第2章 中小企業白書2024年版第1部 令和5年度(2023年度)の中小企業の動向
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プレミアムで見るDXの節は、まず4つの取組段階を丸ごと覚えるところから始めてください。段階1が紙と口頭、段階2がデジタルツールの利用、段階3が業務効率化とデータ分析、段階4がビジネスモデルの変革と競争力強化。この4段階は白書2022年版で示され、2024年版でもそのまま使われています。
数字が語るのは「進んではいるが、まだ入口」という現実です。段階3の企業は2019年の9.5%から2023年には26.9%へと3倍近くに増えました。けれども段階1〜2にとどまる企業が66.2%と過半数を占め、段階4に達しているのは6.9%にすぎません。
そして期待する効果も守りに偏っています。1位は「業務効率化による負担軽減」(44.5%)。一方、「新製品・サービスの創出」(8.5%)や「既存製品・サービスの価値向上」(11.5%)を期待してDXに取り組む企業は少ない。デジタル化を使って攻めに転じる、という本来のDXの定義からは、まだ距離があります。
課題の構造もおもしろい。段階が上がるほど「費用の負担が大きい」「人材が足りない」が増え、「どのように推進すればよいか分からない」は減っていきます。進めば進むほど悩みが具体的になっていく、という自然な流れです。
簡単にいうと
4段階は丸暗記が必要。段階3は5年で3倍近くに増えたけど、段階1〜2がまだ66.2%で過半数。段階4はたった6.9%だよ。
感染症の広がり、そして先の読めなさ。この2つを受けて、企業が置かれた環境も、顧客が求めるものも大きく動きました。変化に身軽についていくには、事業そのものを作り変えるしかありません。中小企業・小規模事業者にとってもDX(デジタル・トランスフォーメーション)が避けて通れない課題になっています。
また、わが国では人口減少・少子高齢化が進んでおり、将来的に生産年齢人口の減少が見込まれるなか、人手不足の深刻化により企業活動の維持が困難となることも懸念されます。DXに取り組む意味は、人手不足をしのぐことや持続可能な社会に近づくことだけではありません。生産性が上がれば供給する力が増しますし、新しい事業を立ち上げれば需要そのものを取りにいけます。結果として会社の価値も競争力も底上げされるという見込みがあります。
中小企業白書2022年版で示された4段階が、2024年版でもそのまま使われています。
| 段階 | 状態 | 例 |
|---|---|---|
| 段階1 | 紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態 | ― |
| 段階2 | 紙と手作業の世界から、デジタルの道具を使う仕事のやり方へ移りつつある | 電子メールを使う、会計をパソコンで処理する など |
| 段階3 | デジタル化を使って仕事を効率よくし、データを分析している |

DXの4つの取組段階
試験のポイント
簡単にいうと
期待する効果の1位は「業務効率化による負担軽減」。攻めの効果を期待する企業は少ない。課題は段階が上がるほど「費用」と「人材」に集約されていくよ。
DXの取組によって期待する効果・メリットです(n=4,513・複数回答)。
| 効果・メリット | 割合 |
|---|---|
| 業務効率化による負担軽減 | 44.5% |
| 人件費等コストの削減 | 30.3% |
| 業務プロセスの改善 | 30.0% |
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| 売上・顧客・在庫といった情報をシステムで管理し、あわせて仕事の流れそのものを見直している |
| 段階4 | デジタル化を足がかりに、もうけ方そのものを変え、競争力を高めている | システムにたまったデータを使って販路を広げ、新しい商品を生み出している |
4段階の順序と内容は、そのまま並べ替え問題になります。覚え方は「紙 → ツール → 効率化・分析 → ビジネスモデル変革」。段階2と段階3の境目は「ツールを使っているだけか、データを使って業務を見直しているか」、段階3と段階4の境目は「社内の効率化にとどまるか、外に向けて売上をつくっているか」です。
帝国データバンクの調査(n=5,309)による推移です。
| 年 | 段階4 | 段階3 | 段階2 | 段階1 |
|---|---|---|---|---|
| 2019年 | ― | 9.5% | 27.5% | 61.3% |
| 2020年 | ― | 12.3% | 35.7% | 49.9% |
| 2021年 | ― | 17.5% | 37.2% | 42.5% |
| 2022年 | 4.0% | 23.7% | 36.4% | 36.0% |
| 2023年 | 6.9% | 26.9% | 35.4% | 30.8% |
読み取りどころは3つです。
① 段階3が3倍近くに増えた
段階3、つまり効率化とデータ分析まで進んだ企業は、2019年の9.5%から2023年には26.9%へ。4年で3倍近くになりました。DXに向けた取組に着手する企業は年々増えています。
② それでも段階1〜2が過半数
とはいえ全体像は違います。電子メールを使う程度の入口で止まっている企業がなお多く、2023年の時点でも段階1〜2が66.2%と、3分の2を占めているのが実情です。
③ 段階4はごくわずか
段階4に達している企業も6.9%と少ない状態です。したがってDXの進捗状況は依然として途上段階にある、というのが白書の結論になります。
