第1章 店舗・商業集積
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プレミアムで見るどこに何を建ててよいかを決めているのが都市計画法です。区域を線で区切り、その中をさらに用途で分ける。この二段構えのしくみを押さえたうえで、「この用途地域には何㎡までの店が出せるか」という面積の一覧に進みます。面積の数字は細かいのですが、出題の的はだいたい決まっているので、押さえるべきところを絞って覚えていきましょう。
簡単にいうと
まず国土を、都市計画区域とそれ以外に分ける。次に都市計画区域を、市街化区域と市街化調整区域に分ける。この2段階の線引きが出発点です。
都市計画法がまずやるのは、国土に線を引くこと です。しかも一度ではなく、二段構えで引きます。
一段目 ── 都市として一体的に整備・開発・保全すべき範囲を囲う。これが 都市計画区域 で、都道府県が指定 します。自然的・社会的な条件、人口、土地の使われ方、交通量といった現状と、将来の見通しを踏まえて決めます。
二段目 ── その内側を、市街化を進める区域と抑える区域に割る。この割り方を 区域区分 といい、割った都市計画区域を 線引き都市計画区域、割らなかったものを 非線引き都市計画区域 と呼びます。
この法律の目的規定は、都市計画の内容と決定手続、都市計画制限、都市計画事業などを定めることで 都市の健全な発展と秩序ある整備 を図り、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進 に寄与する、と結ばれています。線を引くこと自体が目的ではなく、その先に秩序ある街をつくることが据えられているわけです。
都市計画法だけでは、建物は止められません。どこを規制対象にするかを決めるのが都市計画法、その区域で建物の中身を縛るのが建築基準法 という分担になっています。
都市計画法によって土地利用の規制対象となった地域では、建築基準法が建築物の仕様や建てられる用途を具体的に定めます。2つの法律は切り離せない関係にある と頭に置いておいてください。
| 用語 |
|---|
具体例
ひとつの市の地図を思い浮かべて、線を引いていきましょう。
第1段階:都市計画区域を指定する(都道府県)
市街地とその周辺を含めた一帯を、都道府県が都市計画区域に指定します。山間部など、都市として整備する必要のない地域は区域外です。
第2段階:区域区分を定める(線引き)
都市計画区域の中を、さらに2つに分けます。
この線引きをしない都市計画区域が非線引き都市計画区域です。
第3段階:用途地域を定める(市町村)
市街化区域には必ず用途地域を定めます。駅前は商業地域、その周りは近隣商業地域、住宅街は第一種低層住居専用地域、工場のある一帯は工業地域、というふうに13種類のどれかを当てていきます。
区域外への備え:準都市計画区域
都市計画区域外でも、幹線道路沿いに住宅や店が建ち始めている場所があります。放置すると将来の都市整備に支障が出るので、都道府県が準都市計画区域を指定して、最低限のルールをかけます。
白地地域

