効率賃金理論(仮説)
こうりつちんぎんりろん
ひとことで言うと
企業が市場賃金より高い賃金を払うことで労働者の生産性を上げるという理論。
解説
企業が市場均衡水準より高い賃金を支払うことで労働者の生産性を高めるという理論。高賃金により労働者の離職率低下やモチベーション向上が期待できる。非自発的失業が均衡状態でも存在しうることを説明する理論として重要である。
くわしく解説
効率賃金理論(仮説)とは、企業が労働市場の均衡賃金よりも高い賃金をあえて支払うことで、労働者の生産性や士気を向上させるという考え方である。高賃金には複数の効果が期待される。第一に、離職率の低下により採用・訓練コストが削減される。第二に、解雇されることへの恐れが労働者の怠業(シャーリング)を抑制する。第三に、高賃金企業には優秀な労働者が集まる逆選択の回避につながる。この理論の重要な帰結は、労働市場において賃金が下方に調整されず、非自発的失業が均衡状態でも存在しうることである。つまり、市場メカニズムが働いていても完全雇用が実現しない理由を説明する理論として、ケインズ経済学を補完する意義を持つ。情報の非対称性を前提とした新しいケインズ経済学の代表的な理論でもある。
具体例で考えよう
ある製造業の企業が周辺相場より月給2万円高く設定した結果、従業員の離職率が下がり、習熟した労働者が定着したため生産効率が上がり、結果的にコストが下がった。
試験対策ポイント
非自発的失業の発生メカニズムとして出題される。賃金が高いほど生産性が上がる逆の因果関係を理解すること。インサイダー・アウトサイダー理論や賃金硬直性との関連も確認しておく。