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事例III生産・技術

事例III生産・技術)攻略テキスト

難易度中〜高

事例IIIとはどんな事例か

事例IIIは、中小の製造業(C社)の生産現場の課題を診断し、QCD(品質・コスト・納期)の改善と、強みを活かした成長戦略を助言する事例です。「生産管理(生産計画と生産統制)」と「生産現場の改善」の2領域を軸に、与件文に散らばる生産の“ムダ”を見抜き、改善策を因果で示す力が問われます。配点は毎年100点・設問4〜5問。与件が工場の描写中心で読みにくく専門用語も多いため苦手意識を持つ受験生が多い一方、改善の定石(標準化・平準化・5Sなど)がパターン化しているため、型を身につければ安定して得点できます。難易度は中〜高です。

01

事例IIIを理解する2つの領域

事例IIIの設問は、突き詰めると「①生産管理(生産計画・生産統制の仕組みをどう整えるか)」「②生産現場の改善(QCDをどう高めるか)」の2領域に、終盤の「③経営戦略(強みを活かした成長)」を加えた3つに整理できます。設問を読んだら、まずどこを問われているかを判定します。

領域①:生産管理受注から出荷までを計画どおりに回す仕組みのこと。「何を・いつ・どれだけ作るか」を決める生産計画と、「計画どおり進んでいるか」を管理・是正する生産統制の2つから成ります。

領域②:生産現場の改善現場の作業レベルのムダを取り除き、品質(Q)・コスト(C)・納期(D)を高めます。5S・標準化・多能工化・段取り短縮・レイアウト改善などが定石です。

領域③:経営戦略主に最終問題で問われます。C社の強み(技術力・一貫生産体制・短納期対応など)を活かし、高付加価値化・新規受注の獲得・自社ブランド展開へつなげる方向を助言します。

ポイント

多くの設問は「現状の問題点を挙げ、その改善策を助言する」形です。まず領域を判定し、生産管理(計画・統制)の問題か、現場改善の問題かを見極めると、使うべきキーワードが一気に絞れます。

02

与件文の読み方(工場のムダを見抜く)

事例IIIの与件文は、工場の作業・工程の描写が中心です。ここに改善のネタ(ムダ)が意図的に埋め込まれています。読みながらムダにマーキングしていくのが基本動作です。

実践テクニック

次の「ムダのサイン」を見つけたら即マークします。「ロットが大きい・まとめ生産」「段取り(切替)に時間がかかる」「作業が標準化されていない・人によってやり方が違う」「熟練者に依存(属人化)」「工程間の仕掛品が多い」「稼働率・歩留りが低い」「情報が紙や口頭でリアルタイムに共有されていない」「同じ図面や加工情報を各自が別々に持っている」。これらはすべて改善策の根拠になります。

前半:C社の概要と強み業種・主要製品・生産方式・技術力。「一貫生産体制」「熟練の技術」「短納期対応」は強みの根拠になりやすい部分です。

中盤:生産現場の描写工程の流れ、設備、作業者、計画の立て方。ここにムダが集中します。1文ずつ「これは何のムダか」を考えながら読みます。

終盤:新たな受注・引き合い・社長の方針「大口の引き合いがある」「短納期化を求められている」「新製品の構想がある」といった記述は、改善(生産能力を空ける)と成長戦略(受注に応える)の両方の根拠になります。

!注意

事例IIIの改善策は、必ず与件のムダに対応させて書きます。与件にない一般論(唐突な「AIを導入」など)を書くと外します。「与件のこのムダ → この改善策」という1対1の対応を作ることが鉄則です。

03

設問タイプの見分け方と解答の型

事例IIIの設問は次の4タイプに分けられます。タイプを判定すれば、解答の骨組みが決まります。

タイプA:問題点・課題の抽出「生産上の問題点を述べよ」。与件のムダを列挙します。解答の型は「問題点は(1)〜(2)〜」。

タイプB:改善策の助言「どのように改善すべきか」。事例IIIの主役です。解答の型は「(現状の問題)に対し、①〜②〜を行い、(効果=QCD向上)を図る」。原因→改善策→効果をセットで書きます。

