| 商品の種類 | 抵抗係数 | なぜそうなるか |
|---|---|---|
| 最寄品 | 大きい | なるべく近くで済ませたい。距離が強く効く |
| 買回品 | 小さい | 良い物を求めて遠出もする。距離があまり効かない |
なお、修正ハフモデルでは抵抗係数に 2 を用います。
大小が逆に感じられて間違えやすいところなので、理屈で押さえてください。牛乳1本のために隣町へ行く人はまずいません ── 距離が強く効くので係数は 大きい。一方、スーツや家具なら、品揃えのよい店へ多少遠くても足を運びます ── 距離があまり効かないので係数は 小さい。
係数が大きい=距離に負けやすい、と読み替えると取り違えません。
具体例
小都市H(Home Town)における購買力のうち、大都市Xに吸収される割合を求めます。小都市Hの購買力を10億円とした場合、大都市Xに吸引される数値を算出してみましょう。
| 条件 | 値 |
|---|---|
| 小都市Hの人口 | 2万人 |
| 大都市Xの人口 | 18万人 |
| 小都市Hと大都市Xの距離 | 6km |
以上から、小都市Hの購買力を 4 : 1 の比で分けることになります。つまり購買力5のうち、4が大都市X、1が小都市Hに残ります。
よって、8億円の購買力が大都市Xに吸収されることになります。
ここでの落とし穴は、比が 4:1 と出たときに「10億円の4倍」や「10億円の1/4」と早とちりしてしまうことです。4:1 は「合計5のうち4」という意味なので、10億円 × 4/5 が正解になります。
ある居住地から3つの店舗までの条件が、次のようになっているとします。修正ハフモデル(抵抗係数 )で、それぞれの吸引率を求めてみましょう。
| 店舗 | 売場面積 | 距離 |
|---|---|---|
| 店舗A | 500㎡ | 1km |
| 店舗B | 1,000㎡ | 1km |
| 店舗C | 1,000㎡ | 5km |
ステップ1:店舗ごとに「売場面積 ÷ 距離²」を出す
| 店舗 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 店舗A | 500 ÷ 1² | 500 |
| 店舗B | 1,000 ÷ 1² | 1,000 |
| 店舗C | 1,000 ÷ 5² = 1,000 ÷ 25 | 40 |
| 合計 | 1,540 |
ステップ2:合計で割って吸引率を出す
| 店舗 | 吸引率 |
|---|---|
| 店舗A | 500 ÷ 1,540 ≒ 32.5% |
| 店舗B | 1,000 ÷ 1,540 ≒ 64.9% |
| 店舗C | 40 ÷ 1,540 ≒ 2.6% |
このような例では、店舗が大きく、距離の近い「店舗B」が、消費者が買い物に行く確率が最も高くなります。
店舗Cは店舗Bと同じ1,000㎡の広さがありますが、距離が5倍あるため2乗して25分の1となり、吸引率は2.6%まで落ちます。距離の不利は面積では簡単に取り返せない、というのがこのモデルの教えるところです。
| モデル | 何を求めるか | 単位 |
|---|---|---|
| ライリーの法則 | 2都市が中間都市から吸引する割合 | 都市 |
| ライリー&コンバースの法則 | 2都市の商圏分岐点の位置 | 都市 |
| コンバースの法則 | 小都市の購買力のうち大都市に流出する割合 | 都市 |
| ハフモデル | 消費者が各店舗に行く確率 | 店舗 |
前の3つは都市を単位に、ハフモデルだけは店舗を単位に見ています。この違いを押さえておくと、問題文を読んだ瞬間にどのモデルかが判別できます。

コンバースの法則とハフモデル(1)

コンバースの法則とハフモデル(2)
試験のポイント
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