都市計画法と区域区分
試験のポイント
簡単にいうと
この地域に、何㎡までの店を出せるか。面積の数字が並ぶので身構えますが、「住居系は郊外に行くほど厳しく、商業系は自由」という筋さえつかめば、覚えるべき数字はぐっと減ります。
用途地域には、店舗・飲食店等として建てられる床面積の上限が設けられています。表の見方は、数字が㎡以内の上限、×が建築不可、◎が1万㎡超でも建築可です。
| 用途地域 | 系統 | 店舗・飲食店等 | 大規模集客施設 |
|---|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 住居系 | × |
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| 根拠 |
|---|
| 市街化区域 | すでに市街地になっている区域と、おおむね 十年以内 に優先的・計画的に市街化を図るべき区域 | 都市計画法第7条第2項 |
| 市街化調整区域 | 市街化を 抑制すべき 区域 | 都市計画法第7条第3項 |
| 都市計画区域 | 一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域。都道府県が指定 | 都市計画法第5条 |
| 準都市計画区域 | 都市計画区域の外にあって、住宅などの建築や敷地の造成が現に行われている(または見込まれる)区域。放っておくと将来の整備・開発・保全に支障が出るおそれがあると認められるもの。都道府県が指定 | 都市計画法第5条の2 |
| 白地地域 | 非線引き都市計画区域や準都市計画区域のうち、用途地域が定められていない地域(法律上の用語ではない通称) | |
| 用途地域 | 土地を合理的に使い、市街地の環境を整え、都市機能を高めるために、建築物を用途や容積で規制する地域 |
試験でねらわれるのは 誰が指定するか です。都市計画区域と準都市計画区域は、どちらも都道府県 が指定します。
市街化区域には、用途地域を必ず定めなければなりません。そして定めるのは市町村です。
ここで主語が入れ替わる点に注意してください。区域を囲うのは都道府県、その中の用途地域を割り振るのは市町村。段階が下りると、決める主体も下りていきます。
13種類は3つの系統に分かれます。
| 系統 | 数 | 用途地域 |
|---|---|---|
| 住居系 | 8 | 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域 |
| 商業系 | 2 | 近隣商業地域、商業地域 |
| 工業系 | 3 | 準工業地域、工業地域、工業専用地域 |
名前に 「専用」 が付くものほど用途が絞られ、規制がきつい。この当たりをつけておくと、次のテーマの面積制限も見当がつくようになります。
| 第二種低層住居専用地域 | 住居系 | 150 | × |
| 田園住居地域 | 住居系 | ※150 | × |
| 第一種中高層住居専用地域 | 住居系 | 500 | × |
| 第二種中高層住居専用地域 | 住居系 | 1,500 | × |
| 第一種住居地域 | 住居系 | 3,000 | × |
| 第二種住居地域 | 住居系 | 1万 | × |
| 準住居地域 | 住居系 | 1万 | × |
| 近隣商業地域 | 商業系 | ◎ | ◎ |
| 商業地域 | 商業系 | ◎ | ◎ |
| 準工業地域 | 工業系 | ◎ | ◎ |
| 工業地域 | 工業系 | 1万 | × |
| 工業専用地域 | 工業系 | × | × |
| 白地地域 | 他 | 1万 | × |
※ 田園住居地域では、500㎡以下の農家レストランや農産物直売所 など、一定の店舗・飲食店に限って建てられます。
表を丸ごと暗記する必要はありません。次の4点を押さえれば、たいていは復元できます。
| 押さえどころ | |
|---|---|
| ① | 店がまったく建てられないのは 2つだけ。第一種低層住居専用地域と工業専用地域 |
| ② | 住居系は 150 → 500 → 1,500 → 3,000 → 1万 と階段状に緩んでいく |
| ③ | 商業系と準工業地域は 上限なし |
| ④ | 大規模集客施設を建てられるのは 3つだけ。近隣商業・商業・準工業 |
①が腑に落ちれば、残りは流れで追えます。第一種低層住居専用地域は閑静な住宅街、工業専用地域は工場だけが並ぶ区域。どちらも人が買い物をしに来る場所として想定されていない ので、店が建たないのです。
延べ床面積が1万㎡を超える大規模集客施設 は、大型の小売店舗だけを指すのではありません。都市の構造に広域的な影響を及ぼす施設として、飲食店、劇場、映画館、演芸場、観覧場、遊技場、展示場、場外馬券売り場 などが幅広く含まれます。
ここは引っかけどころです。「小売店舗のことだ」と思い込んでいると、映画館や遊技場が出てきた選択肢で判断を誤ります。
そして、これらが建てられるのは 商業地域・近隣商業地域・準工業地域の3つに限られます。
この限定は、平成18年の都市計画法改正によるものです。それ以前は郊外の工業地域や第二種住居地域にも建てられました。改正によって、郊外へ行くほど規制が厳しくなる 体系へと組み替えられたわけです。前の節で見たコンパクトシティの考え方が、ここで具体的な条文になっている、と捉えてください。
具体例
用途地域と建築物に関する記述として、正しいものを選ぶ問題を解いてみましょう。なお、各記述における面積はその用途に供する部分の床面積の合計を意味します。
ア 近隣商業地域には、100㎡(1階建て)の料理店を出店することができる
誤りです。料理店は、飲食店とは異なり、商業地域と準工業地域のみ出店できます。近隣商業地域には出店できません。
「料理店」は法令上、キャバレー・ナイトクラブ・ダンスホール等と同じ扱いで、一般の飲食店より制限が厳しくなっています。「飲食店だから近隣商業地域でも大丈夫だろう」と考えると外します。
イ 工業地域には、15,000㎡の店舗を出店することができる
誤りです。工業地域の店舗・飲食店等の上限は1万㎡なので、15,000㎡は出店できません。また1万㎡を超えると大規模集客施設にあたり、商業地域・近隣商業地域・準工業地域の3つにしか建てられません。
ウ 第一種住居地域には、500㎡(2階建て)のカラオケボックスを出店することができる
誤りです。カラオケボックス等は、第二種住居地域より郊外側(第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、白地地域)でないと建てられません。第一種住居地域には出店できません。
エ 田園住居地域には、300㎡(1階建て)の農産物直売所を出店することができる
これが正解です。田園住居地域には、500㎡以下の農産物直売所、農家レストランといった農業関連の店舗、飲食店を出店することができます。
田園住居地域は、店舗・飲食店等の上限が150㎡と厳しいのですが、農業に関係する店だけは500㎡まで認められるという例外を持っています。農地と住宅が混在する地域を守るために平成30年に新設された用途地域で、「農業の利便を図りつつ低層住宅の環境を守る」という趣旨があるためです。
この例外は目立つので、そのまま出題されます。田園住居地域=500㎡以下の農家レストラン・農産物直売所はOK、と覚えてしまいましょう。

用途地域内の店舗の制限(1)

用途地域内の店舗の制限(2)
試験のポイント
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