第3章 中小企業白書2024年版第2部 環境変化に対応する中小企業
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プレミアムで見る第2部の締めくくりは支援機関です。中小企業・小規模事業者が抱える経営課題の解決を支援してきた支援機関の役割は、今後も引き続き重要になると考えられています。
ここでいう支援機関とは、商工会、商工会議所、よろず支援拠点、金融機関、税・法務関係士業、中小企業診断士、コンサルタント等の認定経営革新等支援機関等を指します。中小企業診断士も、この列挙のなかにしっかり含まれています。
この節の主役は経営力再構築伴走支援です。これまでの支援が「課題を聞いて解決策を提示する」ものだったのに対し、伴走支援は経営者自身に気づいてもらい、自ら動けるようにすることを目指します。キーワードは対話と傾聴/気づき・腹落ち/内発的動機づけ/自己変革・自走化の4つ。
本試験では、伴走支援の定義文の穴埋めや、自己変革を妨げる5つの壁、基本的な枠組み(6ステップ)の並び順が問われうるところです。用語をひとつずつ、正確に押さえていきましょう。
簡単にいうと
支援する側も人が足りない。課題の1位は「支援人員の不足」61.9%。支援機関の範囲に中小企業診断士も入っているよ!
白書でいう支援機関とは、次のものを指します。
第6章で学ぶ各種の支援機関が、ここにまとめて列挙されている形です。この範囲を問う出題もありえるので、7つの顔ぶれを押さえておきましょう。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング「中小企業支援機関の現状と課題に関する調査」(2023年12月)により、支援機関が事業者に対して支援を行う際の課題を確認します。
簡単にいうと
答えを与えるのではなく、経営者自身に気づいてもらう。対話と傾聴→気づき・腹落ち→内発的動機づけ→自己変革・自走化、が骨格だよ!
環境変化が激しく、不確実性が高まる時代において、中小企業が事業を継続し、さらなる成長を遂げていくには、経営者自らが自社の経営課題を見極め、様々な環境変化に迅速・柔軟に対応していく「自己変革力」を高めることが重要となっています。
しかしながら、日常業務で多忙な経営者が単独で意識や行動を変え、組織や事業を「自己変革」させていくことは容易ではなく、第三者による伴走支援が必要となっています。
そこで中小企業庁では、中小企業の経営力そのものを高め、自己変革・自走化を目指す支援方法である「経営力再構築伴走支援」(以下「伴走支援」)について、全国の支援機関への普及・推進を図っています。
中小企業庁は、伴走支援の基本理念や具体的な支援の進め方、留意点等を実際の支援事例や効果的なノウハウを含めて取りまとめ、「伴走支援ガイドライン」として、支援機関向けに2023年6月に公表しました。
同ガイドラインでは、伴走支援について次のように定義しています。
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| 課題 | 割合 |
|---|---|
| 支援人員の不足 | 61.9% |
| 支援ノウハウ・知見の不足 | 56.6% |
| 支援に必要な予算の不足 | 28.8% |
「支援人員の不足」(61.9%)が最も多く、以下「支援ノウハウ・知見の不足」(56.6%)、「支援に必要な予算の不足」(28.8%)と続いています。
上位2つが人に関する課題であり、予算(カネ)は3位で、しかも半分以下の水準です。支援する側も、支援される側と同じく人手と知見の不足に悩んでいるという構図が、この節全体の前提になります。
前の節で見た金融機関の課題(スキル・ノウハウ不足63.4%、人材不足61.5%)とも、ほぼ同じ並びです。支援機関の種類を問わず、人とノウハウが足りないという悩みは共通しているのです。
だからこそ、支援の方法そのものを変えて効率と効果を高める必要がある。その答えとして打ち出されたのが、次に見る経営力再構築伴走支援です。

支援機関と経営力再構築伴走支援
試験のポイント
この一文は穴埋めで問われる可能性が高いので、キーワードを順に確認しておきましょう。
| 順序 | キーワード | 意味 |
|---|---|---|
| ① | 対話と傾聴 | 支援者(伴走者)が経営者の話を聴くところから始まる |
| ② | 本質的課題 | 表面的な課題ではなく、その裏に潜む本当の課題 |
| ③ | 気付き・腹落ち(納得) | 経営者自身が「そうか」と腹の底から納得すること |
| ④ | 内発的動機づけ | 外から言われるのではなく、内側から動きたくなる状態 |
| ⑤ | 能動的行動・潜在力 | 経営者が自ら動き出し、眠っていた力が発揮される |
| ⑥ | 自己変革・自走化 | 支援者がいなくても自ら変わり続けられる状態 |
従来型の支援との違いは明確です。
| 観点 | 従来型の支援 | 経営力再構築伴走支援 |
|---|---|---|
| 支援者の役割 | 課題を分析し、解決策を提示する | 対話と傾聴により気づきを促す |
| 動機の源 | 外から与えられる | 内発的動機づけ |
