流通現金
りゅうつうげんきん
ひとことで言うと
市中に流通する日本銀行券と硬貨の合計であり、ハイパワードマネーと貨幣乗数の計算の基礎となる概念。
解説
市中に流通している現金通貨(日本銀行券と貨幣)の合計のこと。ハイパワードマネーの構成要素であり、マネーサプライの一部でもある。現金預金比率の分子を構成し、貨幣乗数の計算に用いられる。
くわしく解説
流通現金(C)は銀行システム外で一般の家計や企業が保有する現金通貨の総額であり、日本銀行券(紙幣)と政府発行の硬貨(補助貨幣)を含む。マネタリーベース(ハイパワードマネー、H)の構成要素は「流通現金(C)+銀行準備(R)」であり、マネーサプライ(M)は「流通現金(C)+預金通貨(D)」と定義される。貨幣乗数(信用乗数)はm=M/H=(C+D)/(C+R)で求められ、現金預金比率(c=C/D)と準備率(r=R/D)を用いて変形できる。流通現金が増加すると現金預金比率が高まり、貨幣乗数は低下する(信用創造が縮小する)。中央銀行の金融政策の波及メカニズムを理解する上で不可欠な基礎概念である。
具体例で考えよう
家計がATMから10万円を引き出すと、預金10万円が減少し流通現金が10万円増加する。銀行の準備が減少し、信用創造の連鎖が縮小するため、貨幣供給全体への影響は引き出し額の数倍に及ぶ可能性がある。
試験対策ポイント
流通現金・準備・ハイパワードマネー・マネーサプライの四者の関係式を正確に覚えること。貨幣乗数の計算式は現金預金比率(c)と預金準備率(r)を使った形も整理する。流通現金増加→乗数低下という方向性を間違えやすい。