令和5年度 事例III 過去問解説
企業: C社(業務用食品製造) 業種: 食品製造業(業務用受託)
企業・事例の概要
温泉リゾートの高級ホテル・旅館向けに多品種少量の業務用食品を受託製造する食品会社。料理人経験を持つ工場管理者が強み。コロナ禍後に受注回復中だがパート退職で生産能力が低下。食品スーパーX社との新規事業に向けて工場増築を検討中。
C社の生産面の強みを2つ40字以内で述べよ。
設問の意図
C社の生産体制における競争優位性を問う問題。与件文から生産面の強みを2点抽出する。
与件文のポイント
第5段落
「製造部長、総菜製造課長、菓子製造課長(以下、工場管理者という)は、ホテルや旅館での料理人の経験がある」
→ 強み①:料理人経験者による管理体制
第3段落
「和食や洋食の総菜、菓子、パン類などの多品種で少量の食品を受託製造している」
→ 強み②:多品種少量の柔軟な生産対応力
解法のポイント
- ·生産面に限定した強みを問うため、営業・財務面は含めない
- ·2つの強みを「①〜②〜」の列挙形式で40字以内に収める
模範解答例
①料理人経験を持つ工場管理者による高品質な製造管理力、②顧客ごとの多品種少量製品に対応した柔軟な生産体制。
53字
コロナ禍以降に高齢パート従業員が退職し、増加する受注量への対応に苦慮している。生産面でどのような対応策が必要か、100字以内で述べよ。
設問の意図
生産能力不足の解消策を問う問題。労働力不足への対応と生産効率化を軸に組み立てる。
与件文のポイント
第7・8段落
「調理工程は鍋やボウル、包丁など汎用調理器具を使って手作業で進められている。工場管理者が直接作業方法を指導・監督して行われている」
→ 手作業が多く標準化が不十分な現状
第10段落
「口頭で指示される製品仕様は、工場管理者が必要によってメモ程度のレシピを作成し活用していたが、整理されずにいる」
→ レシピ・製品仕様の文書化が不十分
解法のポイント
- ·専用調理器具・省力化設備の導入で手作業を削減
- ·レシピ・製品仕様の文書化・標準化で作業指導を効率化し新人でも対応可能に
- ·パート確保・育成の両面から対応を示す
模範解答例
専用調理器具の導入による製造工程の効率化を図るとともに、販売先料理長の指示内容をレシピとして文書化・標準化することで作業指導を効率化し、新規パートの採用・育成が容易な生産体制を構築する。
93字
材料価格高騰の影響で収益性の低下が生じている。どのような対応策が必要か、120字以内で述べよ。
設問の意図
コスト管理・在庫管理の改善を問う問題。廃棄ロス削減と発注精度向上が核心。
与件文のポイント
第11段落
「入出庫記録がなく、食材や調味料の在庫量は増える傾向にあり、廃棄も生じる。また製造日に必要な食材の納品遅れが判明し、販売先に迷惑をかけたこともある」
→ 在庫管理の問題点
第11段落
「パートリーダーは必要量を経験値で見積り、食品商社に月末に定期発注する」
→ 発注精度が低い現状
解法のポイント
- ·発注方法の見直し:経験値→実績データ活用、月次→週次発注で適正化
- ·在庫管理の強化:入出庫記録の整備、廃棄ロスの削減
- ·材料調達コストの削減が収益性改善に直結することを意識する
模範解答例
食材・調味料の入出庫記録を整備して在庫管理を徹底し廃棄を削減する。また月末定期発注から週次発注に変更して必要量を実績データで見積もることで発注精度を高め、納品遅延と過剰在庫を防ぎ材料費コストを低減する。
101字
創業以来受託品の製造に特化してきたC社は、自社企画製品の製造販売やX社との新規事業のためにどのように製品の企画開発を進めるべきか、120字以内で述べよ。
設問の意図
企画開発体制の構築方法を問う問題。外部人材活用と顧客ニーズ収集の仕組みづくりが核心。
与件文のポイント
第13段落
「C社の製品開発部は、このために外部人材を採用し最近新設された。この採用された外部人材は、中堅食品製造業で製品開発の実務や管理の経験がある」
→ 外部人材の専門性を活かす根拠
第9段落
「販売先料理長が来社し、口頭で直接指示を受けて試作し決定する」
→ 顧客ニーズを直接収集できる強みがある
解法のポイント
- ·営業部が顧客ニーズを収集し、製品開発部に情報連携する仕組みを整える
- ·外部人材の製品開発経験を活かして企画力を強化
- ·既存販売先との連携から自社企画へ段階的に移行する
模範解答例
営業部が販売先料理長のニーズを収集し製品開発部と共有する体制を構築する。外部人材の実務経験を活かし、X社との共同企画を通じて商品企画力を養成しながら、既存顧客への付加価値提案と新規販路拡大を並行して進める。
103字
X社との新規事業に向け、C社社長は工場増築・専用生産設備導入・新規採用者中心の生産体制を構想している。この構想の妥当性とその理由、また留意点を140字以内で述べよ。
設問の意図
設備投資の妥当性判断と留意点を問う問題。妥当性の根拠(取引先多角化)と留意点(人材育成・段階的投資)の両面を述べる。
与件文のポイント
第14段落
「X社は当初は客単価の高い数店舗から始め、10数店舗まで徐々に拡大したい」
→ 段階的な拡大なので投資も段階的に行う根拠
第3・4段落
「受注量が年々増加してきた。コロナ後に観光客増加で稼働率が高まり受注も回復」
→ 事業拡大の環境整備
解法のポイント
- ·妥当性:顧客を宿泊業から小売業へ多角化することで特定業種リスクを低減できる点で妥当
- ·留意点①:新規採用者の育成・OJT体制の整備
- ·留意点②:X社の段階的な店舗拡大に合わせた段階的な投資でリスク管理
模範解答例
構想は妥当である。宿泊業から小売業へ販売先を多角化することで特定業種への依存リスクを低減できるためである。留意点としては、新規採用者の育成・研修体制を整備して生産品質を維持することと、X社の段階的な店舗拡大に合わせて段階的に投資を実施し財務リスクを抑えることである。
133字
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