CAPMと証券市場線(SML)を図解でわかりやすく
β係数に応じて期待収益率が決まる関係を示す直線が証券市場線(SML)。

CAPM(資本資産評価モデル)は、ある資産に投資家が要求する期待収益率を「リスクフリー・レート+β×市場リスクプレミアム」で求めるモデルです。これを、横軸にβ係数、縦軸に期待収益率をとってグラフにしたものが証券市場線(SML)で、リスクとリターンの関係が一直線で表されます。
グラフの読み方
縦軸の切片はリスクフリー・レート(rf、国債利回りなど確実に得られる利回り)です。そこから右上がりに伸びる直線が証券市場線(SML)で、その傾きが市場リスクプレミアム(市場ポートフォリオの期待収益率−rf)にあたります。β=1の点が市場ポートフォリオで、市場全体と同じ値動きをする資産の位置です。
β係数の意味
β係数は、市場全体が動いたときに個別資産がどれだけ連動して動くかという感応度です。β>1なら市場より大きく動くハイリスク銘柄で、要求される期待収益率も高くなります。0<β<1なら市場より小さく動くディフェンシブな銘柄で、要求収益率は低めです。βは、分散投資では消せないシステマティック・リスクの大きさを表します。
CAPMの公式
個別資産の期待収益率 E(ri)=rf+βi×(E(rm)−rf) で計算します。たとえばrf=2%、市場の期待収益率8%(市場リスクプレミアム6%)、β=1.5なら、期待収益率は2%+1.5×6%=11%となります。図では、この計算結果がSML上の点として表されます。
実務での使われ方
CAPMで求めた期待収益率は、株主が要求する収益率=株主資本コストとして用いられます。これは加重平均資本コスト(WACC)の計算に組み込まれ、さらにNPV法やDCF法で将来キャッシュフローを割り引く割引率になります。つまりCAPMは、投資判断や企業価値評価の出発点にあたる重要なモデルです。
◎ 試験対策のポイント
- ▶CAPMの公式 E(ri)=rf+β×(E(rm)−rf) を使った計算問題が頻出。
- ▶SMLの切片=リスクフリー・レート、傾き=市場リスクプレミアム。
- ▶β=1が市場ポートフォリオ。β>1でハイリスク・高要求収益率。
- ▶分散で消せる個別リスクは評価されず、消せないシステマティック・リスク(β)だけが期待収益率に反映される。
よくある質問
Q. 市場リスクプレミアムとは何ですか?
A. 市場ポートフォリオの期待収益率からリスクフリー・レートを差し引いたもので、市場全体のリスクを引き受けることへの上乗せ報酬です。図では証券市場線の傾きにあたり、この値が大きいほど、βの違いによる期待収益率の差も大きくなります。
Q. CAPMは何に使うのですか?
A. 主に株主資本コスト(株主が要求する収益率)の推定に使います。その値はWACCの計算に使われ、さらに投資判断(NPV法)や企業価値評価(DCF法)の割引率になります。投資評価の土台となるモデルです。
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