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事例IIマーケティング・流通

事例IIマーケティング・流通)攻略テキスト

難易度

事例IIとはどんな事例か

事例IIは、中小企業(B社)のマーケティング戦略・販路・顧客獲得の課題を診断し、改善策を助言する事例です。SWOT・3C・STP・4Pといったフレームワークを使いながら「誰に・何を・どのように届け、どんな効果を狙うか」を、与件文の事実に基づいて一貫性をもって組み立てる力が問われます。配点は毎年100点・設問4〜5問。事例IとIIIに比べて与件文が身近で読みやすく、フレームワークが当てはめやすいため得点が安定しやすい一方、「与件を離れた一般論」や「ターゲットと施策のズレ」で差がつきます。難易度は中程度です。

01

事例IIを理解する3つの視点

事例IIの設問は、突き詰めると「①環境分析(誰が顧客で、強み・機会は何か)」「②戦略(どのターゲットに、どんな強みで勝負するか)」「③施策(商品・チャネル・プロモーションを具体的にどう打つか)」の3階層に整理できます。設問を読んだら、まずこの3階層のどこを問われているかを判断します。

視点①:環境分析SWOT・3Cで「B社の強み」「顧客のニーズ」「競合との違い」を与件文から抽出する問題。分析の精度がその後の戦略・施策の土台になります。

視点②:戦略(誰に)STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)で「どの顧客層を狙うか」を決める問題。ここがブレると施策もすべてブレます。

視点③:施策(何を・どのように)ターゲットに対して、商品・サービス、チャネル(販路)、コミュニケーション(プロモーション)を具体的に助言する問題。事例IIの配点の中心です。

ポイント

3つの視点は独立ではなく「分析→戦略→施策」という一本の線でつながっています。強みを活かして、狙った顧客のニーズに応える施策になっているか。この一貫性こそが事例IIの採点の軸です。

02

与件文の読み方マスタープラン(段落と数値データ)

事例IIの与件文は平均で1,500〜2,500字。事例Iより長く、B社の歴史・商品・顧客・立地・競合が具体的に描かれます。さらに、来店客数・年齢構成・売上比率などの数値データや図表が添えられる年度もあり、その読み取りが設問の根拠になります。

冒頭:B社プロフィール業種・立地・規模・商圏。ここで「どんな商売か」「誰を相手にしているか」の全体像をつかみます。令和4年度なら「離島の食品スーパー」、令和3年度なら「移動販売中心の豆腐製造販売業」といった具合に、ビジネスモデルを一言で言えるようにします。

中盤:強み・顧客・競合B社の独自の強み(技術・商品・立地・関係性)、既存顧客の特性、競合の動向が集中します。「評判を得ている」「常連客に支持される」という表現は強みの根拠、「〜層の来店が少ない」「〜への対応が遅れている」は弱み・機会の根拠です。

終盤:社長の思い・新たな動き「社長は〜を検討している」「〜との連携の話が持ち上がっている」という記述は、助言問題で「使ってほしい施策の方向性」を示す最重要ヒントです。与件に出てきた協業先・地域資源・新チャネルは、解答で積極的に活用します。

実践テクニック

数値データは必ず「比較」で読みます。「主婦層の来店比率が他の年代より低い」→主婦層は取り込み余地のあるターゲット、というように、表の中の高い・低いが設問の根拠になります。図表があれば、そこに必ず解答のヒントが埋まっていると考えてください。

03

設問タイプの見分け方と解答の型

事例IIの設問は次の3タイプに大別できます。設問を読んだ瞬間にタイプを判定できれば、解答の骨組みが即座に決まります。

タイプA:分析・抽出問題「強みを述べよ」「3Cを整理せよ」「ターゲットとすべき顧客層を答えよ」。与件文の事実を抽出・分類する問題で、解答の型は列挙形式(強みは(1)〜(2)〜)。一般論を混ぜず、与件の言葉をそのまま使うのが鉄則です。

タイプB:助言・提案問題「どのような施策を助言するか」「どのように販売すべきか」。事例IIの主役となるタイプで、後述の「ダナドコ」の型(誰に・何を・どのように・効果)で書きます。配点も大きく、ここで差がつきます。

タイプC:理由・効果問題「その施策が有効な理由を述べよ」「期待される効果を答えよ」。解答の型は「〜により〜となるため」という因果。施策と、B社の強み・顧客ニーズとの結びつきを説明します。

