中小企業政策の変遷と主要法律の制定年
第7章 中小企業政策の変遷
中小企業政策は約60年にわたる歴史の中で、時代の課題に応じて大きく変化してきました。高度成長期の「格差是正」から、平成の「自立支援」へ、そして2014年の「小規模企業の持続的発展」へという政策理念の転換を理解することが重要です。また、昭和20年代から現在まで順次整備されてきた主要法律の制定年は「古い順に並べる」設問として頻繁に出題されます。法律名と制定年のセットをしっかり暗記しましょう。
中小企業基本法の変遷(1963年→1999年→2014年)
簡単にいうと
「弱者を守る」から「意欲ある企業を育てる」へ——3つの転換点が示す、中小企業政策の60年の変遷とは?
中小企業政策の歴史は、3つの大きな転換点によって画されます。
【第1期:高度成長期(1963年〜)】
1963年(昭和38年)の中小企業基本法制定時、政策理念は「過小過多」「二重構造の格差解消」でした。大企業と中小企業の間に存在する生産性・賃金の著しい格差を「二重構造」と呼び、中小企業を「弱者として保護する」ことが政策の柱でした。国や地方公共団体が中小企業の経営指導・診断を行い、生産性向上と取引条件の改善を図る「パターナリズム(温情主義)」型の支援が中心でした。
【第2期:転換期(1999年〜)】
バブル崩壊後の経済環境の変化を受け、1999年(平成11年)に中小企業基本法が大改正されました。中小企業を「画一的な弱者」から「多様で活力ある主体」として再定義し、政策理念が「多様で活力ある中小企業の成長発展」へと180度転換しました。「意欲と能力のある中小企業者が自ら経営資源を確保できるよう支援する」自立支援型の政策へと変わったのです。
【第3期:小規模企業の自立(2013〜2014年〜)】
2013年(平成25年)の「小規模企業活性化法(中小企業基本法再改正)」で小規模企業への施策が初めて明文化され、翌2014年に小規模企業振興基本法が制定されました。小規模企業の「事業の持続的発展」を基本原則に据え、成長を求めない事業者も政策上正当に支援されるようになりました。
試験のポイント
- ・1963年(昭和38年)中小企業基本法制定:「過小過多」「二重構造の格差解消」が理念。国や自治体の経営指導・診断等による中小企業の経営改善が基本方針。生産性の向上と取引条件の向上を政策目標として規定
- ・1999年(平成11年)中小企業基本法の大改正:中小企業を「画一的な弱者」から「多様で活力ある主体」へ。政策理念が「二重構造の格差是正」から「多様で活力ある中小企業の成長発展」へ。3つの柱:①経営の革新及び創業の促進 ②経営基盤の強化 ③経済的社会的環境の変化への適応の円滑化
- ・2013年(平成25年)小規模企業活性化法(中小企業基本法再改正):「小規模企業に対する中小企業施策の方針」が位置づけられた
- ・2014年(平成26年)小規模企業振興基本法・小規模事業者支援法改正:基本原則を「事業の持続的発展」に。地域に根ざした商工会・商工会議所が小規模事業者の持つ力を最大限引き出し、総力を挙げて支援体制の構築を描いた
主要な法律の制定年(昭和〜令和)
簡単にいうと
「古い順に並べなさい」——主要法律の制定年の問題が頻出!まずは「1948→1949→1950年」の昭和20年代のグループから整理しよう。
中小企業に関わる主要な法律は昭和20年代から現在まで次々と整備されてきました。試験では「古い順(または新しい順)に並べなさい」という設問形式で頻繁に出題されます。
昭和20〜30年代(戦後基盤づくりの時代)には中小企業庁設置法(1948年)・協同組合法(1949年)・信用保険法(1950年)など金融・組織関連の基本的な制度が整備されました。
昭和30〜40年代(高度成長期)には、中小企業基本法(1963年)が制定され、政策の骨格が形成されました。
平成以降(自立支援・デジタル化の時代)には、中小企業支援法(2000年)・中小企業等経営強化法(2016年)など新たな経営環境への対応を促す法律が次々と制定されています。
試験のポイント
- ・昭和23年(1948年):中小企業庁設置法
- ・昭和24年(1949年):中小企業等協同組合法
- ・昭和25年(1950年):中小企業信用保険法
- ・昭和28年(1953年):商工会議所法
- ・昭和28年(1953年):信用保証協会法
- ・昭和31年(1956年):下請代金支払遅延等防止法
- ・昭和32年(1957年):中小企業団体の組織に関する法律
- ・昭和34年(1959年):中小企業退職金共済法
- ・昭和35年(1960年):商工会法
- ・昭和37年(1962年):商店街振興組合法
- ・昭和38年(1963年):中小企業基本法
- ・昭和40年(1965年):小規模企業共済法
- ・昭和45年(1970年):下請中小企業振興法
- ・昭和48年(1973年):中小小売商業振興法
- ・昭和52年(1977年):中小企業倒産防止共済法
- ・平成5年(1993年):小規模事業者支援法(小規模事業者の支援に関する法律)
- ・平成11年(1999年):中小企業基本法改正
- ・平成12年(2000年):中小企業支援法
- ・平成17年(2005年):中小企業新事業活動促進法
- ・平成22年(2010年):中小企業憲章(閣議決定)
- ・平成26年(2014年):小規模企業振興基本法・小規模基本法
- ・平成28年(2016年):中小企業等経営強化法
- ・平成29年(2017年):地域未来投資促進法
- ・令和元年(2019年):中小企業強靱化法(中小企業等経営強化法等改正)
- ・令和2年(2020年):中小企業成長促進法(中小企業等経営強化法等改正)
まとめ
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