自然失業率
しぜんしつぎょうりつ
ひとことで言うと
摩擦的失業と構造的失業のみで構成される労働市場均衡時の失業率で、非自発的失業は含まれない。
解説
労働市場が均衡している状態での失業率のこと。摩擦的失業と構造的失業から構成され、非自発的失業は含まれない。フリードマンが提唱した概念で、自然失業率仮説の基礎となる。
くわしく解説
自然失業率とは、労働市場が均衡している状態においても存在する失業率の下限水準のことであり、フリードマンとフェルプスが1960年代後半に独立に提唱した概念である。自然失業率は摩擦的失業(転職活動中など仕事探しに要する時間的失業)と構造的失業(産業構造変化により保有スキルと求人の不一致から生じる失業)から構成される。これらは自発的な失業であり、賃金の伸縮的な調整では解消されない。一方、ケインズ経済学で重視される非自発的失業(現行賃金で働く意思があるのに職がない失業)は自然失業率には含まれない。自然失業率の概念は長期フィリップス曲線の議論と密接に関連しており、長期的には失業率は自然失業率の水準に収束し、インフレ率と失業率のトレードオフ(短期フィリップス曲線)は持続しないとされる。試験では自然失業率の構成要素と非自発的失業の区別が頻繁に問われる。
具体例で考えよう
IT化により銀行窓口業務の需要が減少し、窓口担当者がプログラマーへの転換を余儀なくされる場合の失業が構造的失業、転職先を探している間の一時的な失業が摩擦的失業であり、どちらも自然失業率の構成要素である。
試験対策ポイント
自然失業率=摩擦的失業+構造的失業(非自発的失業は含まない)という構成を必ず暗記。長期フィリップス曲線が自然失業率の水準で垂直になる理由(期待インフレ率の調整)とセットで理解すること。