ポイント

どのタイプでも、設問文中の制約条件(「オンラインで」「既存顧客に対して」「価格以外の方法で」など)を最優先で守ります。制約を外すと、内容が正しくても大幅減点になります。設問文の条件は丸で囲んでから解答に入りましょう。

04

SWOT・3C分析問題の解き方(精読術)

SWOT・3Cは「与件文から正確に抽出できるか」が勝負です。一般論ではなく、必ず与件の記述に基づいて書きます。字数が短いことが多いので、要素を詰め込む圧縮力も必要です。

強み(S)外部から評価・支持されている独自の要素。「常連客に支持される接客」「地域で知られたブランド」「他店にない品揃え」「生産者との強い関係」など。「評判」「人気」「信頼」という語の周辺に強みが埋まっています。

弱み(W)与件の逆接(「しかし」「一方」「課題は」)の後に注目。顧客層の偏り(高齢者中心で若年・主婦層が少ない)、デジタル対応の遅れ、認知度不足、販路の限定などが典型です。

機会(O)自社の外側で起きているプラスの変化。観光客・サイクリストの増加、健康志向・地元志向の高まり、ECやSNSの普及、地域ブランド化のトレンドなど。B社が取り込めるものを選びます。

脅威(T)大型店・チェーンの進出、人口減少、消費行動の変化など。ただし事例IIでは、脅威をどう機会に転換するかが問われがちです。

実践テクニック

3Cは Customer(顧客ニーズと市場)→ Competitor(競合の強み・弱み)→ Company(自社の強み)の順で、それぞれ与件の事実を1〜2要素ずつ。最後に「競合が対応できていない顧客ニーズを、自社の強みで満たせる」という勝ち筋を見つけると、後続の戦略設問がスムーズに解けます。

05

STP:ターゲット設定の考え方

ターゲット設定は事例IIの心臓部です。「誰に売るのか」を明確にすることで、商品・チャネル・プロモーションのすべてが一貫します。逆にここが曖昧だと、施策が総花的になり点が伸びません。

与件文のヒント:「〜層の来店が少ない」「〜層の取り込みを検討している」「社長は〜な客を増やしたい」という記述が、そのままターゲット候補です。出題者は狙ってほしい層を必ず与件に埋め込んでいます。

典型的なターゲットの切り口:(1)既存の優良顧客を深掘りする(常連の高齢者・地元客の来店頻度や単価を上げる)か、(2)新規層を獲得する(主婦層・若年層・観光客・サイクリストなどを取り込む)か。設問の制約と与件の流れで選びます。

ポジショニングは「競合ではなく自社を選ぶ理由」を一言で。価格で戦えない中小企業は、地元産・手作り・専門性・関係性といった価格以外の価値で差別化します。

!注意

解答冒頭で「◯◯(具体的な層)をターゲットに」と必ず明示してから施策に入ること。「幅広い顧客」「地域の人々」といった曖昧なターゲットは、実質的にターゲット未設定と見なされ加点されません。

06

ダナドコ:助言問題の万能テンプレート

事例IIの助言問題は、「ダナドコ」の4要素で書くと、要素の抜け漏れがなくなり得点が安定します。多くの合格者が使う定番フレームワークです。

誰に(Target)狙う顧客層を具体的に。例:子育て世代の主婦層、地域外から訪れるサイクリスト、少年スポーツチームの保護者。

何を(Product)B社の強みを活かした商品・サービス。例:地元食材を使った高付加価値の惣菜、手作り体験セット、チーム向けの一括受注。

どのように(Channel・Promotion)どの販路で、どう伝えるか。例:SNS(Instagram)で産地や作り手を発信、既存顧客の口コミ、協業先店舗での取り扱い、ECでの全国発送。

効果(Effect)その施策で狙う成果。例:新規顧客の獲得、来店頻度・客単価の向上、関係性の強化による固定客化、地域外への認知拡大。

まとめ

解答は「◯◯をターゲットに、△△を、□□で提供・訴求し、(効果)を図る」という1〜2文に凝縮します。字数に応じて、どの要素を厚く書くかを調整してください。100字なら4要素を簡潔に、150字なら理由や具体策を1つ足す、というイメージです。

07

商品・サービス戦略の組み立て方

事例IIの商品戦略の王道は「既存の強みを活かした高付加価値化」です。価格競争を避け、B社にしか出せない価値を乗せます。

パターン(1):高付加価値版既存商品のプレミアム版・限定版。例:スーパーより高単価の季節限定商品、贈答用の詰め合わせセット。

パターン(2):コラボ・共同開発地元の他業種と組んだ商品。例:地元菓子店との共同開発、地域食材を使った加工品、宿泊業者とのセット商品。令和4年度の宿泊業者との連携が好例です。

