ひとことで言うと
法令の制限内で物を自由に使用・収益・処分できる権利。物権のうち最も完全な支配権。
解説
法令の制限内において、所有物の使用、収益および処分をする権利をいう(民法第206条)。物を全面的に支配できる最も完全な物権であり、使用価値と交換価値の双方を把握する。近代私法の三大原則のひとつである所有権絶対の原則の対象でもある。
くわしく解説
所有権は物権の中心に位置し、他の物権は所有権の一部の権能を取り出したものと整理される。土地を使う権能を取り出したのが地上権や永小作権などの用益物権であり、交換価値を押さえたのが抵当権などの担保物権である。所有権は消滅時効にかからず、行使しないまま長期間が過ぎても失われない。ただし他人が取得時効の要件を満たせば、その反射として所有権を失うことはある。所有権に基づいて、妨害を受けたときは物権的請求権(返還請求権・妨害排除請求権・妨害予防請求権)を行使できる。所有権絶対の原則といっても無制限ではなく、公共の福祉、建築基準法などの行政法規、相隣関係の規定による制限を受ける。近年は所有者不明土地問題への対応として、相続登記の申請が令和6年4月1日から義務化され、相続土地国庫帰属制度も設けられた。
具体例で考えよう
土地の所有者は原則として自由に売却も建築もできるが、用途地域や建ぺい率といった行政法規による制限は受ける。
試験対策ポイント
所有権は消滅時効にかからない点が頻出。用益物権・担保物権との関係(所有権の権能の一部を取り出したもの)、物権的請求権の3類型、相続登記の義務化(令和6年4月1日、知った日から3年以内)が問われる。
関連法令
民法第206条、第166条2項、第162条
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