新たな事業展開支援(地域未来投資・農商工連携・伝産法・事業再構築)
第6章 中小企業施策
グローバル化・デジタル化・人口減少という環境変化の中で、中小企業が「現状維持」ではなく「積極的な事業展開」に挑戦するための支援制度が整備されています。地域の特性を生かした投資(地域未来投資促進法)、農業と製造業・商業のコラボ(農商工連携)、伝統技術の継承(伝産法)、そして思い切った事業転換(事業再構築補助金)——それぞれの要件・計画・支援内容を整理しましょう。
地域未来投資促進法(地域経済牽引事業計画)
簡単にいうと
地域の特産品・観光資源・技術を生かして高付加価値な事業に挑む企業を国と自治体が一体的に後押しする「地域未来投資促進法」とは?
地域未来投資促進法(正式名称:地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律)は平成29年(2017年)7月31日に施行されました。地域の強み(自然・文化・産業集積・地理的優位性等)を活用して高付加価値を生み出す「地域経済牽引事業」を国と地方が連携して支援する枠組みです。
手続きの流れは、①国(主務大臣)が基本方針を策定→②市区町村・都道府県が基本計画を策定(国の同意が必要)→③事業者が地域経済牽引事業計画を策定→④都道府県知事等が承認(全国団体の広域案件は国が承認)という流れで、計画の実施期間は5年以内です。
承認を受けた事業者は、①各種補助金・予算事業での加点②地域未来投資促進税制(一定設備投資等への特別控除)③日本政策金融公庫による固定金利融資④農地転用許可等の規制特例⑤中小企業信用保険法の特例——などの支援を受けられます。
試験のポイント
- ・施行:平成29年(2017年)7月31日
- ・仕組み:①国(主務大臣)が基本方針を策定→②市区町村・都道府県が基本計画を策定(国の同意)→③事業者が地域経済牽引事業計画を策定→④都道府県知事等が承認(全国団体の広域案件は国が承認)
- ・計画の実施期間:5年以内
- ・支援措置:①各種予算事業等による加点措置 ②税制(地域未来投資促進税制:一定の要件を満たす設備投資等への特別控除の適用) ③金融(日政策金融公庫による固定金利融資) ④規制の特例措置(農地転用許可等) ⑤中小企業信用保険法の特例 ⑥地域団体商標の登録に関する特例等
農商工等連携促進法と伝統的工芸品産業振興法(伝産法)
簡単にいうと
農家と中小企業が組むことで生まれる新しい価値——農商工連携の「有機的に連携」という言葉の意味と、伝産法の5要件を押さえよう。
農商工等連携促進法は、中小企業者と農林漁業者が「有機的に連携」して行う事業活動を促進するための法律です。「有機的に連携して実施する」とは、それぞれが相手の保有していない経営資源をお互いに持ち寄り、連携事業期間を通じて両者がいずれも参画することを意味します。農家が素材を提供し、製造業者が加工・販売するケースが典型例です。農商工等連携事業計画は双方が共同で作成し、国(主務大臣)の認定を受けます。
伝統的工芸品産業振興法(伝産法)は、経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品」の生産者・産地組合への支援制度です。指定を受けるには5つの要件を満たす必要があります:①主として日常生活の用に供されるもの②製造過程の主要部分が手工業的③伝統的な技術または技法で製造④伝統的に使用されてきた原材料が主要原材料⑤一定の地域で少なくない数の者が製造または従事——です。
支援の補助率は3分の2(一部2分の1)・補助上限2,000万円で、5種類の事業計画(振興・共同振興・活性化・連携活性化・支援計画)があります。
試験のポイント
- ・農商工連携の要件:中小企業者と農林漁業者が有機的に連携して実施すること。「有機的に連携して実施する」=それぞれが相手の保有していない経営資源をお互いに持ち寄り、連携事業期間を通じて両者がいずれも参画すること
- ・農商工等連携事業計画:双方が共同で作成、国(主務大臣)の認定
- ・伝統的工芸品の5要件:①主として日常生活の用に供されるもの ②製造過程の主要部分が手工業的 ③伝統的な技術または技法で製造 ④伝統的に使用されてきた原材料が主要原材料 ⑤一定の地域で少なくない数の者が製造または従事
- ・補助率:3分の2(一部2分の1)・補助上限2,000万円
- ・5種類の事業計画:①振興計画 ②共同振興計画 ③活性化計画 ④連携活性化計画 ⑤支援計画
事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)
簡単にいうと
コロナで「今の事業のままでは生き残れない」と感じた中小企業を支援——6つの「再構築類型」の違いをしっかり整理しよう。
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響でダメージを受けた中小企業等が「思い切った事業再構築」に挑戦するための補助金です。既存事業の延長線上の改善ではなく、事業の根本的な転換を後押しすることが目的です。
申請には、6つの再構築類型のいずれかに該当する事業計画を金融機関等や認定支援機関と共同で策定することが必要です。6類型は①新市場進出(新分野展開・業態転換)②事業転換 ③業種転換 ④事業再編(会社合併・分割等)⑤国内回帰 ⑥地域サプライチェーン維持・強化——です。
「事業転換」と「業種転換」の違いは試験頻出のポイントです。「事業転換」は新製品で主たる事業(細分類)を変更するが業種は変わらない場合、「業種転換」は新製品で主たる業種(日本標準産業分類の大分類)そのものを変更する場合です。補助要件として、計画終了3〜5年後に付加価値額(または従業員1人当たり付加価値額)を一定以上増加させる計画が必要です。
試験のポイント
- ・6つの再構築類型:①新市場進出(新分野展開、業態転換) ②事業転換 ③業種転換 ④事業再編(会社合併・会社分割・株式交換等) ⑤国内回帰 ⑥地域サプライチェーン維持・強化
- ・事業転換:中小企業等が新たな製品等を製造することにより、主たる事業を変更すること(主たる業種は変わらない)
- ・業種転換:新たな製品を製造することにより、主たる業種を変更すること
- ・新市場進出(新分野展開):主たる業種・事業を変更せずに新たな製品・サービス等で新市場に進出
- ・補助率・補助上限:事業計画終了3〜5年後に付加価値額(または1人当たり付加価値額)を一定以上増加させる計画が必要
まとめ
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