パターン(3):体験型・関係性型モノでなくコトを売る。例:手作り体験、収穫祭、実演販売、会員向けの特別イベント。顧客との関係性を深め、固定客化につなげます。

ポイント

「地元産」「手作り」「作り手が見える(誰がどこでどう作ったか)」という要素は、事例IIで一貫して高評価です。差別化の根拠として、B社の与件上の強み(技術・産地・人)と必ず結びつけて書きます。

08

チャネル・販路とコミュニケーション戦略

販路は「既存チャネルの深掘り」か「新規チャネルの開拓」かを、与件の状況に合わせて選びます。両方を組み合わせる年度もあります。

既存チャネルの深掘り移動販売の戸別訪問強化、常連客への声かけ、店舗内の陳列改善、フランチャイジーへの支援。今いる顧客との接点を濃くします。

新規チャネルの開拓ECサイト(自社構築が難しければ、令和3年度のY社のような大手ECへの出店で弱みを補完)、道の駅・観光施設での販売、協業先店舗での取り扱い。

コミュニケーションは「ターゲットの特性に合った手段」を選ぶのが絶対条件です。【高齢者層】には電話・戸別訪問・チラシ。SNSや若者向けメッセンジャーは「敬遠された」という与件が典型なので使わない。【主婦・若年層】にはSNS(Instagram)、メッセンジャー、試食・体験イベント、友人紹介。【地域外・観光客】にはSNSでのストーリー発信(産地・作り手・風景の見える化)。

!注意

プロモーション施策は「手段」だけで止めず、必ず「効果」まで書きます。「SNSで発信する」で終わらせず、「SNSで作り手の想いを発信し、地域外の若年層の共感を得て新規顧客を獲得する」と、誰に・何のために・どうなるかまで書ききってください。

09

80分の解答プロセスと時間配分

事例IIは与件が読みやすい分、書く要素が多く、時間が不足しがちです。次のプロセスで、考える時間と書く時間を分けて管理します。

0〜5分設問文を先に読み、各設問のタイプ(分析/助言/効果)と制約条件をメモ。何を問われるかを頭に入れてから与件に入ります。

5〜25分与件を2回読み。1回目で全体像、2回目で設問との対応づけ(この段落はQ3の根拠、この数値はQ2の根拠)をマーキング。強み・機会・ターゲット候補・協業先に色分けします。

25〜40分解答骨子づくり。各設問について「ダナドコ」や列挙の型で、使うキーワードを箇条書きで先に決めます。ここで一貫性(強み→ターゲット→施策)を確認。

40〜80分清書。配点と字数の大きい設問から埋め、確実に全設問を埋めきります。空欄はゼロ点、部分点でも書けば加点の可能性があるため、時間切れでも必ず何か書く。

まとめ

事例IIは「与件に素直に、ターゲットを明確に、効果まで書く」。この3つを80分間ブレさせないことが、安定して60点を超えるための最短ルートです。

攻略のポイント

  • SWOT・3Cは与件文の記述を根拠に書く(一般論はNG)
  • ターゲットを最初に具体的に明示してから施策を組み立てる
  • 助言問題は「ダナドコ(誰に・何を・どのように・効果)」の型で書く
  • 商品戦略は「地元産・コラボ・作り手が見える」が評価されやすい
  • コミュニケーション手段はターゲットの特性に合わせて選ぶ
  • プロモーションは手段で止めず「効果」まで書ききる
  • 設問の制約条件(オンライン・既存顧客・価格以外など)を最優先で守る

独学でありがちな失敗

ターゲットを明示せず、または「幅広い顧客」など曖昧なまま施策だけ書く
「デジタル化が重要」など一般論に終始し、与件の事実を活かさない
高齢者向けの施策にSNSやメッセンジャーを提案する(与件で敬遠されていたのに)
施策の「効果」を書かず、手段の列挙で終わる
設問の制約条件(価格以外で、オンラインで等)を読み飛ばす
強み・ターゲット・施策の一貫性が崩れ、総花的な解答になる

なる子ちゃんからのアドバイス

事例IIは「顧客起点」のマーケティング思考が問われます。まず与件文から「誰が・何に困っていて・何を求めているか」を読み取り、その顧客に対して「B社の強みで何を提供できるか」を組み立てる順序を守ってください。強み→ターゲット→施策→効果が一本の線でつながっていれば、多少キーワードが足りなくても合格答案になります。

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