第1章 中小企業概論
下の動画はこの節の解説ではありません。 解説動画の雰囲気を知っていただくための見本として、「中小企業の定義」の動画を再生します。
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プレミアムで見るここは財務・会計とつながる分野です。中小企業庁「中小企業実態基本調査」をもとに、業種ごとの収益性・効率性・安全性を並べて比較します。
ありがたいことに、出題範囲はきわめて限定的です。過去5年間で出題されているのは「売上高経常利益率」と「自己資本比率」の2指標のみ(令和元年度に付加価値比率が出たことはあります)。そして出題される業種も、長らく小売業・宿泊業/飲食サービス業・製造業の3業種に固定されており、令和6年度第3問で宿泊業・飲食サービス業の代わりに卸売業が登場したのが新しい動きです。
つまり、この4業種について「売上高経常利益率と自己資本比率が全業種平均より上か下か」を言えるようにしておけば、ほぼ足ります。表の数字を全部覚える必要はまったくありません。平均線をまたいでいるかどうか、それだけです。
簡単にいうと
表を読む前に、6つの指標が何を測っているのかを押さえよう。収益性・効率性・安全性のどれを見ている指標なのかがわかると、数字が意味を持ち始めるよ。
「中小企業実態基本調査」では、11業種について6つの指標が取り上げられています。それぞれの計算式と意味は次のとおりです。
ROE = 当期純利益 ÷ 純資産 × 100
株主が自分で出資した資本(自己資本)を使って、どれだけの利益を獲得したかを示す指標です。株主の立場から見た「投資効率」を表します。
売上高経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100
売上高に対する経常利益の割合で、財務活動も含めた企業の通常の経営活動による収益性を表します。本業のもうけ(営業利益)に受取利息・支払利息などを加減したものが経常利益なので、借入が多い企業は利息の分だけこの比率が下がります。
総資本回転率 = 売上高 ÷ 総資産(総資本)(単位は「回」)
総資本(総資産)をどの程度効率的に使って売上高を獲得しているかを表します。在庫や設備を寝かせずに回している企業ほど高くなります。
自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産(総資本) × 100
総資本に占める自己資本の割合を示す指標で、企業の安全性を測ります。この比率が低いということは、それだけ借入などの他人資本に依存しているということです。
財務レバレッジ = 総資本(総資産) ÷ 純資産(単位は「倍」)
純資産(自己資本)の何倍の大きさの総資本を事業に投下しているかを示す指標で、

中小企業の6つの経営指標
試験のポイント
簡単にいうと
覚えるのは数字じゃなくて「全業種平均より上か下か」。出るのは小売業・製造業・卸売業・宿泊飲食の4業種だけだから、そこに絞って見よう!
中小企業庁「令和5年中小企業実態基本調査(令和4年度決算実績)」による、中小企業(法人企業)の経営指標です。まず全業種と出題4業種を並べます。
| 業種 | ROE(%) | 売上高経常利益率(%) | 総資本回転率(回) | 自己資本比率(%) | 財務レバレッジ(倍) | 付加価値比率(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
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付加価値比率 = 付加価値額 ÷ 売上高 × 100
売上高に占める付加価値額の割合を示す指標で、この比率が高いほど、企業が新しく創造した価値の割合が大きいことを意味します。なおここでの付加価値額は、売上原価のうち労務費・動産不動産賃借料・減価償却費、販売費及び一般管理費のうち人件費・動産不動産賃借料・減価償却費・租税公課、営業外費用のうち支払利息・割引料、経常利益、能力開発費(従業員教育費)の合計として定義されています。
| 性格 | 指標 | 高いとどうなるか |
|---|---|---|
| 収益性 | ROE、売上高経常利益率 | もうける力が強い |
| 効率性 | 総資本回転率 | 資産を無駄なく回している |
| 安全性 | 自己資本比率 | 倒れにくい |
| 安全性(逆) | 財務レバレッジ | 他人資本への依存が大きい |
| 付加価値 | 付加価値比率 | 自社で価値を生んでいる |
自己資本比率と財務レバレッジは逆向きなので、「自己資本比率が最下位なら財務レバレッジは最上位」というチェックが効きます。
| 11.50 |
| 4.29 |
| 1.00 |
| 41.71 |
| 2.40 |
| 26.09 |
| 製造業 | 10.27 | 5.09 | 0.96 | 46.39 | 2.16 | 29.66 |
| 卸売業 | 10.14 | 2.69 | 1.70 | 42.60 | 2.35 | 10.83 |
| 小売業 | 30.09 | 2.55 | 1.68 | 35.06 | 2.85 | 19.92 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 4.11 | 1.26 | 0.96 | 16.16 | 6.19 | 45.86 |
(太字は全業種平均を上回っている項目)
| 業種 | 売上高経常利益率 | 全業種平均(4.29%)との比較 | 自己資本比率 | 全業種平均(41.71%)との比較 |
|---|---|---|---|---|
| 製造業 | 5.09% | 上回る | 46.39% | 上回る |
| 卸売業 | 2.69% | 下回る | 42.60% | 上回る |
| 小売業 | 2.55% | 下回る | 35.06% | 下回る |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 1.26% | 下回る | 16.16% | 下回る |
この4行が、この節でいちばん大事な表です。言葉にするとこうなります。
4業種に絞ったときの特徴も整理しておきます。
小売業、宿泊業・飲食サービス業、製造業について、売上高経常利益率と自己資本比率を全業種平均と比較した場合の記述として最も適切なものはどれか。(令和5年度第3問 改題)
正解は「小売業では、売上高経常利益率、自己資本比率とも全業種平均を下回っている」。
他の選択肢の誤りも確認しておきましょう。
「製造業は両方上、小売と宿泊飲食は両方下」と覚えておけば、この手の問題は即答できます。

経営指標の業種別比較(2022年度)
試験のポイント
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