| ゴール | 課題が解決すること | 自己変革・自走化 |
| 支援終了後 | また次の課題で支援が必要 | 自ら課題を見極め対応できる |
経営者と支援者(伴走者)の関係は、次のように描かれています。
支援者(伴走者) は経営者と信頼で結ばれ、対話・傾聴を土台として関わります。
経営者の側では、次の流れが起こります。
1. 「気付き」「腹落ち」(納得)
2. 内発的動機づけ(当事者意識=オーナーシップ、能動的アクション/課題設定)
3. 潜在力の発揮(自己変革)
4. 課題の解決・自走化
そして支援者は各段階に対してフォローを行い、課題の解決・自走化からは再び「気付き」「腹落ち」へと循環する構造になっています。
一度きりの支援ではなく、ぐるぐる回り続けるサイクルとして描かれていることが、このモデルの特徴です。
中小企業が自己変革を進めていくに当たっては、それを妨げる典型的な5つの壁があると考えられています。
| 順番 | 壁 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 見えない | 企業内部の可視化が出来ておらず、本質的な課題を見極めるための前提条件が整っていない |
| ② | 向き合わない | 経営者が現実を直視せず、優先課題の適切な設定と課題解決に向けた施策の落とし込みができない |
| ③ | 実行できない | 組織内外のしがらみや経営者の心理的障壁等を捉えられておらず、課題解決策の実行がされない |
| ④ | 付いてこない | 現場の巻き込みが不十分で、現場レベルに即した取組みとなっておらず、誰も当事者意識を持って課題解決に臨まない |
| ⑤ | 足りない | 課題が明確となり、リソースの確保と意欲の醸成もできたが、課題解決のための組織や経験が足りない |
白書はこう述べています。こうした壁のなかには、経営者自身や組織のあり方を変えなければ越えられないものがある。伴走支援によって内側から動機を引き出し、意識と行動が変わるよう促す。そうして事業者が自分の力で壁を越えられるようにしていくことが要る、と。
5つの壁は階段状に並んでおり、下から順に乗り越えていく構造になっています。覚え方は「見えない → 向き合わない → 実行できない → 付いてこない → 足りない」。5つとも「〜ない」で終わる否定形なので、語呂として一息に唱えると定着します。
順番の意味も理解しておきましょう。まず課題が見えない。見えても向き合わない。向き合っても実行できない。実行しても現場が付いてこない。現場が動いても力が足りない。一段上がるたびに、問題の所在が経営者個人から組織全体へ移っていく構成になっています。
伴走支援の具体的な進め方については、次の6ステップを基本的な枠組みとしています。
| ステップ | 名称 | 主な内容 |
|---|---|---|
| ① | 伴走支援の開始前 | 事業内容や事業環境、経営状況、経営体制等をよく確認。経営者の意欲を確認し、伴走支援に対する理解を得る |
| ② | 伴走支援の開始(信頼関係構築) | まずは経営者との信頼関係構築を優先。傾聴を重視し、相手への敬意、共感、謙虚な姿勢が必要 |
| ③ | 本質的な課題の設定(気づき、腹落ち) | 対話と傾聴により、問題意識の言語化、具体化、客観化を繰り返して課題を整理。表面的な課題の裏に潜む本質的な課題への気づき、腹落ち(納得)を促す |
| ④ | 内発的動機づけ(意識・行動変容) | 腹落ちにより経営者の当事者意識、オーナーシップが生まれ、意識や行動も変化。経営者のやり遂げる覚悟をフォローしつつ、その心情に寄り添う |
| ⑤ | 課題解決(能動的行動) | 課題解決に向け、役員・社員の意欲を高め、主体性を持たせることが必要。社内に設置されたプロジェクトチームやリーダーの活動を側面支援 |
| ⑥ | フォローアップ(自己変革、自走化) | 自走化の実現に向け、PDCAの定着・効果や具体的な定量数値を確認。自己変革による新たな課題対応や目標達成に向け、必要に応じてフォロー |
各ステップに付された括弧書きのサブタイトルに注目すると、覚えやすくなります。
(なし)→ 信頼関係構築 → 気づき、腹落ち → 意識・行動変容 → 能動的行動 → 自己変革、自走化
これは、先ほど確認した伴走支援の定義文とぴったり対応しています。
「経営者等との対話と傾聴(②③)を通じて、事業者の本質的課題に対する経営者の気付き・腹落ち(③)を促すことにより内発的動機づけ(④)を行い、事業者の能動的行動・潜在力を引き出し(⑤)、事業者の自己変革・自走化(⑥)を目指す支援方法」
定義文をそのまま順番に並べたものが6ステップであると理解すれば、どちらか一方を覚えればもう一方も思い出せます。
本試験では、ステップの順番を入れ替えた選択肢や、「③本質的な課題の設定」を支援者が行うかのように書き換えた選択肢が考えられます。課題を設定するのはあくまで経営者自身であり、支援者は対話と傾聴でそれを促す立場である、という役割分担を外さないようにしてください。

自己変革を妨げる5つの壁と伴走支援の6ステップ
試験のポイント
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