ひとことで言うと
会社と競合する取引を行わない義務。取締役は事前の承認を要し、事業譲渡では譲渡会社が20年負う。
解説
会社の事業と競合する取引を自己または第三者のために行うことを制限する義務をいう。取締役が競業取引をするには、取締役会設置会社では取締役会の、それ以外では株主総会の承認が必要である(会社法第356条、第365条)。
くわしく解説
取締役は会社の内部情報や取引先を知る立場にあるため、同じ分野で自ら商売をすれば会社の利益を奪いかねない。そこで、競業取引を行うには重要な事実を開示して事前に承認を得なければならないとされている。取締役会設置会社では取締役会の承認が必要であり、取引後も遅滞なく重要な事実を取締役会に報告しなければならない。承認を欠いて行った競業取引であっても取引自体は有効であるが、取締役は任務懈怠責任を負い、それによって取締役または第三者が得た利益の額が会社の損害の額と推定される。立証の負担を会社側から外す仕組みである。競業避止義務は事業譲渡の場面にも現れる。事業を譲り渡した会社は、別段の意思表示がない限り、同一の市町村および隣接する市町村の区域内において、20年間は同一の事業を行うことができない。当事者の特約で30年を超えない範囲まで延ばすことができ、不正競争の目的がある場合は期間や地域の制限なく禁じられる。
具体例で考えよう
取締役が個人で同業の会社を立ち上げるには、取締役会の承認を得なければならない。無断で行えば、得た利益の額が会社の損害と推定される。
試験対策ポイント
承認がなくても取引自体は有効だが、得た利益の額が損害額と推定される。事業譲渡では譲渡会社が同一・隣接市町村で20年間(特約で30年まで)。
関連法令
会社法第356条、第365条、第423条2項、第21条
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