ひとことで言うと
物を事実上支配している状態そのものを保護する物権。所有権があるかどうかを問わない。
解説
自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得される物権をいう(民法第180条)。正当な権原があるかどうかを問わず、現に支配している事実状態そのものを保護する点に特徴がある。占有訴権、即時取得、取得時効の基礎となる。
くわしく解説
占有権は、本権(所有権や賃借権など、占有を正当づける権利)があるかどうかとは切り離して、事実としての支配を保護する制度である。実力で物を奪い返す自力救済を禁じ、争いは裁判で決めさせるために置かれている。占有を侵害されたときは占有訴権として占有回収の訴え、占有保持の訴え、占有保全の訴えを起こすことができる。借りている物であっても占有権は認められるため、所有権がなければ占有権もないという理解は誤りである。占有は所有権の取得にもつながり、所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有し続ければ、善意無過失なら10年、それ以外は20年で所有権を取得する(取得時効)。また動産については、取引によって平穏かつ公然と善意無過失で占有を始めた者がただちに権利を取得する即時取得の制度があり、動産取引の安全を支えている。
具体例で考えよう
賃借人は建物の所有者ではないが占有権をもつため、第三者に無断で立ち入られて占有を奪われたときは占有回収の訴えを起こせる。
試験対策ポイント
本権の有無を問わず認められる点が核。占有訴権の3類型、取得時効(善意無過失10年・それ以外20年)、動産の即時取得との結びつきが問われる。
関連法令
民法第180条、第197条〜第202条、第162条、第192条
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