実質賃金率
じっしつちんぎんりつ
ひとことで言うと
名目賃金を物価水準で割った労働の実質的な購買力を示す指標で、労働市場の均衡分析の基本変数。
解説
名目賃金を物価水準で割った値で、労働の実質的な購買力を示す。労働市場の均衡分析において、労働需要と労働供給は実質賃金の関数として表される。古典派では実質賃金の伸縮性により完全雇用が達成されるとする。
くわしく解説
実質賃金率とは、名目賃金(W)を物価水準(P)で除した値(W/P)のことであり、賃金が実際にどれだけの財・サービスを購入できるかを示す実質的な購買力の指標である。労働経済学において、企業の労働需要は実質賃金率の減少関数(実質賃金が低いほど雇用量を増やす)であり、家計の労働供給は実質賃金率の増加関数(実質賃金が高いほど労働供給を増やす)として定式化される。古典派経済学では実質賃金の伸縮的な調整メカニズムが機能し、労働市場は常に均衡して完全雇用が達成されると考える。一方ケインズ経済学では、名目賃金の下方硬直性により実質賃金の調整が阻害され、非自発的失業が生じると主張する。フィリップス曲線の議論では、名目賃金の上昇が物価上昇に追いつかない場合に実質賃金が低下し、雇用が一時的に拡大するメカニズムが重要である。自然失業率仮説では、労働者が期待インフレ率を修正して実質賃金が元に戻ることで、長期的に完全雇用水準が回復する。
具体例で考えよう
月給30万円のサラリーマンが、物価が20%上昇しても給与が変わらなければ実質賃金率は約25万円相当に低下する。この実質的な購買力の低下が消費を抑制し、労働供給意欲にも影響を与える。
試験対策ポイント
実質賃金=名目賃金/物価水準(W/P)の式は基本。古典派(実質賃金の伸縮性→完全雇用)とケインズ派(名目賃金の下方硬直性→非自発的失業)の対比が頻出。フィリップス曲線・自然失業率仮説との連動も重要。