タイプC:生産計画・統制の改善「生産計画上の課題と対応策を述べよ」。計画サイクルの短縮・需要予測・平準化・進捗管理などのキーワードで答えます。

タイプD:経営戦略・成長「強みを活かして今後どう展開すべきか」。強み+機会+施策+効果で書きます。

ポイント

事例IIIの改善策は「課題→原因→改善策→効果」の因果で書くと加点されやすくなります。単に「標準化する」ではなく、「作業が標準化されておらず品質がばらつくため(原因)、作業手順を標準化・マニュアル化し(改善策)、品質を安定させ不良を減らす(効果)」まで書ききります。

04

生産計画の改善(何を・いつ・どれだけ作るか)

生産計画は「何を・いつ・どれだけ作るか」を決める活動です。事例IIIでは、計画の粗さ・サイクルの長さがよく問題になります。

計画サイクルの短縮「月次でしか生産計画を立てていない」→需要変動に対応できず、在庫や欠品を生みます。週次・日次へ短サイクル化し、確定した受注情報で計画を見直します。

需要予測と情報連携営業と製造で情報が分断→予測が外れます。受注・在庫情報を共有し、需要予測の精度を高めます。

平準化特定時期に負荷が集中→残業・納期遅延。生産量・生産する品種を平準化し、負荷を均します。

まとめ生産(大ロット)の見直し大ロットのまとめ生産→仕掛在庫とリードタイムが増大。ロットサイズを小さくし、小ロット・多回生産へ切り替えます(段取り短縮とセットで検討)。

実践テクニック

生産計画の問題は「サイクルを短く」「情報を共有して精度を上げる」「平準化する」「ロットを小さくする」の4方向のいずれかで当てられることが多いです。

05

生産統制の改善(計画どおり進める)

生産統制は「計画どおりに進んでいるか」を管理し、ズレを是正する活動です。進捗管理・現品管理・余力管理の3つから成ります。

進捗管理遅れの把握が遅い→納期遅延。進捗を見える化(進捗ボード、実績のリアルタイム把握)し、遅れを早期に検知して手を打ちます。

現品管理仕掛品・在庫の所在や数量が不明→探すムダ・欠品。現品の識別と置き場の整備(5S)で管理します。

余力管理各工程・作業者の負荷が偏る→ボトルネックで停滞。余力を把握し、応援や多能工化で負荷を平準化します。

ポイント

生産統制の問題は「見える化して早期に把握し、是正する」が定石です。与件に情報の分断があれば、生産管理システム・バーコード・IoTで実績や進捗をリアルタイム共有する改善も有効です。

06

QCD改善の定石(生産現場の改善)

