ひとことで言うと
会社が事業を取引行為として他社に譲り渡すこと。組織再編行為ではなく、権利義務は個別に移転させる。
解説
一定の事業目的のために組織化され有機的一体として機能する財産を、他に譲り渡す取引行為をいう。会社法上の組織再編行為には含まれず、権利義務は包括的には移転しないため、債権債務や契約上の地位は個別に移転の手続をとる必要がある。
くわしく解説
合併や会社分割が法律の力で権利義務をまとめて移す包括承継であるのに対し、事業譲渡はあくまで売買に近い取引行為である。したがって債務を移すには債権者の同意が要り、契約上の地位を移すには相手方の承諾が要り、従業員を移すには個々の同意が必要となる。手続は煩雑だが、引き継ぐ資産と負債を選べるため、簿外債務を引き継ぐ危険を避けられるという利点がある。事業の全部の譲渡、および事業の重要な一部の譲渡には、譲渡会社の株主総会の特別決議が必要である。重要な一部とは、譲渡する資産の帳簿価額が譲渡会社の総資産額の5分の1を超えるものをいう。譲受会社の側でも、他の会社の事業の全部を譲り受けるときは特別決議が必要となる。また譲渡会社は、別段の意思表示がなければ同一市町村および隣接市町村の区域内で20年間は同一の事業を行えない(競業避止義務)。
具体例で考えよう
飲食事業と不動産事業を営む会社が飲食事業だけを売却する場合、店舗の賃貸借契約は貸主の承諾を得て移転させ、従業員は個別に同意を得て転籍させる必要がある。
試験対策ポイント
組織再編行為ではなく取引行為であり、権利義務は個別に移転させる点が最重要。重要な一部の譲渡は総資産額の5分の1超が基準。競業避止義務は20年間、同一および隣接市町村。
関連法令
会社法第21条、第467条1項、商法第16条
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