「3倍に増えた」という明るい数字と「66.2%が過半数」「6.9%にすぎない」という厳しい数字が同居しています。どちらか一方だけを取り出した選択肢に引っかからないよう、3つセットで覚えてください。
DXの取組を開始した時期別に、2022年時点の付加価値額区分を見た結果です。
| 取組開始時期 | 高 | やや高 | やや低 | 低 |
|---|---|---|---|---|
| 2019年以前(n=440) | 37.3% | 25.9% | 20.5% | 16.4% |
| 2020年以降(n=323) | 32.5% | 29.1% | 17.3% | 21.1% |
DXの取組を「2019年以前」から開始している企業は、「2020年以降」に開始した企業と比べて、2022年時点の付加価値額区分が高い傾向にあります。
白書は、DXに早期から取り組むことで、業務効率化や新規ビジネス創出などを通じて、長期的には高付加価値化につながる可能性が示唆されると述べています。
この構図は、脱炭素化や海外展開とまったく同じです。GX・DX・海外展開の3つとも「2019年以前に始めた企業のほうが良い」──3つまとめて覚えてしまうのが効率的です。
| 人手不足の解消 |
| 26.4% |
| データに基づく意思決定 | 14.2% |
| 多様な働き方の実現 | 12.5% |
| 既存製品・サービスの価値向上 | 11.5% |
| ビジネスモデルの変革 | 10.7% |
| 顧客接点の強化 | 10.5% |
| 新製品・サービスの創出 | 8.5% |
中小企業・小規模事業者の多くは、DXに取り組む効果・メリットを「業務効率化による負担軽減」(44.5%)と考えています。上位4項目(業務効率化、コスト削減、業務プロセス改善、人手不足の解消)はいずれも社内の守りの効果です。
これに対して、「新製品・サービスの創出」(8.5%)や「既存製品・サービスの価値向上」(11.5%)を期待してDXに取り組む企業は少ない、というのが白書の指摘です。「ビジネスモデルの変革」も10.7%にとどまります。
ここが重要です。DXという言葉の本来の意味は「デジタル技術による変革(トランスフォーメーション)」であり、段階4の定義もまさに「ビジネスモデルの変革や競争力強化」でした。ところが現場の期待は、段階2〜3にあたる効率化に集中している。段階4に進む企業が6.9%しかいない理由は、そもそも段階4を目指していないからとも読めるわけです。
DXの取組状況別に課題を見ると、段階によって悩みが変わることが分かります。
| 課題 | 段階1<br>(n=1,366) | 段階2<br>(n=1,567) | 段階3<br>(n=1,214) | 段階4<br>(n=311) |
|---|---|---|---|---|
| 費用の負担が大きい | 16.3% | 36.9% | 42.4% | 43.1% |
| DXを推進する人材が足りない | 14.9% | 38.2% | 40.4% | 36.3% |
| 具体的な効果や成果が見えない | 9.2% | 18.8% | 15.2% | 9.0% |
| DXに取り組む時間がない | 8.1% | 17.2% | 15.7% | 9.6% |
| 経営者や従業員の意識・理解が足りない | 8.1% | 16.0% | 12.7% | 10.9% |
| どのように推進すればよいか分からない | 9.3% | 16.3% | 8.6% | 2.9% |
| どこに相談すればよいか分からない | 4.4% | 5.1% | 2.5% | 2.3% |
| 特になし | 64.9% | 25.4% | 20.4% | 29.6% |
白書の結論は、具体的なDXの取組に着手している段階2以上の企業では、「費用の負担が大きい」や「DXを推進する人材が足りない」が課題として多く挙げられているというものです。
段階別に読むと、もう少し立体的な絵が見えてきます。
① 段階1は「特になし」が64.9%
まだ何も始めていないので、課題を感じようがない。裏を返せば、課題を認識していないこと自体が最大の課題ということです。
② 段階2で課題が一気に噴出する
「費用の負担」が16.3% → 36.9%、「人材が足りない」が14.9% → 38.2%と、いずれも倍以上に跳ね上がります。「具体的な効果や成果が見えない」(18.8%)や「どのように推進すればよいか分からない」(16.3%)も段階2でピークを迎えます。動き出した途端、壁にぶつかる段階です。
③ 段階が上がるほど悩みが絞られる
「どのように推進すればよいか分からない」は段階2の16.3%から段階4では2.9%へ、「どこに相談すればよいか分からない」も5.1%から2.3%へ減ります。進むにつれて進め方の迷いは消え、残るのはカネと人だけになる。段階4でも「費用の負担が大きい」が43.1%と全段階で最も高いのが象徴的です。
この課題構造は、第6章で学ぶIT化支援の設計に直結しています。
| 課題 | 対応する施策 |
|---|---|
| 費用の負担が大きい | IT導入補助金・中小企業経営強化税制 |
| DXを推進する人材が足りない | 中小企業大学校の研修・専門家派遣(ミラサポplus等) |
| どこに相談すればよいか分からない | よろず支援拠点・商工会/商工会議所 |
「なぜIT導入補助金があるのか」を、この図表から説明できるようにしておくと、第6章の施策が格段に覚えやすくなります。

DXの取組状況と課題
試験のポイント
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