生産現場の改善は、品質(Q)・コスト(C)・納期(D)を高めることが目的です。定石のキーワードを、与件のムダに合わせて選びます。

標準化・マニュアル化属人化・品質のばらつき→作業を標準化しマニュアル化。誰でも一定品質で作業でき、教育も容易になります。

多能工化・OJT特定作業者への依存→多能工化で応援可能な体制に。ボトルネックや欠員に強くなります。

段取り替えの短縮切替に時間がかかる→内段取りの外段取り化(シングル段取り)でロスを削減し、小ロット化を可能にします。

5S・レイアウト改善探すムダ・運搬のムダ→5S(整理・整頓)と、工程順に沿ったレイアウト(SLP)で動線を短縮します。

ボトルネック対策特定工程が能力不足→ラインバランシングで工程間の作業量を均し、ライン全体の能力を引き上げます。

実践テクニック

現場改善は「標準化」「多能工化」「段取り短縮」「5S・レイアウト」「平準化」の引き出しから、与件のムダに対応するものを2〜3個選んで因果で書きます。

07

情報・IT活用による改善

近年の事例IIIは「情報の分断」がよく問題になります。紙・口頭・個人管理で、部門間にリアルタイムで情報が共有されていない状態です。

情報の一元化・共有各部門・各自がバラバラに情報を持つ→生産管理システムやデータベースで一元管理し、営業・製造・購買で共有します。

見える化進捗・在庫・実績をシステムで見える化し、計画の精度と統制を高めます。

設計・技術情報の標準化図面や加工条件が個人依存→データベース化・標準化し、再利用と技術継承を可能にします。

!注意

ITは目的ではなく手段です。「システムを導入する」で止めず、「情報を共有して計画精度を上げ、納期遵守率を高める」と、効果まで結んで書いてください。

08

経営戦略・成長戦略問題

事例IIIの最終問題は「C社の強みを活かして今後どう成長するか」を問うことが多いです。生産現場の改善で生まれた余力を、成長にどう使うかという視点で答えます。

高付加価値化強み(技術力・一貫生産・短納期対応)を活かし、高付加価値品や難易度の高い受注へシフトします。

新規受注・取引拡大改善で空いた生産能力を使い、大口・短納期の引き合いに応えます。

自社製品・自社ブランド下請中心から、自社企画・自社ブランド製品へ展開し、収益性を高めます。

ポイント

成長戦略は必ず「C社の与件上の強み」と「与件に出てきた機会(引き合い・市場変化)」を結びつけます。内部(改善)と外部(戦略)が一貫していると高く評価されます。

09

80分の解答プロセスと時間配分

事例IIIは与件が読みにくく、工程の把握に時間がかかります。次のプロセスで進めます。

0〜5分設問を先に読み、各設問が「生産管理/現場改善/経営戦略」のどれかと、制約条件をメモします。

5〜30分与件を2回読み。工程の流れを簡単に図式化(各工程・順序・仕掛品)し、ムダにマーキング。設問との対応づけを行います。

30〜45分骨子づくり。各設問について「課題→原因→改善策→効果」の型に、使うキーワードを配置。改善策が与件のムダに対応しているかを確認します。

45〜80分清書。配点の大きい設問から埋め、全設問を必ず埋めきります。

まとめ

事例IIIは「与件のムダを見つけ、定石の改善策を、因果(原因→改善→効果)で当てる」。工程の流れを図にして考えると、ムダと改善策が見えやすくなります。

攻略のポイント

  • 生産管理(計画・統制)と現場改善(QCD)の2領域で設問を捉える
  • 与件の“ムダのサイン”(大ロット・段取り長い・属人化・情報分断など)を見抜く
  • 改善策は「課題→原因→改善策→効果」の因果で書く
  • 改善策は与件のムダに対応させる(一般論・与件にないIT導入は避ける)
  • 現場改善は標準化・多能工化・段取り短縮・5S・平準化の引き出しから選ぶ
  • ITは手段。情報共有→計画精度・納期向上まで効果を書く
  • 成長戦略はC社の強みと与件の機会を結びつける

独学でありがちな失敗

与件のムダに対応しない一般論(唐突なIoT・AI導入など)を書く
改善策だけ書いて、原因やQCDのどれが良くなるかの効果を書かない
生産計画と生産統制を混同する
工程の流れを把握せず、部分的なムダしか拾えない
専門用語に気を取られ、設問要求(何を問われているか)を外す
成長戦略でC社の強みや与件の機会を使わず、一般論で書く

なる子ちゃんからのアドバイス

事例IIIは「工場の困りごと(ムダ)を見つけて、定石の改善策で解決する」事例です。与件を読むときは工程の流れを簡単な図にし、各工程で「何がムダか」を書き込みましょう。改善策は必ず与件のムダと1対1で対応させ、「原因→改善→効果」の因果で書けば、専門知識が完璧でなくても合格答案になります。

図解・用語で理解を深める

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