第2章 中小企業白書2024年版第1部 令和5年度(2023年度)の中小企業の動向
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プレミアムで見る後継者がいない。この一言が、日本の中小企業にとってどれほど重い問題なのかを数字で確かめる節です。
明るい材料はあります。後継者不在率は2018年の67.2%をピークに、2023年には54.5%まで下がりました。5年で13ポイント近い改善です。事業承継・引継ぎ支援センターの整備、中小M&Aガイドラインの策定、事業承継税制の特例措置といった政策が効いてきた結果だと考えられます。
けれども、それでもなお半数近くが後継者不在です。そして年代別に見ると、経営者が高齢であるほど不在率は下がる──60代39.7%、70代29.5%、80代以上23.1%。年を取れば取るほど後継者が見つかるという話ではありません。見つからなかった企業が、その前に退出してしまっているのです。
そして後継者が決まった企業にも、別の悩みがあります。「特にない」を除けば最も多いのは後継者の経営能力。税金でも株でもなく、人を育てられるかどうかが最大の関門だという事実は、事業承継支援が単なる税制優遇では終わらない理由を教えてくれます。
簡単にいうと
不在率は2018年の67.2%がピークで、2023年は54.5%まで改善。でも年代が上がるほど不在率が下がるのは、見つからない企業が先に消えているから……。
帝国データバンクによる、中小企業の後継者不在率の推移です。
| 年 | 後継者不在率 |
|---|---|
| 2011年 | 65.1% |
| 2014年 | 66.9% |
| 2016年 | 66.0% |
| 2017年 | 66.2% |
| 2018年 | 67.2% |
| 2019年 | 66.0% |
| 2020年 | 65.8% |
| 2021年 |

事業承継の現状と課題
試験のポイント
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| 62.3% |
| 2022年 | 58.0% |
| 2023年 | 54.5% |
2018年の67.2%がピークで、2018年以降は減少傾向にあります。とくに2020年から2023年にかけての下がり方が急で、3年で11ポイント以上改善しました。
ただし2023年時点でも54.5%であり、半数近くの企業が依然として後継者不在です。「改善しているが、まだ半数以上」という両面を押さえておきましょう。
| 経営者の年代 | 後継者不在率 |
|---|---|
| 60代 | 39.7% |
| 70代 | 29.5% |
| 80代以上 | 23.1% |
年代が上がっていくとともに後継者不在率が低くなっている、というのが結論です。
直感に反するこの結果はどう読めばよいでしょうか。高齢の経営者ほど承継の準備を進めてきたから、という解釈が一つ。もう一つは、後継者が見つからなかった企業がその年代に至る前に廃業してしまい、残っているのは後継者が決まった企業ばかりになっている、という生存者バイアスの解釈です。前の節で学んだ「黒字廃業」の数字と合わせて読むと、後者の効果も無視できないことが分かります。
いずれにせよ本試験で問われるのは向きだけです。「年代が上がるほど不在率は低い」と覚えてください。逆に書いた選択肢(年代が上がるほど不在率が高い)は誤りです。
日本政策金融公庫総合研究所の調査で、有効回答4,465件のうち「後継者は決まっている(後継者本人も承諾している)」と回答した後継者決定企業(n=313)に対して、事業承継の際に問題になりそうなことを尋ねた結果です。
| 問題になりそうなこと | 割合 |
|---|---|
| 特にない | 33.0% |
| 後継者の経営能力 | 28.0% |
| 相続税・贈与税の問題 | 22.9% |
| 後継者による株式・事業用資産の買い取り | 22.5% |
| 取引先との関係の維持 | 18.5% |
| 技術・ノウハウの承継 | 15.6% |
| 金融機関との関係の維持 | 11.0% |
| 親族間の相続問題 | 10.2% |
| 借入に対する現経営者の個人保証の解除 | 9.0% |
| 借入に対する現経営者所有物件の担保の解除 | 6.1% |
「特にない」(33.0%)が最も多いという点をまず押さえてください。後継者さえ決まれば、3社に1社は特段の問題を感じていないのです。
そのうえで、具体的な問題として最も多いのは「後継者の経営能力」(28.0%)です。税や株式の問題(22.9%・22.5%)よりも上に来ている。つまり承継の本丸は、カネの問題ではなくヒトの問題だということです。
この調査結果は、第6章で学ぶ事業承継支援の設計に直結しています。
| 悩み | 対応する政策 |
|---|---|
| 後継者の経営能力 | 事業承継ガイドライン・後継者人材育成(中小企業大学校の後継者研修) |
| 相続税・贈与税の問題 | 経営承継円滑化法に基づく事業承継税制(法人版・個人版) |
| 株式・事業用資産の買い取り | 経営承継円滑化法の金融支援・民法の特例(除外合意・固定合意) |
| 個人保証の解除 | 経営者保証に関するガイドライン・事業承継特別保証制度 |
悩みの一つひとつに施策が対応していると見ると、第6章の暗記が「制度の羅列」ではなく「問題への回答」として頭に入ってきます。
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